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Atoraさんのたからさがしのなつやすみ(前編)の長文感想

ユーザー
Atora
ゲーム
たからさがしのなつやすみ(前編)
ブランド
さんどいっちわーくす
得点
75
参照数
1146

一言コメント

見えないエロに目を注げ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想


「見えないものに目を注げ」



 言わずと知れた新約聖書にはありがたくもそう記されているが、
昨今のエロゲーの中には、見えない部分を持つ作品が少なからず存在する。
分割した作品は当然ながら続編が未知の領域となっている。
商業化する前の同人作品も、場合によってはブラインド状態だ。
ストーリーの追加や変更が為されたり、ボイスがついたり、色々とブラッシュアップされて世にお披露目される。
少し前までは違和感があったが、もはや当たり前の話だ。


 その視点で見れば、ここ一年でセンセーショナルだったのは『ChuSinGura46+1 -忠臣蔵46+1-』。
ボイスが実装されるや否や、モノクロの世界が一瞬にして彩を覚えたかのような感動があった。

 だが、基本的に見えない部分に大いに期待させる作品というのは根っから強い。
どうしても期待せずにはいられないということは、
本を正せば“見えている部分がそれだけ魅力的”ということに他ならないから。
ChuSinGura46+1も3章までのストーリーの出来映えが極めて出色で、
それだけ続編のポテンシャルに期待する声が高かった。


 他作品の評はこのくらいで置いておくとして、
そういったまだ発表されていない部分に期待を抱かせる作品はこれまでもあったし、
実際この作品もその類なのだろうと思う。
けれど、作品自体が9割がたエロシーンのアニメで、
なおかつ後編の本番シーンに期待を寄せる作品など、はっきり言って異端も異端。
新鮮な評をつけている感じがする。


 パッケージやホームページで通達されている通り、前編には本っ当に本番がない。
ついでにストーリーらしきものもほぼない。
田舎の停留所に、平気で脱ぎだす“お姉さん”とちょっとませたところのある“ボク”がいて、
なし崩しな流れでエッチしてしまうという、あまりに大味すぎる超展開だ。
字面だけでは、「これでよく前編と後編に分割できたな」と訝しがられても仕方のないところだが、
実際に3Dアニメの出来がすこぶるいいのだから不思議と看過できてしまう。


 ねっとりとした汁気表現、勢いのあるフェラをはじめとした前戯、若干やりすぎの感もある母乳、
少年の葛藤と好奇心、そしてお姉さんの妖艶さ、郷愁の感溢れる長閑な情景。

 何かもう、二人だけでなく取り巻く全てがやらしい。
しかもいいところで後編へと繋ぐので、購買欲をくすぐられる終わり方になっているのが、実に憎らしい。


 本番はこの前編では見えない部分となっているが、
本番なしでこの出来ならば後編は一体どうなってしまうのか。
作中の“ボク”にも通じるユーザーのエッチな好奇心を、これでもかとくすぐってくる。
見えている部分だけでも、抜き3Dアニメとして十分な実用度を満たしている本作。
短くも濃い時間をたんまりと味わい、後編を座して待つのがオツというものであろう。



【雑記】
 唯一の失敗は無料体験版。大盤振る舞い過ぎます。

 ひとつの作品として評価したいために、今は点数を投じておりません。悪しからず。