あらゆる構成要素の水準が高く、オンリーワンの魅力があるものの、シナリオが足を引っ張っている粗削りな傑作。茶々丸以外のメインヒロイン全員の描写が弱く、「人間」が伝わって来ない。このライターさんは戦闘描写や策謀の描写は最高に巧いんだけど、心に響くストーリーテラーとしてはいまいちかな、と。
善悪相殺。殺しの現実ってこういうもんなんだろうね、と。
様々な映画で表現されている通り、
アメリカの帰還兵が精神を病んでしまうってのはこういうことなんだろう。
絵、音楽、演出、テキスト、UI、
作品を支える構成要素は文句なしの高品質。
ただ、このライターさんは戦闘描写や策謀の描写は最高に巧いんだけど
心に響くストーリーテラーとしては凡才かな、と。
誠実に主人公を描写しているとは思うけど、その彼自身や彼の行動に
あまり魅力を感じない。まあそういう作品だと言えばそうですが。
個人的に正田卿みたいなのも好きじゃないが、人の思いを
綺麗にさりげなく描いた場面も見てみたかったと思う。
もっと分かり易く表現すると、「人間」が伝わって来ないキャラクターが多い。
茶々丸以外のメインヒロイン全員。脇役の方がリアルで人間味がある。
あー、女性を描写するのが苦手なのかな、と。
主に面白かったのはGHQや六波羅内の権力者たちの策謀、
白兵戦や武者の地上戦での攻防、京都弁の宮様あたりかなー、と。
雪車町は便利過ぎて…本当に人生投げてる奴は、こんなに働かないでしょ。
▼英雄編
どうにも面白くないお話。一条という一番影の薄い子を使った、
「正義」の寒さを教示するような内容。
△復讐編
大鳥と永倉さよを堪能出来る点、獅子吼との戦闘等は良かったけど
ラストは…「カルネヴァーレ」のノエルBADの半分の余韻もなし。
△魔王編
六波羅関連は本当に面白かったけど、神秘主義に傾くのは…
さよ×柳生戦を見せないってどういうこと…?
脳筋ゲイはほんと良いキャラだと思います。
▼悪鬼編
神秘主義に続いて超展開。
モビルスーツ同志の戦闘の背景はやっぱり宇宙じゃないとね、と。
武者って、絶対零度にも大気圏突入にも耐えるんだなと感心。
光が主人公の娘という事実/伏線を最後に出して、自殺することで解決。
で、何故か生きていて、小話を挟んでこのままやっていこうと。
こうしてみると、やはり全体的な完成度は高くないような。
ただ、部分部分は最高に楽しい。
粗削りな傑作だと思います。