短編エロゲーは、いかに効率的に思考停止できるかが重要なのだ。
『天国に涙はいらない』というライトノベルがある。
それを捩るならば、「短編キャラゲーに涙はいらない」といったところか。
中身がなくたって構わない。キャラクターが生き生きとしていればいい。
シリアスなんてもってのほかだ。無理にシリアスを詰め込んで、破綻した作品のなんと多いことか。
“シリアス許すまじ”なのである。
その惨状を知ってか知らずか、この作品はシリアスなシーンを全くと言っていいほど使わず、
「ハル or 鈴夏とぐーたらしたいだけの人生だった」といった、これまた中身のない感想を
多くのユーザーから上手に引き出した。ストーリーを捏ねずに勝負した作品の一つだと言える。
【格闘家もどきのワイルドニートが、食料として拾った感情のあるトカゲをペット化。
その後、突如として竜が地球へと侵攻し、竜の大群が空を覆う事態に……!?。
人類最大の危機かと思いきや、なんと拾ったトカゲが美少女ドラゴン娘へと覚醒し、竜を説得。
彼女は竜姫だったのだ。そして繰り広げられる、竜姫ハルとの萌え萌えぐーたらニート生活!】
このように、冒頭から明らかに成り立たなそうで不思議と成り立っているのは、本作品が短編だからに他ならない。
高くないジェンガは崩れにくい。それと似たようなものだ。ぼろ(シリアス)を出す前に読み終えてしまうから、
空々しい破天荒な設定であっても、“萌えゲーだから仕方ない”程度で解決してしまう。
思考させる意図も思考する必要もないというわけだ。
もしこの作品が長編フルプラ作品だったならば、途中からぐだぐだになりすぎて、
とても読めたものではなかっただろう(抜きゲーに行くなら話は別だが、このブランドにその気はないはず。
卑語修正あるし……)
この危うい物語を強力に支えているのは、鷹乃ゆきさんが手掛けたキャラデザだ。
立ち絵が一見して目に飛び込んでくるのほどのインパクトはまさにS級。柔らかさと可愛さは、もはや大正義である。
特筆すべきはハルだ。“あどけなさの残る年頃のレッドドラゴン♀”をカワイイ系で美少女化するとしたら、
これ以外にあり得ないと言ってもいいくらい。2Pカラーの存在を許さない完璧なキャラデザだ(個人の意見です)。
作品としての欠点はエッチシーンの入り方が性急すぎること、物語の切り方が雑で水着のビジュアルがなかったこと。
後者は、無理に“釣り”に繋げるのではなく、水着美少女たちが“キャッキャウフフ”する様を見るのが
紳士としては“オツ”というものだろう。単純に、ハルの水着キャラデザを見たかったという本音はさておき……。
ともかく、のんびりとプレイできるため、手軽に購入できる一作であることには変わりない。
テキストを追うのが、声を聴くのがとても楽しかった。こうやって、気軽に感想を書けたことにも感謝したい。
【雑談】
続編があってもおかしくない内容。続編が出るならば、3Pにも期待したいところです。