キャラの暖かさと雰囲気作りの上手さが光る作品
本作で一番好きなのは、全編を通してキャラクター達の暖かさと成長が目一杯表現されていたところです。プロローグのアキ→晴彦の励ましから始まり、各ルートの卒業シーン、そして終章のアキの説得シーンと、シリアスなパートはあっても終始優しい物語でした。TRUE(アキルート)で他ヒロインにもたくさん見せ場を貰えたお陰で、個別の成長が虚空に消えていないことを実感出来るところが上手でした。
成長という面では、主人公の描写も結構濃かったと思います。先生としての苦悩を細かく描いていました。晴彦の最後の願いは予想外で、TRUEの問題解決的な意味でも上手いまとめ方をしたなと感じました。
それから、演出の良さもわりと見逃せません。『魔法使いの記憶』のBGMが流れるシーンはどれも大体良かったのですが、特にアキルートの入りの、導入の語りからオズの写本の記述に移る一連の流れは最高に痺れました。
そして、ヒロインが皆可愛いのも当然あります。アキは声質や、よく精神的に追い込まれる主人公との噛み合わせの良さもあって癒やし力が凄かったです。わりと積極的で女豹なところも大好物です。夏乃も同じく声の力と、ひたすらにピュアでポジティブなところが魅力的でした。フユはやはりデレの強さ、アブリルは心の内の弱さがそれぞれ好きになりました。
サブキャラも皆一癖あって良いキャラしていました。他が善人すぎるのもあり、西野さんの絶妙な悪役加減は特に良かったです。
欠点として、アブリルルートは卒業シーン以外は消化不良でしたし、ハルの仕掛けはあれだけもったいぶった割には雑に消費されてしまった感が否めません。ついでに日常会話がシモ率高めなのはあんまり好きじゃないです。
そして、結局どのルートも締めの良さが「卒業」というエモシチュエーションに依存していて、少しだけマンネリを感じました。少しだけ。90点台に乗せていないのは、その辺りの手数の少なさが気になったからです(そういった意味では、最後に生徒ではなく晴彦の教師としての成長描写を推してきたのは好印象)。
とはいえ!(本作「とはいえ」の使用率やたら高くなかったですか?気になって仕方なかったです)やはり魅力の数々は欠点を上回っていたと感じました。幸福も不幸もあるシナリオでキャラの魅力を増幅させるタイプのキャラゲーは良いものです。
ところで、結局「ランチタイム」ってどういった存在だったのでしょうか。作品のタイトルにつけるくらいですから、舞台装置としてだけでなく大きな意味が込められていると思っていたのですが、読み解けませんでした。『オズの魔法使い』関係のネタなんですかね。だとしたらべんきょー不足で損をしてしまったかも。
推しキャラランキング
プロローグまで
アキ>アブリル>夏乃>フユ
クリア後
アキ≧夏乃>フユ≧アブリル