キャラの深堀りがもう一声欲しかった。けれどただのキャラゲでは終わらせないという意思を感じる作品。
晴音さんが異能持ちだという事実が終盤に判明するわけですが……物語の盛り上げ的には良かったと思います。綺麗にまとまっているかなと。
で、この構成の悪影響として、晴音の考えていること、ココロの中の描写がどうしても足りなかったように思います。ある程度妄想することは出来ますけど、それが出来るのはもう最終盤であってプレイ中の体験としては……。その上で付き合うまでの経緯までもすっ飛ばしているわけで。
晴音さんも主人公のように異能由来の苦難の日々があったことが示唆されていましたが、そういうところにもっと踏み込んでほしかったです。
あとBGMについて。BGM数が少ないのも要因かとは思いますが、「疑心暗鬼」の暗さが半端ないです。軽度のシリアスシーンに流すBGMではないと思います。ディレクター側と作曲側との認識に齟齬があったのでは?と疑っています。
BGMの質自体はかなり良いです。
と、悪い面ばかり書きましたがそんなに悪い作品なら70点台にはしないわけで。
絵と塗りに関しては安定のHULOTTEクオリティでしたし、深堀りの無さは感じるものの、晴音さんの魅力は十分に伝わってきました。ほんわか系なのに嫉妬したり優越感覚えてたりムッツリだったりするところが好きです。
それと、海の家の場面の
『人のココロのイロやオトって、結構簡単に変わるんだってこと。こっちがそういう対応をすれば、優しいイロ、楽しげなオトになるんだってこと。』
という言葉が大変刺さりました。言われてみれば当然ですが、言われないとつい忘れてしまうことだと思います。
人のココロに関する描写に関しては、確かなメッセージ性を感じました。
……と、振り返るとプレイ中の感情よりもちょっとだけ加点したくなる、そんな作品でした。