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9791さんのフレンズ ~Child Flower~の長文感想

ユーザー
9791
ゲーム
フレンズ ~Child Flower~
ブランド
私立さくらんぼ小学校
得点
60
参照数
807

一言コメント

ヒロインのモノローグとHシーンの会話のみで、物語全部を構成する「姪っ子萌え」AVG。グラフィックは下手なメーカーよりは可愛く仕上げているし、ボイスはプロ仕様。定価は3000円。商業ベースの廉価版とほぼ同価格で、CD2枚と言えど、容量的には、他の同人ゲームと変わらないので、シチュエーションに萌えられるかどうかが決め手。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 「ロリコンは貴族の特権」・・・なんてコトバがあって、裕福なオジサマが、幼い少女をひきとって愛でまくるお話なんぞ、源氏物語に限らず、古今東西どこにでもある。このあたり、この手の官能小説から神話まで紐解くと、一種の“男の浪漫”は世界共通なんだなぁ・・・と妙なところで(イノセントタブーは別にして)“人類皆兄弟”な感想を抱きますな。

 「妹萌え」から「姪っ子萌え」へ!
(---パッケージコピー)

 ・・・と、パッケージから飛ばしてきた、この作品「フレンズ - Chilid Flower -」は、この手の“ろり~”同人ゲームでは、ご存知の方も多いだろう「私立さくらんぼ小学校」の作品。絶対に商業では設定できない年齢の女の子を愛でよう・・・というの趣旨の物語になっている。

 ただし、内容としては、オジサマが積極的に愛でるモノではなく、この物語は、ヒロインたちの心情描写のみで構成される。この心情描写は、かなり徹底されていて、ゲーム中には、いわゆる“地”の文章がほとんど存在せず、ヒロインのモノローグとHシーンの会話のみで、物語全部を構成する。

 この「ヒロインのモノローグ主体で物語を編む」方法は、商業系列では馴染まない。男性キャラが単なる記号になる恐れがあるからで、プレーヤーが自己を投影できない問題が生ずる恐れがあるためだ。この物語の場合、「おじさまへの幼い恋心と揺れる友情を描いたピーターパンとウェンディの物語」(---Kodomo.com)と、割り切って、物語上のオジサマを、詩穂と由貴の思慕対象として描く以上の描写をしていない。詩穂と由貴の友情の不協和音を描くために、なぜ、ヒロインがオジサマを愛したのか?・・・その理由から過程を完全に省くことで、、直接、オジサマの行為に対してのヒロインたちの感情のみを浮き出させる方法をとっている。つまり、この物語で「オジサマ」は単なる記号に過ぎない。

 この点は、今まで“さくらんぼ”が描いてきたヒロインを「愛でる」行為より、ヒロインたちの想いへの「萌え」を求めているという、少し高尚な趣向に傾いていると言える。

 オジサマは詩穂と由貴が性に目覚めても、あくまで乙女に身体を開かせるべく、徐々に慣らしていくように物語は描く。しかし、いくら何でも、Hしちゃ駄目だろっ・・・って思っても、エロゲーだから、できれば早くしてほしいのが人情。実際、この物語は、Hシーンに至るまでのヒロインたちの描写が丁寧な分、Hシーンに至ったときには、物語の七割方は終わっている(本番は3パターンしかない)ので、商業ベースに比べ、ボリュームは少ない。もう少し、爛れた生活を描いても良かったのだろうが、あくまでヒロインを「清らかな萌え」に導こうとした作者の想いは、抜きゲーとして、この物語を紡ぎたくなかったのだと思う。


 定価は3000円(店頭価格:イベント2500円)ということで、商業ベースの廉価版とほぼ同価格層。容量的にはCD2枚と言えど、ボリュームは然程、他の同人ゲームと変わらないので、この点をどう折り合いをつけるかが問題。グラフィックは下手なメーカーよりは可愛く仕上げているし、ボイス面は、詩穂CVは海原エレナ、由貴CVは北都南と、プロ仕様。主題歌とかは、無駄に良かったりするので、プロのロリボイスで「延々とHな告白を聴きてみたい」って方は、プレイしてみるのも良いかもしれない。