とにかくキャラ達に萌える!SFチックなストーリーはしっかりとした世界観になっており、ワクワクで、そして泣けて、抜ける!自分が今までプレイしたエロゲー100作品以上の中で2016年現在、単独最高得点です。
批評空間参加3年目にして初めて、「ダンジョンクルセイダーズ2」(アトリエかぐや)よりも高得点を付けた。あまりに萌え萌え?な絵柄、特売もされない様子に、気になり始めた後も買うのを随分(半年とか?)迷っていたのだがとうとう購入。
キャラ達の魅力とストーリーに惹かれて時間を惜しむようにほとんど一気にクリアした。その後も、もう一度プレイしたくなる、している作品。
■魅力的なキャラとルート
まずはキャラクターが魅力な人物が多い。自分の場合この手のゲームでは「俺の嫁!」とまで言いたくなるようなキャラはメインキャラ4~5名のうち大抵1人かせいぜい2人なのだがこの作品ではまなみ、風花、沙織、美汐のどれもたまらなく魅力がある。(琴羽ごめんー)
キャラクター毎に用意されたシナリオも、多少の差はあれども各キャラクターを立てつつ話の盛り上がりと収束している。「全ルートをプレイしないと個別ルートではイマイチシナリオに不完全燃焼感」というのがない。
ただしそれは各シナリオで全ての伏線がはっきりするというわけではないので、全ルートを楽しむ余地もある。
またストーリーも嫌な意味でハラハラする部分がなく、展開もだれること無く一気に楽しめた。というか自分は一般に数ヶ月~1年かけてプレイするのが常なのだがこの作品はストーリー(とエロ)が気になって時間を惜しむように2週間で一気にプレイしてしまった。こんなゲームは他にあまりない。
■メティスという世界観とOP、EDムービー
さて、ストーリーの題材は「超能力」であるメティスである。「超能力」は一般的には「ファンタジー」に属すものだと思うのだが、本作品の場合、その中身に各種の設定が設けられていて作られている世界がサイエンティフックなものになっている。自分の中ではついついこの作品をSF作品とイメージしてしまうくらいで、この部分もSF好みの自分に合っているのだろう。それらのかなり「緻密」に組み立てられた世界でどのようにストーリーが展開していくか、変化していくかも読み応えがある部分だ。
オープニングムービーは最初見たときにはピピピと来なかったのだがプレイした後では十分余韻に浸れる。エンディングムービーはキャラクター毎にしっかりあり、エンディングソングは2種類だ。エンディングソングが全キャラ別に用意されているまでは望まないけれども、2曲あるだけでも嬉しい。
■主人公の賢さはClochetteの特徴、ヒーロー物語
主人公が賢すぎることを批判するコメントがあったが、Clochetteの作品はスズノネ、カミカゼ、プリズムの3作品を見る限り、そういう傾向にある。そしてそれは、そもそも伝統的な「物語」の典型、ヒーローとヒロインが手を携えて困難や課題を乗り越えて行く話なように見受けられ、だから読み甲斐もあると思うのだが、その際に主人公には何らかの武器が必要になる。そしてClochette作品では主人公が「賢さ」というものを武器にすることが多いようだ。
とりわけ「スズノネセブン」でも「カミカゼ」でも主人公には主題である魔法やメティスの補助的な能力しか与えられない。すなわちそれらのメインの能力はヒロインの方に与えられ、主人公は「機械作り」だったり「メティスのコピー」だったりなわけで、そのような「才能的に欠陥」を抱えた主人公が、才能に恵まれたヒロインに協力することで「魔法使い2人」「メティスパサー2人」以上の発揮する。それにより二人が結ばれる必然性を感じさせてくれるわけだ。
その際に工夫が必要であり、それには主人公の賢さが必要になるわけで、そういう点で「スズノネ」「カミカゼ」でのストーリー展開において主人公の賢明さは必要不可欠な要素と考える。
■そして友情物語
他の批評の中に主人公視点でなくなることに言及したものがあったが(それを読むまで意識しなかったのだが)確かにこの作品では主人公視点に全く縛られずすぐに「ガールズトーク」となる。だがそれは主人公と各ヒロイン達との間の人間関係だけではなくて、ヒロイン同士の友情の描写も丁寧だと言うことだ。
例えばまなみルートでは実の兄妹ということで、恋人になることの葛藤が特にまなみの視点から描かれる。そこでの突破は基本的にまなみの明るさなのだけど、同時に他のヒロインとの友情の助けもあり、それが同時に他のヒロインが主人公を諦める流れの説得力を生み出してくれる。
エロゲーでは一般なようにこの作品も主人公は全ヒロインにモテモテだ。一般論としてヒロイン一人が主人公と結ばれたら当然他のヒロインにとっては「失恋」になるわけだが、多くのエロゲ作品ではルートヒロイン以外のヒロインの失恋はあまりきちんと描写されず、あっさり表舞台?から消えることが多いのだが、本作品ではガールズトーク描写により比較的それがきちんと描かれ、それも読後感の良い物にしている。
(作成中)