単なる衒学趣味の作品。支えるべき物語(ストーリー)が貧弱すぎ。
褒める所が少ないので、先に良いところ言っておくと、
絵や音楽、文章の綺麗さ、は秀逸だと思います。
あと、橘希実香だけはいい味出してました。
逆に言うと、それだけです。
このゲーム、色々と薀蓄を垂れ流すにしては、それを土台にする物語(ストーリー)が
貧弱すぎるんです。物語がほとんど何もない状態で、抽象的な薀蓄を垂れ流されても、
面白くもなんともないし、説得力も何もあったものじゃない。
ゲームが面白いかどうかを決めるのは、薀蓄じゃなくて、物語ですので、
(薀蓄はあくまでスパイスみたいなものだと思います)出来そこないの作品といえると思います。
ちなみに、謎解きがどうこうと言っても、正直第2章が終わった時点で、
大まかに謎が推測出来てしまって、その後もほぼその通りに進んだので、
稚拙で在り来たりのものに思えました。
このことも私のこのゲームに対する評価が低めが原因です。
あと、哲学的、って感じてる人結構いるみたいだけど、哲学用語を振りまいているだけで、
哲学の内容に立ち入っているわけでもないし、哲学で論じられる抽象的なものの
具体例が物語にドラマチックに結びつく、なんてことは全然ないので、
たぶん哲学用語などに振り回されているだけだと思う。
実際、「良い評価」を出しているネタバレ感想みてても、特にゲーム中に出てくる
哲学用語の部分のどのあたりが、ゲーム中の物語のどのあたりと繋がってきているのか
説明できている人は(私が見た限りでは)皆無です。
脳内で大幅補完する必要なく、ゲーム中にあることだけを使って
無理なく説明できる人は、是非説明してほしいものです。
というわけで、私は結局この「意味なく哲学用語を振りまいた」のは、特定キャラの
凄さを強調するためだけの"小道具"として解釈し、ゲームをプレイしました。
(よくある並行世界を説明するための量子力学的解釈みたいな感じ。
特定キャラの凄さを説明するための哲学用語連発、ってこと。
難しそうな用語をそれらしく織り交ぜて説明することで、なんとなく解った気にさせるんですね。)
となると、結局私のこのゲームに対する評価の本質は、
そういう小道具じゃなくて、物語や演出自体の評価となってしまいます。
で、当の物語を見てみると、上述したように在り来たりで先読みされちゃうし、
展開が完全に強引でご都合主義なものだし、設定にも無理がありすぎるし、
それを隠せるだけの演出力があるわけでもなし・・・・
他の80点台や90点台のシナリオゲーで語られているような物語と同レベルになるわけがない、
と思うわけです。