キャラクターを前面に押し出した至高のファンディスクの一つ。ブランドが狙った通りの、そしてユーザーが求めた通りの、お手本のような後日談。実に甘く、美味しゅうございました。
たった一泊二日のデートを種に、絶妙な加減で膨らませたふわっふわの甘菓子。キャラクターを生かし、設定を生かし、本編の内容をも生かしきる、とろけるような甘露の日々。これ以上は望むべくもないストーリーだと思う。
ヒロインの有坂真白は、言うまでもなく魅力的なキャラクターだ。美少女。ツインテール。ゲーマー。頑張り屋。ちっこい。ネコっぽい。なにこれかわいい。言うまでもなくハイスペックだ。これを生かさない手はない。メイドさん、水着、ワンピース、浴衣。向日葵の似合う真白。そんな彼女ならではの夏らしい格好を見ることができる。この子が好きな人ならば、きっとそれを見ただけで幸せになれるだろう。
シリアスはいらない。ストーリーも凝ったものでなくていい。FCは前にもやった。ならば、真白とイチャラブする……そんなストーリー以外は筋が通りにくい。キャラクターの持つ魅力を無視して、あえて針の穴を通す必要はない。そうやって、この作品は有坂真白という女の子の魅力を十二分に引き出すことに成功した。日常会話にしろ、イベントにしろ、数あるファンディスクの中でも楽しめること請け合いである。
ビジュアルだけではない。話も実に真白らしい。意外な芯がある。(本編でもそうなのだが)真白がとにかく頑張る子であると、改めて知ることができる内容になっている。邪神ちゃんとのやり取りは、その集大成と言えるだろう。物語を引き締めつつも、ほろりと来る。
真白といて楽しい。もっと真白といたい。これからの真白を見たい。ますます真白を好きになる仕掛けが、随所に施されているから、たまらない。ブランドの狙い通りの、そしてユーザーの欲求通りの作品なのではないだろうか。
ただ、一つだけ気になった点を挙げるとすれば、Hシーンの描写がやや性急なところ。挿入シーンをはじめとして言葉が足りず、細やかな描写に欠けている印象を覚えた。作品の傾向から言って卑語は邪魔だと思うだけに、その代替と言える代物が欲しかった。それでも、この作品の質に匹敵するファンディスクはそう多くはない。おそらく片手の指で事足りる。極めて効果的なファンディスクだと言える。
ファンディスクのファンディスクを見たくなる。真白のかわいさも相まって、比類なき多幸感が募る作品であった。
【雑記】
バイノーラル録音で囁いてくれたら、ある程度エロ成分を補うことはできたのかな、と思います。