進化ではない。退化でもない。変異である。
VenusBloodシリーズと言えば、中毒性の高い師団編成システム!!
……それがプレイ時間の大部分を占めていたはずだった。
試行錯誤と自己満足の螺旋構造。それこそが、このシリーズの屋台骨の役割を担っていた。
他のゲームには見られない際限のない組み合わせの魔力が、私をひきつけてやまなかった……。
ところが、シリーズの軸となったシステムは、この作品では見る影もない。
実際にやってみたが、期待を大きく裏切られた印象がとても強い。
システムに関しては、ギブアップの烙印を押さざるを得ない。
必ずしも、ユーザーを一括りにして評価するつもりはないが、
旧来のVenusBloodに慣れ親しんだユーザーほど、反動が大きいように思う。
言いたいことは沢山あるが、問題点を羅列するとすれば……
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◆一昔前のゲームメーカーが作ったのかと疑うほど、画面が著しく汚い。
戦闘画面・編成画面・マップ・ダンジョン。その全てに、粗さが見られる。
◆まったくと言っていいほど、やりこみ要素がない。
ユニットには流用も数多いため、シリーズでは最も異色の作品に見える。
もっとも、見づらい画面を直視して、
機械的な戦闘を行ったり部隊を編成したりするのは大変な苦痛だ。
やりこみ要素が前作ほどではない……というのはなんと皮肉なことだろう。
◆システムの使い勝手がすこぶる悪い。
例えば、『クエストカウンター』を受注した後、なぜ前の画面に戻らせるのか。
そのままダンジョンへ向かえないのは大変煩わしい。萎える。
ちょっとした面倒事も、幾度となく繰り返せば巨大な障壁となる。
◆他の方も指摘するように、ソーシャルゲームのシステムをそのまま流用している。
ゲージを溜めて奥義を放つ。これはもう、あからさまではないか。
それを何の工夫もなく取り入れていることに、大いに疑問を覚えたし、落胆もした。
流行に迎合するブランドだったか……と。
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このような負の要素が積み重なれば、どのような作品でも錆びつく。
ましてや、虎の子である師団編成システムを放り投げてしまったのだ……。
信頼のおけるシステムの代替品を用意するというのは、並大抵のことではない。
この重厚なシステムを一作で刷新するのは、あまりにも蛮勇が過ぎるというものだ。
システムは徐々に進化こそすれ、突然変異させるべきではない。
私としては、以前のシステムに回帰してほしい。
なぜならば、この作品はVenusBloodの名を冠するに相応しくないからだ。
シナリオ以外。
【雑談】
はみ出し者がのし上がるストーリーは好きです。凌辱もありますし。
出来栄えが安定しているので、このクオリティを保ってほしいですね。