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4DさんのPlant Girl FRONTIERの長文感想

ユーザー
4D
ゲーム
Plant Girl FRONTIER
ブランド
くろごまソフト
得点
80
参照数
598

一言コメント

ごくフツーのエロ同人RPG。特別に絵が上手くてエロいとか、あるいはRPG部分が凝っていて楽しめるとか取り立ててそういった事はない。しかし逆にソツもなく目に付くような手抜きは感じられない完成度でもあった。中でも特に評価したいのは会話パターンの多さと、その内容。ヒロインが良く喋るのはまあ当たり前っちゃ当たり前なんだけど、この作品は名も無き街のNPCにも色々とセリフが与えられているんだよね。同人だしリソース的に端折られてしまいやすい部分だとは思うんだけども、でもこれはやっぱり「世界」に浸らせる為には重要な事だったんだと思う。事実俺は、開始からクリアまでの間ずっと楽しくプレイし続けている事ができた。

長文感想

プラントガールと呼ばれる「人と異なる部分もあるけれど、まあ大体人間で合ってる」的な少女3人を引き連れ
セクロスで特殊能力を開花させながら(←人と異なる部分)、ダンジョンを探索したり魔物を倒してみたりするRPG。

良くある2D見下ろし型のRPGスタイルで、戦闘もドラクエ的な普通のもの。
敵を倒してLvを上げて、素材拾って武器作ってみたりという感じ。
特にやりがいがある訳でもなく、かといってヌルすぎる訳でもなく…と、戦闘システム的には
ホント特に何も言うことはないんだけど、敵の女の子モンスター率が割と高く
微妙に可愛い容姿も相まってちょっと得した気分になれる。
でも女の子モンスターを倒してセクロスでお仕置きってのはできない。すごく悲しい気分になる。
アンゴラとか見た目的にかなり気に入ってたのになあ…

王様に「YOU達北へ行って色々調べてきちゃいなYO」とか言われたので
とりあえず北に行ってベースキャンプ開いてみました、というのがお話の始まり。
そしてこのベースキャンプってのがRPGで言ういわゆる街や拠点にあたる。
最初はテントがいくつか並ぶようなこじんまりとしたものだけど、
ストーリーの進行にあわせて少しずつ大きな街へと発展していく感じ。

これが同人RPGにしては中々にマメで、移り変わりがマップチップ的な見た目だけではなく
街のNPC達の数や会話もそれに併せてきちんと変わっていくんだよね。
その内容も、なんというか…あまりゲーム進行に関わらないような
ある意味ものすごくどうでもいいお話をしてくれる。
「目の前の奥さん、物腰からして元貴族な流れものじゃとおもうんじゃよなーwしっかし腰がエロいのうーw」とか
そんなこと聞いてねえよジジイwwwっていう感じでさ。
でも(なるほど、訳アリが安住の地として選べるような開拓地ならではの懐の深さがある街になりつつあるのか)と
テント時代からすると少し感慨深いものを感じたりね。

今のは単なる一例だけど、なんかねえ…読んでて楽しくなるような、世相の雰囲気を感じ取れるような、
ひいてはこの「世界」が好きになっていけるような、そんな親しみを持てる会話が多かった。
これはもちろんヒロイン達(の自己主張)にも言える事で、キャラクタ像ってのが明確に伝わってくるし
素直に可愛いとも思えてしまう。
特にソフィアのブレのなさが良かったな。恐怖一歩手前の既成事実嫁…

エロ非エロを問わず同人RPGだとさ、こういうのって削られてしまっている事が少なくないんだよね。
NPC含めた会話が少ないどころか、酷いのになると街があっても人はおらずドアは全部閉められているという
ゴーストタウンの如き様相をしているものも結構見てきた。これがまた無機質で怖かったりするんだけどもw
でも、プレイする側にも「同人だし(開発リソース的に)しょうがないんだろな…」みたいな許容というか、
諦めというか、暗黙の了解というか…そんなものが有った様に思う。
慣れてしまった、と言ってもいいのかもしれない。

だけどこういう世間話を通した住人とのコミュニケーション、そして作中で自分が成し遂げてきた事を始め
ストーリーの進行を反映した受け答えを見せてくれた本作品のおかげで
「ああ。やっぱRPGってこうだよなあ」と思い返す事ができた。自身の行いに対してしっかりとフィードバックがあった。
よーけぺらぺらと喋るヒロインとの会話はもちろんのこと、街が大きくなるにつれ
あちこち駆け回ってNPCと喋るのが楽しみになっていた自分がいたよ。

というかごめんなんか褒めてたら急に不安になってきた。
実際のところは、まあ…ぶっちぎりのテキストセンスって程でもないし、ノベル顔負けの大量テキストって訳でもないんだ。
ある意味、当たり前の事が当たり前のように作られていたってだけなのかもしれない。
ただ、それができているエロ同人RPGなんて決して多くはないと俺は思うんだよ。
そうじゃないと「なんかこれ、やってて楽しかったなあ」という自分の気持ちに説明がつかない。



まあそんな感じで、戦闘やエロよりは会話を楽しむのがメインな心持ちでクリアまでに至った。
と言いつつもアイテム集めなど隅々まで見回るタイプな自分の場合で、クリアタイムは15時間ちょっと。
なんだかんだで物量も結構ある方なんじゃないかな。

エロ絵の数は1ヒロインにつき基本8枚x差分。そしてメインヒロインは3人。
あとはサブヒロインやおまけハーレム合わせて6枚くらいだったかな。そんで100%ラブラブ和姦Only。
正直なところ上手な絵って訳ではないんだけど…俺には判る。
描いた人はパンツに対する想いらしきものがある。前作のルルカにもそんなものを感じた。
……そうだ…いいぞ…………そのままだ…………!!

これでもう少し熱の入るような戦闘&探索システムなら、あるいはエロが色んな意味で濃ければ
自信を持って優良作品だとオススメできたと思うんだけどな。
でもまあ全体的なデキとしては平均を上回っていると思う。個人的には次作が出れば余裕でデフォ買いいける。
ということで、75点+大事な事を思い出させてくれたって事で加点して80点というところかな。



あっとそうだ、忘れてたけど主人公もヒロインも名前の変更が可能。これも個人的に嬉しかった。
なんでかって?本名入れてプレイするからに決まってるだろ!
…ちげーよヒロインに俺の本名入れてどうするんだよ!!

と思ったけど良く考えたらそれってちょっとTS的な楽しみ方ができるかもって思った。今度やってみよう。ドゥフw