このような作品が生み出されたことに、心の底から動揺した。そして戦慄した。
人格を壊す。人格を汚す。人格を消失させる。
そんなダークなストーリーの作品は数多くあれど、
そのほぼ全てが心理的な圧迫や他者の悪意によるものだ。
人格を物理的に排泄させる作品は皆無に等しい。
何を言っているのか判らない人も多いと思うが、
本作は、実際に字面通りの内容なのだ。
他の表現では説明のしようがないから、なんとも困ったものである。
結論を言うと、いかに雑食かつアナル好きな私でも、
この作品は心が受け付けてくれなかった。
高潔なアノーラとシルヴィアが辿った末路を思うたびに、
幾許の絶望を味わったのだろうかと、慟哭と葛藤が波になって襲い掛かってくる。
それほどまでに、想像だにしないカタストロフだったからだ。
半ば強制的に排泄させられた脱糞ゼリーから、
彼女たち自身の抜け殻を仰ぎ見る描写などは、
もはやエロの一線を越えてしまった感じがした。
このような作品を観客として愉しめるかどうかは人次第だが、
完膚なきまでに心を叩き潰すとは、まさに本作のことを言うのだろう。
個人的には、これまでで最も後味の悪さを感じた作品である。
この着想を得たライターは、
とても発想力が豊かで、オリジナリティあふれる鬼才だと思う。
ただ、この作品はヒロインが凌辱されて可哀想とか、
類稀なるアナルプレイとか、そういう次元を超越していた。
私自身、プレイ中は未知の行為を鑑賞する好奇心と恐怖とが綯い交ぜになり、
途中で得も言われぬ感情を抱くに至り、結果的に憐憫の情よりも、
忌避したくなる思いが勝ることになってしまった。
古代の禁術に触れてしまった魔法使いのように、
咽上がる胃液や生理的興奮と格闘する破目に陥ったのである。
そういうわけで、VBHのファンといえども、
このDark Chronicle:6だけは、突然変異体の様相を呈しているため、
虜囚などという生易しい作品ではないので注意されたし。
ちょっとした興味本位でプレイするような、
お気楽なファンディスクではないのは確かだ。
VBシリーズの側面を知れた反面、
個人的に支払った代償も大きかった。
世の中には、知らない方がいい作品もあるのだ。
アノーラとシルヴィアというVBHの核を成す二人だからこそ、
洗脳快楽に溺れてしまってもいいので、
これ以上の惨劇は繰り返さないでほしいとつくづく思うのであった。
【雑記】
短編にもかかわらず、ギブアップしそうになりました。