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Atoraさんのハミダシクリエイティブ凸の長文感想

ユーザー
Atora
ゲーム
ハミダシクリエイティブ凸
ブランド
まどそふと
得点
89
参照数
698

一言コメント

このゲームに凸撃する者は、甘味のフルコースを味わうことと知れ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

基本的にキャラゲーや萌えゲーは楽しんだもん勝ちだ(と思う)。
聖書にも「順境には楽しめ」という含蓄のある言葉が残っているが、それに倣うかはさておき、
私なりに目いっぱい楽しめるだけ楽しもうと思い、ポジティブな気持ちで拙い感想を書き残した。
少しでも共感を覚えていただければ幸いである。


天梨
前作でハミダシていたサブヒロインが、正ヒロインに昇格。とても喜ばしい。
シナリオはエロゲー甘党を自負する私でも、胸やけになるほど糖度の高い内容だった。
バカップルと言って遜色ない恋愛劇は、とろけるプリンを頬張っているかのようだ。
シリアスなシーンは皆無で、頭を空っぽにして楽しめた。イチャラブの完成度が高い。

ただ、天梨に関してはクリエイティブと言えるシーンが皆無で、
その点、作中で最もハミダシているヒロインと言えるのかもしれない。
健気さあふれる読モギャルなんて、天然記念物級の希少性すらある。
これは最近気づいた事だが、二次元のギャルは大変素晴らしい存在だ。

細かなところでは、雑誌を汚す外出しの選択肢の需要がややナゾ。
中出し派に対して選択肢を与える試みかと勘繰ってしまった。


詩桜先輩
復権枠。無印発売後の人気投票では4位だったが、それとはうってかわって、
今回は三浦大根……ではなく株を上げてくるヒロインだと思う。
無印のシナリオはあまり突き抜けていなかったし、“クリエイティブ”な部分が見えづらかった。
ところが、凸では詩桜先輩の可愛さ、才能の面がかなり引き立てられていた。
無印での不満は、全てではないにしろ、ある程度解消できる内容だったのではないか。
英語問題の選択肢は、没入感を阻害するので不要と思った(日本文学ならまだしも)。

詩桜先輩の場合、他のヒロインたちに比べるとパートナーとしての距離感が独特で、
そこらへんが特異なお付き合いとも言えるが、特有の気難しさこそ彼女の魅力でもある。
冬の大根が甘くなるように、今回は糖分マシマシの話だったので大いに救いがあった。

あとはHシーンが良い。黒髪美少女のハート目なんて、もうたまらんとです……!
詩桜先輩にたまに下品な卑語を喋らせて興奮させられた上で、
形の良いおみ足でナニを踏まれたいだけの人生だった……。


華乃
オタクの理想。糖分だだ漏れルート。シュガーオブシュガーオブシュガーオブ以下略。
エロゲー的な“砂糖菓子の弾丸”で、心を撃ち抜かれた。

とにかく、神クリエイターである華乃と愛の巣でイチャイチャしたい。
そんなエロゲーマーの俗な欲求を、これ以上なくライターが分かってるのがいい。
作中でもっともファンディスクらしいシナリオで、クリエイティブな話を挟みつつも、
華乃との生活を楽しむためだけに全ての労力が割かれている。
本編にはなかった、おみ足の見えた全裸えちも◎。

ストーリーでは受験の話が多く出てくるが、華乃のキャラクターが良すぎて、
彼らの大学生活編をプレイしてみたいと思えるほど、話が終わってしまうのが惜しい。
華乃の挙動は常に笑えるし、Hシーンは部分的にハート目でエロいし、声優さんの演技力もすごい。
まあ要するに、「は? かのちんルート最高なんだけど???」


あすみちゃん
雪空から降臨した肉まん天使をお探しの方はこちら。思わず「ちゃん」付けしてしまう、ミニマム天使である。
基本的にあすみちゃんとイチャコラするストーリーで、時おり大胆な発言をする彼女に悶え死にさせられたり、
花が綻ぶような笑顔のあすみちゃんにキュン死にさせられそうになった。あすみちゃんマジ天使。
Vtuberの話も継続的に絡めており、軽く成長物語としての側面も見せる。
もし、エンディングテーマをシキちゃんとして歌っていたら、〆として完璧だったかもしれない。

コスにお着換えしている最中のあすみちゃんが珠玉。
お背中が綺麗に描かれており……とにかく後背位とお着換えのシーンは尊すぎる。なんだ神か。
この骨ばったところのない、無垢なお背中を見ていると、アブない何かに目覚めてしまいそうである。
華乃にも背中を見せたCGはあるが、よりなだらかな曲線であるあすみちゃんのお背中は際立っており、
何かこう……西洋宗教画のごとく尊すぎてヤバい(語彙不足)。
“漢は背中で語る”とか言うが、あすみちゃんも背中で良さを語ったと思う。


ひよりん(最後にプレイ)
令和版こんぼく(タイトルだけ)。
「こんな娘もとい、妹がいたら僕はもう……!」と思わず天を仰ぎたくなるほど、ひよりんが尊い。
ひよりん・ザ・パーフェクトシスターは、存在も台詞も所作も全てがカンペキすぎて、
一介のレビュアーにとって、彼女の良さを語るにはもはや紙幅が足りない。
ひよりんのボイスが可愛すぎて、もはや太田資正ではなく尊み秀吉なんだけど?

……って、ここまでプレイしてきたルートだけでも既に糖分が飽和状態なのに、
本丸のひよりんルートが残ってて、語りつくすのもう無理……。

……もっとマジメに? OK。

端的なところを指摘するとすれば、近親相姦というタブーに向き合うストーリーは、
時代劇の勧善懲悪と同じく、もはやテンプレートと化して久しい。
そんな中、周囲に安易に打ち明けてハッピーエンドを迎えるのではなく、
ちゃんと兄妹なりの答えを出しつつ、フィナーレを迎えるのは偉いなと。
意外と泣かせに来るストーリーなのは予想外だったが、
甘味あふれる他のストーリーとやや差別化を図ることで、
一連のルートの本筋なのを示唆している気がしないでもない。こんなところか。
(げっちゅ屋の特典は反則だと思う……妃愛スキーは入手すべし)

一点だけ注文があるとすれば、「おにんぽ成分」が不足していたことだけが残念。
おにんぽ連呼のHシーンさえあれば、令和最初の伝説になれただろうに、実に惜しい……。

なお、妃愛に限った話ではないが、各ルートの多くで前作のストーリーとの関連性が高い。
それゆえ、無印のプレイ経験は必須と言ってよく、そしてできれば、無印の話を忘れないうちにプレイした方がよい。
まあ、無印をやらずにFDに凸る猪“凸”猛進型のプレイヤーはいないと思うが念のため。


柑凪ちゃん&伊々奈ちゃん
セクシーなおパンツまで見せておきながら、攻略できないとはどういうことじゃ、おら~。
……でも、彼女たちまでヒロインとしてしまうと、もはやクリエイティブとは関係なくなってくる。
これ以上はコンセプトを外れてしまうので、脇役なのもやむ無しか。もう少し登場シーンがあると良かった。


総評
ファンディスクの部類ではあるが、随分とキレイにまとめてきたなと感心している。
無印発売の直後から求められていた天梨ルートを高い完成度で実装し、
かつ4人のヒロインのその後を描いたストーリーは、それぞれ本編に比肩しうる満足度があった。
どのルートも外れがないという点で、このゲームはポイントが高い。

柑凪&伊々奈ルートをひよりんルートから派生させるのは難しそうだし、
広夢きゅんのような男(の娘)ルートはいつの時代も諸刃の剣だ。
実装されていないからと言って、減点するのは野暮というものだろう。

限りなくユーザーに寄り添った名ファンディスクだと思う。
本編のファンは、必ずと言っていいほどプレイしてほしい内容である。

糖分の摂取はほどほどにね!


【雑記】
いつもより砕けてますが、ハミクリ凸が楽しめる作品であることが伝わればおけまるです。

茜屋さんのコミカルなSD絵がめちゃくちゃ可愛い。
もっと起用してほしいクリエイターさんです。