まさにmon Panache!
『サクラノ詩』を確かに終わらせるための物語だった。
この作品のみで語れることなど少ない。これは詩を形作る刻だったのだと感じさせられた。
『サクラノ詩』よりも構成上劣る部分は多くあったと思う。でも、この結末で私はすっきりした。そう言える。
ぶっちゃけ不満点や物足りなかった点は数多くある、伏線も肩透かしを食らったところは多かった。でも、減点式でないなら。そしてあくまで『詩』の先にある作品と考えればこの点数だと思っている。
あと、グラフィックの質の向上具合は素晴らしいの一言。
心鈴ルートは順当に面白く、ヒロインの可愛さも滅茶苦茶わかりやすかった。
真琴ルートも面白かったが、少々ヒロインとの絡みという点では物足りなさがあった。もっと2人の関係性や真琴を魅力的に描けた気がする。前作ありきなのは当然だし、2人の年齢や関係性も加味した結果なのだが、それにしても勢いに任せすぎ感は否めなかった。
その後のクライマックスに向けたエピソードは、少し気どり過ぎ、遠回り過ぎる、直哉に美に意味を与えすぎるからこそ(表層では意味が分かりにくく、また登場人物すべてがその文脈の上で会話しているため、要素がつながらないことやこっぱずかしく感じるところもあるといったところなど)、冗長に感じる部分もあったが、それでも結末は待ち望んだものだったと思う。幸福とは、生きるとは、残すとは、諦めることとは、自分と向き合うこととは、言葉を紡ぐこととは、寄り添うこととは、願うこととは、何なのか、そういう生き様を問うてくるような場面が多い、面白い作品だったと思う。