とても楽しめた。
どみる作品は初プレイだったけど、ライターの別作品が面白かったので購入。期待通りの出来で大満足だった。
以下、詳細
【良かったところ】
◆登場人物の心理描写や行動に矛盾がない(当たり前だけど出来てない作品多い
・ヒロイン視点のテキストも組み込んでくれていたので、ヒロインがどう考えていたか分かりやすい。
感情移入もとてもしやすかった。
・大きなトラブルがあって、一緒にいる時間が減ると恋愛感情って薄まるよね、というところがリアリティあった。
逆に個別ルートはその反対で一緒にいる時間が長いキャラへ結局は恋愛感情が向くので納得感があった。
・登場人物が変に熱血だったり正義感があったり、ドライで冷めている、ということが無く、
常識的な考え方をしていて行動も思いやりがあった。空気を読めないキャラがいなかった。
◆登場人物が魅力的
・ゆりの 個別ルートは面倒くさかったが、基本はポジティブで人を責めないし気遣いが出来るので不快感がない。
・姫夏 The 達観してる先輩キャラ。この手のキャラの背中が痒くなるような匂わせ発言がなく、
秘密があっても隠している理由が正当で納得できるものだった。あと個別が強い。
・エミリア 純粋に性格いい子。シナリオは山少な目だけど、この子と結ばれると人生楽しいと思う。
・翠 「妹」って一人称強すぎだろ…。そして、ここまでブラコン突き抜けて幸せそうだと背徳感吹っ飛ぶ。
・海咲 正妻でした。他ルートだとクールな子という印象だけど個別入ると裏で何考えてたか出るわ出るわ、
そりゃ、何もなければあんなにあっさりとA-ken部入りませんよね…。
◆題材をシリアスにし過ぎない、風呂敷を広げ過ぎていない
・「不思議な島で小さな幽霊と出会って映画撮る話」なので、シリアス要素は少なめ。
一方で題材やテーマを大きくし過ぎていないのでテーマの割に話が普通だなと感じることがなかった。
・A-LANやゼロ電子にこだわり過ぎず、あくまで物語のスパイス。変に細かい設定が出てこなかったので
テンポがとても良いながらも、中身がないキャラゲーで終わっていない丁度いいバランス。
・物語の伏線的な要素は大体回収していたのでもやもや感がなかった。
◆時間を使ったトリックの上手さ
・姫夏ルートは数年単位で二人の関係を追うので、シナリオに重みがあった。
学生時代を終えた後も続くシナリオは感動のド定番。分かっていながらも姫夏の回復までの時間を
考えると感情移入してしまってラストはとても泣ける。時間の使い方が上手い。
・海咲ルートもリンの正体が分かりやすい一方で時間軸のずれを組み込んで話に捻りを加えていて、
読んでいて飽きなかった。未来が変わるかもしれないという不安と、上手く打ち明けられない気持ち、
海咲の心理描写が時間のトリックで一味も二味も面白いものになっていた。後半の「たいっち」呼びで
感動させられるのはこのトリックのなせる業。あとタイトルの初恋サンカイメがそういう意味だったんだと
分かるのもとても良かった。
【悪かったところ】
・A-LANやゼロ電子はもう少し話広げられたと思う。
・トータルで見て、予想外の展開は少ないので、トリックやテーマ重視の人は物足りないかも。
丁寧に作られていて登場人物も可愛く、シナリオも破綻や無理がない優等生のような作品だった。
御厨先生の書く女の子ってどうしてこんな可愛いんだろうというくらいヒロイン全員可愛い。
久々にいいゲームをやって大満足でした。