丸戸氏、そしてLeafの渾身の一作
前作introductory chapter(以下IC)発売から約2年と長く待たされたが、その年月に値する大作だった。
【シナリオ】 20/20(テキスト10+ストーリー10)
シナリオ自体は、ICのラストから想定されるようにけっこう重めで、めんどくさいヒロインばかり。
最近の萌え偏重の時代に、これだけのものを出す勇気がすごいと思える。
さらに、テキストが読みやすく、見せ方が上手い。
丸戸氏らしいキャラの掛け合いはあまり見られないが、物語への引き込み力は流石。
早く続きが読みたくなるようなテキスト。
作中を通して携帯電話がキーアイテムになっている。
あと、個人的には、痕ネタにニヤリとできた。
【CG】 18/20(枚数10+質8)
一枚絵は、今作で新規に追加されたものは122枚と、かなり多い。IC分とあわせると149枚。
CC組のヒロインが別原画なのは、枚数を考えるとしょうがないか……。
一枚絵の質は、ICほどひどくはなく、一部不安定さを見せるものがあるが、概ね良好。
特に、ベッドの中で雪菜と向き合っている絵とかかなりレベルが高いような。
これが、奇跡の一枚クオリティか……。
塗りは相変わらず美しい。
立ち絵は、服装・ポーズともけっこう多くあり、出番の少ないキャラにもきちんと絵を用意してある。
特筆すべきは、背景絵の枚数が膨大であること。
行動範囲が広いということもあるが、様々な背景絵を見ることが出来る。
草薙が手がけているので、質に関しても全く問題ない。
うつむいたときに見える地面や携帯電話の絵など細かい絵もあるのもGood.
【CV】 10/10
声優名非公開なので、詳しいことはわからないが、どの声優も頑張っていたと思う。
雪菜役と千晶役の人が特にいい。
【音楽】 10/10
曲数は全曲あわせて63曲と多く、出来も素晴らしい。Leafサウンドチームはいつもいい曲作るなぁ。
とくにBGMがとてもいい。ICの時点でも出来は良かったが、新規に追加された曲も、それに勝るとも劣らない曲ばかり。
個人的には、「Snowfalls」が大好き。
とりあえず、早くサントラ出せ、いや出してください。
あと、ライブの曲に「Routes」使うのは、反則でしょ……。
【演出】 8/10
演出は、ICの時のような強制オートでの演出が減り、良い意味で落ち着いた。
強制オートで流れる学内ラジオが伏線だったとは……。
地味ながらも、雪のエフェクトの使い方が上手い。
codaへの入り方は秀逸。
【システム】 9/10
システム面は、ウィンドウメッセージ透明度変更などが出来るようになり、だいぶ使いやすくなった。
細かいことについては割愛するが、必要な機能は揃っていると思う。
【ゲーム性】 9/10
選択肢分岐型
5ヒロイン9エンド?
ヒロイン数も多い上に、各ルートのボリュームも大きいので、プレイ時間は長め。
千晶√は初回強制BADEND仕様なので、注意。
千晶√クリア後(BADでも可)にICにイベントが追加されるのでそれも見ておいたほうがいいと思う。
【Hシーン】 9/10
Hシーンもけっこう濃い。Codaまで含めると24枠。
尺も萌えゲー標準レベル以上はある。
BGVまであるシーンも。
【総評】 93/100
力を入れた(予算をかけた)ということが随所に見られ、Leafのこの作品にかける気合がうかがえた。
全体的にクオリティが高いので、切ない系の話が嫌いじゃなければ、多くの人にとって良作以上の作品になると思う。
個人的には、2011年最高だけでなく今までプレイしたエロゲのなかで五指に入るといえるほどの出来。
これくらいの名作を作られると、完成まで長く待ったかいがあったと思えてしまう……