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Azer0さんのひこうき雲の向こう側の長文感想

ユーザー
Azer0
ゲーム
ひこうき雲の向こう側
ブランド
FLAT
得点
99
参照数
1963

一言コメント

究極のシナリオ系キャラゲー。今後私の人生で、これを超える作品どころか肩を並べる作品が出ることはないでしょう。

長文感想

SCE 20/20
美奈√では主人公の葛藤が上手に描かれていてこちらもやきもきさせられました。矛盾なく巧妙な罠が仕掛けられており、それにはまることでさらに楽しめます。瑛莉√はもはや物語の域を出ているとても素晴らしいものでした。
日常パートもすらすらと読み進めれて、飽きません。

MUS 18/20
タイトルBGMの「止まない雨はないから」。体験版の段階ではこの曲、クライマックスというタイトルになっていたのですが、まさにその名にふさわしいです。それ以外にも全体的にベース音が心地よく耳に響く曲が数多くあり、日常を上手く彩っています。
さらにこのBGM,タイトリングのセンスが凄いです。素晴らしいものもあれば、思わず苦笑いしちゃうようなものまで。

PIC 16/20
こちらはこのゲームが全体的に高水準なのから見ると粗が出た感じで、縮尺がおかしかったり、主人公の父親だけ塗りが違和感あったりいろいろ気になりました。とはいえ会長の最初のCGなどの素晴らしい出来の物もあり、一長一短といったところですかね。ところどころ久しぶりに顔出しNG主人公が生き返っていたのは個人的には嬉しかったのですが、するなら徹底して欲しかったです。

CHA 15/15
メイン系のキャラはどれもしっかりと設定されていて気に入りました。瑛莉は生涯お気に入りキャラクターとなることでしょう。

UNI 15/15
あまり詳しくは言えないがとても挑戦的な試みが見受けられた。人を選ぶ作品だと思います。

IMP 15/10
感想ととして記述します

プレイし終わって一日経過。冷静になってレビューを追記
一言感想に書いた気持ちは変わってませんが、下の、謎に包まれた文章は目を通すのも憚れるので黒歴史として放置しておきます。

お察しの方もいると思いますがこのゲームは90%くらいが瑛莉ゲーです。
冒頭で語られるように、瑛莉ちゃんの物語ですから。
体験版をプレイして瑛莉が気に入った人は是非本編もプレイしてみては如何でしょうか。
逆に、体験版で瑛莉のことが嫌い、気に入らない、という人もいるかと思います。前述の通り人を選ぶ作品だと思いますので。
そういった方は、プレイすることはオススメできません。
私は、どうしようもなく気に入ってしまいました。
基本おっぱいは小さい方がいいと思っているこの私が、あのボインの瑛莉ちゃんにいれこんじゃうなんて…
やはり女の子は見た目で判断するものではないと再痛感させられちゃいました。
ちなみに抜き目的での期待ならば、アテが外れると思います。ほんとに。
シナリオ平常時にもちょくちょくエロネタ挟んでいたので少し期待したのですが、全くHシーンがエロくなかったです。
一番エロかったのは、なぜか瑛莉ルート中に挟まれていた、美奈が野外でおしっこするシーンでした。


言い忘れてましたが残りの10%は美奈といろはと会長と牛タンちゃんこと綾ちゃんゲーです。
美奈は過去の妹キャラの中では一番好みで、本気で妹が欲しくなりました。かわゆいです。
いろは、プレイ前はただの中二キャラと思っていました。多分公式サイトのサンプルヴォイスのせいです。違います。可愛いもの大好きな女の子でした。
会長さん、まさかのきちんとした攻略√が存在しませんでした。
今から見れば公式サイトのロゴマークの影が3人分しかないことに気づいたのですが。
私はそこまでアテにしていなかったので気になりませんでしたが、目当ての人にとっては辛いでしょうね。
客寄せパンダを見に動物園に来たらパンダの写真しかなかった、みたいな。
まあ一応公式サイトにもCGがあった通り、疑似√みたいなのが用意されています。
よくあるifの物語のやつですね。



そういえばこのゲーム、バグが多い、システム使いづらいと言われていますね。
Ver1.2のパッチ当てましたが、まだまだです。
誤字脱字はもちろん、セリフが違っていたり、場面転換の時に一瞬、他の場面がちらっと映ったりします。
まあでも個人的にはVer1.2の時点で、プレイに支障きたすことはなかったです。

システムですね、これは少し改善の余地ありですかね。
まず、ピンクのウインドウはちょっと見にくいです。
それでも文字の縁取りや影つけ設定があれば何とかなったのかもしれませんが、それもない。
仕方ないので、ウインドウを消去してフォントもそれっぽくして、テキストを字幕のようにしてやりましたが。(地味にこれはこれでアリだと思ってしまったのはまた別の話。)

それなのになぜか音楽鑑賞モードは快適でした。
BGMごとに再生時間と作曲者が表示されていてBGM再生中に一時停止はもちろん、任意の再生時間のところまで飛べたりします。22曲を連続再生も出来ちゃいます。
ここまで出来る観賞モードついてたのは初めてですね、便利で快適で嬉しいです。


このゲーム、正直1週間前まではただの量産萌えゲーだと思っていました。プレイする気などもちろんあるはずもなく。
基本的にその時の流行りもの、といか新作はプレイしていない私が、それなのに気づいたらプレイしていました。
結果は…直入に言うと少し後悔しています。正直、素晴らしい内容なのですがメンタルが弱い方にはオススメ出来ません。
私はそんなにメンタル弱い自覚はなかったのですが、恥ずかしながら心を打たれてしまって悶々とした一日を過ごす羽目になりました。
大人げなくて情けなくて泣きそうになりました。
それでもこのゲームは最高です。



↓プレイ直後に勢いで書いてしまった意味不明な文章。物好きでヒマな人はどうぞ↓

まず、このゲームはおそらく人を選ぶもので、瑛莉を好きになるか否かで特に二分されるはず。
瑛莉が気に入らない且つ他のキャラも普通、という人の目には凡作に映るかもしれない。
それでも瑛莉を愛することが「出来た」私には究極の作品だった。
今まで少なからずキャラクターの視点に立ったり少なからず移入していた私だが、それももう終わり。
物語のキャラクターとして、瑛莉以外を愛することなど不可能。
今後ゲームをプレイすることはあっても、もう3者視点からしか見ることが出来ないだろう、その点エロゲーマーとしてはある意味卒業することになるが後悔はない。
よく、「生まれ変わってももう一度~」とうのがあるが、あれと似たような感じだ。
それでも99点をつけたのは、↑で適当に辻褄合わせ(合ってないが)したのはもはやこの作品においては正直無意味。
全員の√を見るとタイトル画面の「エクストラ」が見れるようになるのだが、これが…
何と言うか、シナリオ自体もとても素晴らしく、最後のシーンも少し挑戦的なものになっていて、個人的にはこういうものは大好きなのだが、ことこの作品に限っては蛇足だったのではないかと。
なんとも絶妙で、断言出来ないので評価を落とすには至らないものの、満点をつけるにはいささか不満があるということでこの点数。有効数字が1ケタ増えるなら99.9点に書き直す。

最後にまあこういうのは結局個人の感受性によるものというのは分かっているが、私はこう思う。


私はこの作品で一つの人生をも経験できた。
このような至高な経験をすることはめったになく、一生涯忘れることはないだろう。
だが私はこの作品を繰り返しプレイすることはない。
なぜなら人生とは一度きりのもので、それを私は幸せに終えることができた。
どうしてもう一度繰り返そうか。