いろいろ言われているように感じる作品ですが。いい意味で古臭い、テンプレートのような作品に仕上がっていて、私個人としてはなかなかに楽しめた作品だったように思います。欲を言えば、もう少しメインの登場人物以外の人物が出てくることで、物語が発展するという形が(特に共通部分で)あっても、よかったのかもしれません。いつもどおり長文部分は軽い総評とメモのみです。
1 総評
この作品をあえて語ることというのは、難しいように思う。
なにせ、ヒロインも設定もある意味で使い古されたテンプレート。そして、それらをうまくコネクトし、彩らんとする「物語」もまた、使い古されたテンプレートで、読み手にとっては「単純明快」という言葉がふさわしいもの、そのものなのだ。
キャラクターの設定さえ理解してしまえば、なんとなく予想のついてしまう展開ばかりで、しかもそれは、単調な表現でなされているのである。昨今の作品に比べれば、なんて簡素なゲームであることか。
でも、そこが、このゲームの心地よさ。
こまごまといろいろ書いていくのもなかなか難しいので、うまくここに表すということはできそうにもない(後述のプレイ中のメモに少しづつ現れてはいるのだろうけれど)。
でも、敢えて頑張って、表現するとするなら。
「短いけれど、決して雑ではなく、うまく「古臭い」物語を表現しきっていた」という作品だったように思うのだ。
……正直なところをいえば、物足りない感じはままあるところではあったけれど。いざすべてのルートをクリアし、タイトル画面に戻ってきたときの、あの、「終わった」という達成感とでも満足感?とでもいうような感触は、なかなかに心地いいものだったと思う。
いろいろ言われているところはあるけれど、これだけの作品がまだ作れるというのであれば、CIRCUSもまだまだやれるんじゃあないだろうか。多分に信者目線が入ってはいるけれど、そう感じられる作品だったと思います。
クリアがようやくになってしまい、すでにファンディスクも発売されている本作ですので、後々ファンディスクもプレイしていこうかと思います。
2 プレイメモ部分(ネタバレ部分もあるかもしれません)
D.S.-Dal Segno-
→久々のCIRCUSの完全新作。さぁ、どうなるか楽しみで仕方がない。
※実体のないホログラム系ヒロイン……Ripple以来だな。
※楽園と呼ばれる島と、幸福度を示す数字。そして、空から降り注ぐもの(人工妖精?)。すべてがすべて、細かく本筋の話に関係しているなどとはあまり思いたくはないのだけれど。
ここからどう紡いでいくのかはまぁ、気になるところではある。物語を描く者にとって、叙述というのは、話のタネよりも確実に、腕の見せどころなのだから。
→てか、ヒロインズの幸福度低くねっすか……
(初期値 ひまり12、遥月107、乃絵里43、依愛15、大和66)
→そして、主人公の数値ってどうなっているのかしらね。
※そもそも、この話、目的がはっきりしない主人公なんだよな。乃絵里が関連しているのははっきりわかるんだけど、いったいどうなのやら。
※あくまで「だれも不幸になることがない島」であって「みんなが幸せになれる島」ではないところに、なんというか、消極的な見立てを覚えてしまう。
→そう、主人公の言を借りれば「幸せになるとは限らない」ってことか。
どこかで誰かが言っていた言葉ではあるのだが、本当に、枯れないサクラの物語に類似している。
攻略順どうしよう……悩むけど、以下で行きます。
藤白乃絵里→神月依愛→邑崎遥月→朝宮ひまり→天
藤白乃絵里 68
→前世は目覚まし時計。レベル1で乗っかる。しっかりもの?
※そうです。頑張ってるんです、私。
○ぷっちんされた。
○だんだん癖になる
※あれ? 恋人なったとたん数字上がってるー^^
※どうも、「妹」という存在にこだわりすぎてる節はあるのかも。初詣の願いでその記憶まで作っちゃって暴走、とか? いやはや、そんな展開があるわけないか。
→^^;
一番嫌いなパターンきたよ……話の出来云々を抜きにして、一番嫌いなの……
→「ソウダヨ、ワタシ、シアワセダヨ?」
※大和、普通にいいやつなんだよなぁ……初代杉並に近い感じだ。この親しみやすさは。
→何綺麗に〆ようとしてんだよ(^ ω ^ ##)
とりあえず、題材がずるいです。嫌いですけど、こういう展開、自己満足で言うならものすっごく嫌いですけど。
題材は良くも悪くも前時代的なんだけど、まさに王道というところな気がする。最近はヒロインの個性としての立場、というのが当然のように利用されつくされていて、「幼馴染」くらいしかその立場に縋りたい、というタイプの話は見てこなかった。でも、この話はまさに、「妹」という、いつでもお兄ちゃんに甘えられて、いつまでもお兄ちゃんと何らかのつながりを持っていられる、そんな地位に憧れた純粋な女の子のお話として、王道を丁寧に描いているような気がします。
……やっぱり古臭いけどな!
神月依愛 70+1
→ドヤァ。お昼は稀代の錬金術師を駆使した自作のお弁当。だいたいかわいい。間違いなく甘党。
※あぁ、なんか最初の方のイメージ通りという感じだ(展開
※ここの何が面白いって、普通の逆みたいな流れを行くところですよね。この2か月後に出た某作品でも、同じように普通の逆を行く流れがあったけれど。これはこれで、面白いからもっとやれという感じだ。
→ヒロインとしては見れなくなるような展開になるのかもしれないが、変に取り繕うよりは、物語として面白い方が、まだいいのではないだろうか。
△でも、この話をやりたいがためには致し方なかったとはいえ、普通なら「こっちを使うだろ!」って題材がさらっと流されているのは気にはなるんだよなぁ。まだ途中だから、そこで修正してくれるのかもしれないけれど。
→これ、本来学園モノでやる展開じゃないよなぁ……。だけど、こうやってうまく昇華してくれる分にはいいのよ?
→補足。こうやるなら、これでいい。むしろこのほうが、スッキリするのかもしれない。
→乃絵里同様、王道に王道な題材なので、それ自体に何か言えるということはなくて。ただただ、依愛という人物をもう少し知れるような展開を丁寧に描くなどの、もうちょっと丁寧な描写がなされていれば、これほどまでに何とも言えない感じは回避できたんじゃないかなぁという感じがします。
でも、まぁ。王道な展開を嫌い、敢えてそれを外したにもかかわらず何もできずに沈んでいく作品が多いことに比べれば、王道たる展開の大切さを知ったうえで、あくまでできる範囲で描いたというような展開に仕上がっているだけで、このルートは十分な出来なんじゃあないでしょうか。
正直行動はアイタタタだけど、こんな「ヒロイン」、たまにはいてもいいじゃない。
○EP加点+1
邑崎遥月 75+2
→幸福度が桁違い。料理は作ったことがない。ぬいぐるみが大好き。
○おまかわ。これはあぶない。しっかりみててあげないと(
※これはまぁ推測でしかないけど。これだけしっかりとしているはずの彼女が、はじめてのこととはいえ「お試し」なんてものを選ぶのだろうか。そこに、何かあったりするのだろうか。
※やっぱり、コイン、なのかな。
○親父さんいい人だよな……娘を大切に思いながらも、適度に自分の「思い」を押し出しているような。優しすぎるのとも厳しすぎるのとも違う、しっかりとした態度だ。
→そしてこんな父親だからこそ。この父親が作り出した空間だからこそ。子どもが抱えすぎるには重すぎるものを抱えてしまった一人の少女は、いろいろ考え、悩み、苦しむことになってしまったのだろう。
○あまりメモが残されてないけれど。読んでいる間隔は非常に心地がいい。これをどのように文章で紡いでやろうかと考えてみたものだが、私のようないちエロゲーマーごときには、これを文章で表現するのは困難に近いだろう。
○はーちゃんはかわいいなぁ!もう!
→やっぱり、王道に王道な題材。ただ、前までとは違って、遥月というヒロインをしっかり描かなければならないためか、その描写の量が格段に多くなっていて、その分にヒロインを感じることができた点で、先の2ルートにくらべて評価ができるところじゃないかなと思う。
このシナリオでは、誰もが大切な人を想って動くがために、誰もがどこかで食い違っていて。そんなありきたりな人間関係が紐解かれていくさまは、万人にとって幸せであるかどうかはさておき、とても心地の良いものであったと思う。
――だから、私は。月並みな言葉ではあるけれど。
「ありのままの自分をつかみ取った。そんな彼女に、ありのままの幸せがあらんことを」。
そんな言葉とともに、この先間違いなく幸せな未来を歩んでいくであろう「はーちゃん」に、ありったけの祈りを捧げたい。そう、思うのだ。
※だいぶ感情点高く入ってます。
○EP加点+2
朝宮ひまり 74+2
→時計は嫌い。私は風の向くままに、どこへでも飛んでいく。
○暇り嬢マジ暇り嬢。
※この子はどこか、人とかかわることに飢えているのかも? 実は結構寂しがり屋さんだったり?
→でも、そうなら、ここまで人と関わらないことには何かありそうだよなぁ。
○告白シーンかわいい。
※話の展開としてはまだ読み切れてないところだけど、幸運とか、そういうのがやっぱりカギになってくるのかしらね。自分と触れ合うと幸運ばかり相手に運んでしまうとか、そういうの?
→そうつなげるのは、多少短絡的かもしれないけれど、この文章量で描き切るなら、まぁ、そうなるかといったところ。うまくやれていると思う。
○久々に、人間くさいお助け親友だよ……このメーカーでそういうタイプ、1の杉並以来見てなかったからなぁ……
→先の3人と一緒で、やっぱり、王道に王道。その構成自体は一度見てしまえばなんて単純なんだろうと思ってしまうようなものなのだけれど、こうして読み終わってみると、ちょうどいい塩梅とでもいうべきな収まりの良さを感じてしまう。
そんな、寂しがり屋で、臆病な少女、という題材にまさしくジャストフィットというべきシナリオだったと。このルートを話す言葉としては、これだけを言うに尽きるのだと思う。
しっかりとひまり嬢にキャッチングされてしまった敦也くんのごとく、これからしばらくは、ボクも、寂しがり屋だけど、どこかお調子者な、帽子をかぶった、かわいいかわいい「姉さん女房」なお姫様の一つ一つに、キャッチングされてしまうのかもしれない。
○EP加点+2
天 73
→ほろぐらむ。島の中ならどこにでも現れる。
※この子、扱いどころが超便利な気がしてきた。困ったら「説明しよう!」で登場させればそれでいいわけだし。
※本当の幸せ。それって、「探せるもの」なの? どこかにあるものなの? 全く関係ない感想だけどさ。
○まぁ、こんな話になる気はしてた。これまでの経緯に鑑みて、いい意味でも悪い意味でも思いっきり「古臭い」シナリオになるだろうとは思っていたし。
でも、その表現ひとつひとつを、最低限で、冗長にならない程度の文量で描いているところは、ちょっと老害が入り始めた自分にとっては、ちょうどいい塩梅だ。
→また、その展開も相まってか、徐々に表現の幅が広がっていっているのがイイ。
単純なことなのかもしれないけれど、見せ方次第で「そういえば!」とユーザーに思わせることができて、そんな脳を刺激するような一つ一つが、ユーザーの頭にゲームの内容を植え付けさせるのだろう。
→みんなの楽園、風夏島。
あなたは、その場所をその場所たるものとするため、いつでも笑顔でいてくれて。
あなたと一緒に過ごしたいろいろな思い出は、こうして文字に、言葉にと、形で表すにはとても膨大で表現しきれないばかりで。
精一杯表現をしようとしても、あなたを想う気持ちが、勝手に身体から流れて邪魔をしてくるんだ。
だから、僕は。
――――デコピンをしてやるとしてくれたあの反応を、忘れない。
?
→もう少しくらい、扱い良くてもよかったんじゃないかな??
3 点数
[(68+0)+(70+1)+(75+2)+(74+2)+(73+0)]/5=73
推しヒロイン:邑崎遥月