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2KMさんの君が望む永遠 ~Latest Edition~の長文感想

ユーザー
2KM
ゲーム
君が望む永遠 ~Latest Edition~
ブランド
âge(age)
得点
86
参照数
548

一言コメント

人を愛する事が苦しい作品

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

FD除いて20√という壮大さ、選択肢によって些細な部分でも未読になるゆえにかなりプレイ時間を所要された作品。1章 3,4時間程度 2章 70時間ぐらい 3章と君が望む第一章で15時間ぐらい?

名作といわれるだけあって3章持ちヒロインはかなり完成度の高い存在になっている。特に水月、遥はこの作品の巨大な壁で、他作品のヒロインより面倒くさくて魅力的なヒロインになっている。そのせいでサブヒロインが基本的につまらないうえに三角関係が清算されていないのが難点だと感じた。クズ主人公、三角関係のドロドロものでWA2と比較すると感情機微がやや弱いが、一章が終わる瞬間、愛美√、茜妊娠√はかなりパンチがあり、主人公の葛藤等を楽しむ分にはWA2に引けを取らない作品だと思う。ちなみによく名は挙がっているが、主人公は全くクズ主人公じゃなかったように思える。(√にもよるが)他の登場キャラもたまに面倒になるものの、涼宮親や、病院内のキャラの主人公への温かい接し方は主人公の優しさが端を発していて、その人間に囲まれ、一番の成長が見られたのが鳴海孝之であり、それを幾人かが認めていたことに感動したことも多々あった。君が望む第一章はこの作品の「希望」が描かれているので、全てを見終えた人は絶対読むべき。
香月姉妹、君いたの時も主人公への説教が多かったが、今作の香月先生もなかなかだったw
あと平慎二の話を主人公は聞かな過ぎ。


攻略順
水月⇒文緒⇒愛美⇒まゆ⇒あゆ⇒蛍⇒茜⇒遥で攻略。
(BAD攻略後に攻略、水月、茜、遥はそのまま3章入り)
おすすめの攻略順は
水月BAD⇒茜⇒愛美⇒あゆ or まゆ ⇒文雄 ⇒ 蛍 ⇒遥 or 水月(ここまでで好きだった方を最後にするのが良)

好きなキャラは
①遥②蛍③水月④茜⑤あゆ⑥まゆ 圏外⑦愛美、文緒

①涼宮遥
シナリオ S+
キャラ S++

最強。最初から最後まで彼女の事で頭がいっぱいだった。水月√の彼女の強さ、他ヒロインの個別でもおぞましい魅力を見せてくれた。そもそも一章の彼女とのやり取りがもう自分にはドンピシャだった。あの絵本のような絵柄の伝説遥も可愛いし、彼女に何かあった際には息の詰まる思いもした。ちなみに自分は全員終えてから一章から彼女の√をやり直し、最後ボロ泣きした。基本的には母性豊かな面もあるが、庇護欲をそそられるような弱さ、あどけなさがあり、一度決めたら揺らがない強さや忍耐力を兼ね備えている。三章はそんな彼女と主人公が三年間を埋め合うようなハートフルストーリーとボロ泣きCG、茜と水月の想い等がふんだんに描かれている。ちなみに3章は糞長い。「でもほら…涼宮遥は……ここにいるよ」

※声優が今話題の歌手のため、少しぎこちなさは感じるが意外とハマったと思った瞬間違和感なくなる。

②天川蛍
シナリオ S
キャラ B

自分から言わせると、もう一つの「君が望む永遠」。これは流石に涙なしでは読めない名作。他の√では知ることができない文緒、蛍の謎が解明される。前述では遥がどの√でも一番魅力的になってしまう自分ですら、この√の遥が霞んだ...それぐらい濃密なストーリー。まぁなんか彼女を好きになる理由が若干薄いような感じもしたが、このシナリオの主人公が一番かっこよかった。個別としては短め?

③早瀬水月
シナリオ B
キャラ A

「...吸い込まれたりしないよね?」
メインヒロインの中でもかなり大きい存在。
…のはずだけど、おそらく全√で一番面倒に思えた存在。性格の豹変っぷりが激しい。この娘の√をやる際には遥の思いを踏みにじる行為を激しく強要され、その行為によって動く涼宮姉妹の言動、行動に感動をし、幸せをつかまなくてはいけないなという強い気持ちに駆られる。特に3章含め慎二が良い友人になる。
BADの方は、正直「やばw」ぐらいの凶器度。別に主人公もそんな悪人に染まらず、ただただ水月の壊れていく姿を楽しめる√だと思った。
BAD、通常√、両方、甘えん坊で、誰より女らしくて、主人公の為に一生懸命で、普段では窺えない彼女のもろさが際立っているなと感じた。彼女が主人公の時計が止まっているのを修復する描写など、本編とよくリンクしていて良いなと感じた。自分の好みではなかったものの、どうしても切り捨てづらいヒロイン。3章はちょっとありきたりが強くて若干退屈だった気はするけど、ある種彼女の√がこのゲームの真の√なのかなと思う。あと彼女を一番最初にやり、好感触を持てなかったが、他のキャラをすればするほど彼女を見捨てづらさ故に(?)好きになっていった。なんだかんだ言って彼女のBADは3つだが、彼女以外の√でも彼女は恵まれない立ち位置にいるからそういった意味で最後に攻略するのが良いという事もある。

④涼宮茜
シナリオ A-
キャラ A-

くだらないことで紆余曲折し過ぎに感じた。これは年相応の面倒くささだなと思ったが、「遥の妹」という立ち位置が展開を期待させると思う。彼女の姉想いな部分はとてもよく、3章は遥、茜両方とも、とてもいい味の出るキャラだった。特に茜3章はその先送りにできない問題を解消しつつも、愛を確かめ合う感じと、そこに出る水月の存在がたまらなくよかった。キャラとしては孝之、遥の次に大きく成長を感じたキャラ。水月と孝之の3年間、遥3章での立ち振る舞い、押しつけがましく、一度決断したら曲げないお節介性分は難癖あるものの、この誰が悪いのかわからない、どこか間違っている作品においては一番まともなキャラだったのではないのかなと思えた。また、彼女のBADだが、2は後のことが怖い結末で、1は悲しすぎる内容だった。そして冒頭にも書いているが、茜妊娠√はかなり想定外の結末で度肝を抜かれた。あの√の展開は流石に昨今のゲームじゃ味わえないどんでん返しがあるので、BADだが、かなり構成としては最高の出来だったなと思っている。(茜妊娠√ S+)

⑤大空寺あゆ
シナリオ C-
キャラ A+

「あにさ!」「あにを!!!!」のテキストが多くてダレがち。おそらくファミレスでの経緯もあるのだろうが、好意を抱くまでのプロセスが薄いかなと感じた。魅力的なヒロインであるにも関わらず、最後「え、主人公は結局どうなったの」オチ。全体的にコミカルではあるが、この√の水月は本当に女の悪い部分を集結させたような存在で、彼女に罵声を浴びせるあゆの姿は少しスカっとするものがあった。最近知ったけど一番最初に「ツンデレ」と呼ばれるようになったヒロインらしい。ツンデレが好きな人にはたまらないヒロインかと。メイン程ではないけど、彼女攻略後に彼女との掛け合いを見ると少し尊い生き物になる。

⑥玉野まゆ
シナリオ C-
キャラ D+

あゆ同様、本編の二人から離れてファミレスに逃げる√。あゆがコメディだったのに対し、こちらは癒しラブコメ。ただ、自分としては壁に激突する回数、床に転ぶ回数が多すぎてイライラしてキツかった。また、病院でのあるイベント移行の主人公が子供過ぎて苦手だった。あゆ、まゆは恐らく好き嫌い別れるのでここで評価も違ってくる可能性がある。BADは孝之が一番望んだ結末なのかなと感じた。
メインヒロインとの別れ方においては、この√が一番「ありそう」な展開だった。関係ないけど第3章からの彼女の声が変わりすぎてる。

⑦穂村愛美
シナリオ C- (マナマナ√ D)
キャラ C

純愛エンド、天使。割と現実味を帯びていて彼女を選ぶ理由も納得できる√だったと感じた。そこまで尖ったものはないが、この√の水月は水月苦手な自分ですら「良い女」に感じた。ただ結ばれるまでがちょっと長すぎる。まぁ、そんな大きいイベントもなかったから仕方ないんだけど。問題は彼女通常√(マナマナ√)である。自分が純愛エンドにそこまで思い入れがないのはこの狂気じみた√のせいである。思い出すだけで鳥肌が立つ。オススメはおそらく通常後に純愛エンドなのだろうが、純愛エンドが薄く感じるレベルで通常END?の方がエゲつない。マナマナアパートでの月日は人間の構造というかそういった精神崩壊に至るまでのリアリティが凄かった。

⑦星野文緒
シナリオ D-
キャラ D-

障害者。でも自分は好き。
蛍√の彼女のキャラ評価はA。というか、彼女はBADしかない。



どうでもいいけど、この時代のエロゲ、温かい目をするときのニチャニチャ感が怖いのと、エロシーンに陰毛があるの、キツいね。