変えられないのが過去だけじゃなくこの先の未来もだったとしても、もっと先の未来のために動くことはできるでしょう? だって、自分自身の未来を閉ざしてしまうことは、ほかならぬ自分にしかできないのだから・・・・・・
というわけで2013年一発目のフルコンプリート作品となったのは、閉店が決定したファミレス「トリアノン北橋店」での閉店までの2ヶ月間を物語の期間とした本作、「ぽっと-Rondo for dears-」となりました。
購入動機としては榊MAKIさんの絵が可愛かったことと、OP曲である榊原ゆいさんの歌う「夢の罪」に惚れ込んだこと、またその榊原ゆいさんが演じるちゃらんぽらんだけど面倒見のいいお姉ちゃん「緒方希美果」というキャラクターが気に入ったこと、そしてなにより中古価格の安さでした(880円)。
夏頃のお話だしー、と去年の6月に買って以降実はずっと放置していたのですが、落ち着いた雰囲気のゲームをやりたくなったこともあって始めたら一気に終わらせちゃいましたという感じになります。
06年発売のゲームということもあり、システム面で何か言うのはなし。
ディスクレス起動が不可能なのは相変わらずの私的最大クラスのマイナス要素です。
ゲームのシナリオについてですが、この手の入りが暗いゲームにしては、よく日和らなかったな、というのが第一印象です。
この手の入りが後暗いもの(例えば、そう、部活が廃部寸前!?とかの物語)で、個人的に一番やっちゃダメだなーって思うのが、物語にメリハリをつけたいがゆえにあえてその最初の前提を崩す、今回の場合は「閉店の決定が取りやめられる」とかの出来事だと思うんです。
いろんなゲームをやってて、本当にうまく描写している物語もなくはないのですが、大体は盛り上がり重視で簡単に前提をひっくり返しちゃうものが多いように感じています。
そういうものは、たしかに盛り上がりを考えればいいのかもしれないですし、その文章を読むことになる客層がどう受け取っているかによって善悪が分かれるかとはもちろん思いますが、言うなればそれは、みなさんがゲームを酷評するときによく使われる言葉で、
「パッケージ詐欺」
と呼ばれるものになると思うんです。
この言葉がいい意味で使われていることが多いこと自体にも私は大変遺憾なのですが・・・・・・と、そろそろ関係ない話はさておいて。
今回のこの「ぽっと」というゲームは、最初のあらすじである「閉店が決まった店での最後の期間のお話」という部分は全く崩していないんです。
どのルートに行こうが、結局各々のヒロインや登場人物の、キャラによっては人生といっても良かった「トリアノン北橋店」は閉店で店舗取り壊しになるのです。
そうだからこそ、楽しいイベントがあってもそれは終わりまでの最後の花火でしかない、とか、どこかしんみりと見ていられる空気を文章で醸し出すことができていて、非常に良かったと思います。
次に、ラストですが、ネタバレになるのである程度は伏せるとしても、どのルートでも最後はだいたい同じような結末になるんです。
しかし、このゲームのもう一つのコンセプト(と個人的には思っている)としては、
「ここが閉店するとき、このメンバーが全く同じ立場で一堂に会することは二度とない」
ということだったと思います。
そのため、ラストは同じような結末でも、微妙にそれを意識させるようにそれぞれのルートでのキャラの今後が描かれていて、すごく徹底しているなとは思いました。
ただ、そこに終始してしまったためか、展開それ自体はちょっと無理のあるものになっていた部分もなくはなかったと思いますが。
次に、個別ルート。
基本的に、
バイト組である輪廻と明日葉、
社員組である希美果と静、
店長である日和
という大まかなルートの方向性にはなっていると思いますが、そこまで共通する、といったほどではなく、だいたい個別のシナリオといっても大差ないです。攻略するときにはこれを意識してもいいかもしれませんが。
あんまり個別ルートのことを細かく書くのも何なので、ある程度だけのことを列挙して書いておきます。
・個別になってもすべてのキャラクターがまんべんなく関わり続けているのが◎
・たまゆらかわいいよたまゆら
・明日葉の気持ちはすごくわかる、関係ない人にはどうでもいいことなんだけどそこにはこだわりたいんだよねー
・店長と静はマジでエロい。やっぱ未亡人と真面目ってのは床で化けるものなんでしょうか。
・たまゆらかわいいよたまゆら
・女の子の胸を揉むのが趣味とか・・・・・・お願いします日和店長そのポジション俺と変わってください。
・剣持さんが攻略できないのはバグだと思いつつも、あれはあれでいい味出していたと思う。
・緒方三姉妹は癒し。
・たまゆらかわいいよたまゆら
…etc.
だいたいこんな感じでしょうか。
ちなみにですが、希美果があれだけダメ男に引っかかっているのに処女というのはちょっと解せないっすねー
一回くらいダメ男にレイプされてる過去とかあっても良かったんじゃないでしょうか←
話が必要以上に暗くなりそうなんですけどね。
(それでも流石に、引きこもり男に、付き合って家に来たと思ったら預金通帳持って行こうとする男とか、コンビニ強盗で捕まる男とか、物語の期間中だけでこんだけダメな男に引っかかる希美果ちゃんぇ・・・・・・)
というか、もっと恋多きヒロインは増えてもいいと思う。
なにより、女の子の方から草食系な主人公に迫ってきているエロゲが多すぎる気がして食傷気味。
その点でも、落ち着いた大人で、少し鈍感でもちゃんと向き合ってくれるあたり、主人公である城島一誠くんはやってきたエロゲの中でも有数の優良主人公だと思います。
最後に、このゲームはどんな方にオススメか個人的に列挙しておいて終わりとします。
①学生同士の恋愛ばかりとなっている最近のゲームに飽きてきたけど、そこまでシナリオが重いゲームをやりたくない方
②ヒロインも主人公も社会的にある程度の立場はある人たちなので、節度を持った恋愛物語を楽しみたい方
③とりあえず2ヶ月先までは決まりきった運命のために、キャラクターたちは何を思い、どう動くのか。その姿を神にでもなったかのように見守りたい方。
④一誠ちゃんに惚れた方
⑤攻略できないようじょ(たまゆら)に癒されたい方
以上の方に推奨いたします。
中古価格もおそらく今(2013/1/3)でも超えても1000円でしょうので、気軽にやれるかとは思います。