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BritlisさんのG線上の魔王の長文感想

ユーザー
Britlis
ゲーム
G線上の魔王
ブランド
あかべぇそふとつぅ
得点
99
参照数
122

一言コメント

るーすぼーい作品の中で一番

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 とにかく読者を休ませることのないハラハラさせられるストーリーに、あっという間に本作に惹きこまれました。
 本作は「必要悪」がテーマだと思いました。悪があることで、それが人の生きる理由になったり、多少の悪が社会をうまく回していたりと、現実は決してやさしいものではない、登場人物たちのいろいろな悪に振り回されながらも必死に生きる姿に感動しました。るーすぼーいさんの描く悪役はなぜあんなにも魅力的なのでしょうか。権三と恭平は特にかっこよかったです。
 私は以前に「車輪の国、向日葵の少女」をプレイしていたので、また今回も読者を驚かせるような仕掛けがあるのかとワクワクしながら読み進めていました。京介が忘れっぽかったり、二重人格があるような思わせぶりな態度をとっていたりと、ミスリードがあからさまだったので、恭平が実は生きていた展開は全く驚きませんでしたし、少し拍子抜けしました。ただ、これで終わらないのがるーすぼーいさんの凄さだと思い知らされました。5章が終わり無事エンディング曲が流れ、完全に油断していたところで最終章が始まる流れはかなり驚かされました。私も完全に恭平の掌の上でした。それからの最終章の展開は全く予想できませんでした。ハルをはじめとする友人たちとの接見シーン、表面上は殺人犯として彼らと決別する京介の姿は本当にかっこよく、そして最後に自分の娘と会い、涙する姿に感動しました。本当に良い終わり方で、映画を一本読み終わったかのような満足感に包まれました。