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竜さんのその古城に勇者砲あり!の長文感想

ユーザー
ゲーム
その古城に勇者砲あり!
ブランド
ソフトハウスキャラ
得点
82
参照数
2936

一言コメント

あの老舗が、エロを強化して帰ってきた!エロゲSLG好きは要注目。

長文感想

買おうとしてたものが発売延期になっちゃったんで「じゃぁこれでいいや」程度の期待で買ったんだけど・・・
いやぁ、侮ってすみませんでした。体験版やって、ある程度楽しめそう、とは思ってたが予想以上に面白くてびっくり。
そしてエロに関する期待はほぼ皆無だったのに予想を遥かに超える量があってこれまた驚いた。
今までのCharaのゲームだとゲーム性と中毒性はあるがエロはかなりおざなりというか、
おまけ程度にしかないのがほとんどだったと思うんけど、本作では結構充実している。詳細は後述。
SLGもシンプルだけど、戦略を練らないとあっさり負けちゃったりと手応え十分。
Charaのゲームにしては思ったよりやりこみ要素が少ない気もするが、しっかり遊べる良作。
年末の暇つぶしを探している人にはオススメだ。

とりあえず興味が湧いたら体験版をやってみるといいと思う。
本編とちょっとゲームバランスが違ってて、これはこれで面白いので後で買うにしてもやって損はないだろう。
最初の拠点全てを壊せるくらい慣れれば本編もスムーズに攻略できるはずだ。


■SLGパート
・難易度とゲームバランス
難易度は結構高め。体験版を何度かやって慣れてれば序盤はそう苦戦するようなこともないが、
中盤の星三つの拠点あたりから経験値稼ぎを全くしてないと苦戦し始めるはず。
この辺から大き分けて三つほど進め方があって、
1.すでに壊した拠点を再砲撃して経験値&資金稼ぎ→装備を買ってユニット強化&建設で拠点強化→ギリギリ早期(拠点破壊)ボーナスを取れるように調整して勇者砲を撃つ
2.ギリギリこちらが全滅しない程度の威力で新らしく出た拠点を撃ち、徐々にダメージを与えて拠点を破壊する。早期ボーナスは諦める
3.負けたらそのまま引き継ぎデータを残し、さくっと二周目に移る
から好きな進め方をすればいいと思う。
私がやったのは1番目の進め方で、負ければ負けるほど悔しくてのめり込んでいき、楽しめたのでこれをオススメするが、
それなりに時間がかかるし、負けるとイライラするという人は2番目の方でもいいと思う。
早期ボーナスで取れるアイテムは後々雑魚敵がいくらでもドロップし、わりと簡単に取り返しが付くので、心配はない。
また、三番目の進め方は(まだ試してないので恐らく、だが)経験値&資金&アイテム稼ぎとしては最も早い方法のはず。
建設と勇者砲の強化にかけた資金だけは戻ってこないが、それ以外のユニット、アイテム、資金などは引き継ぐし、
拠点の早期ボーナスも復活するので楽に稼げる。

ゲームバランスはそこそこ安定しているが、急に敵が強くなったりするので良いとは言い難い。
が、上記のような進め方をプレイヤーが自由に選べるようになっているため、
問題なく遊べるような仕組みなっているとは言えるだろう。

・戦略性
シンプルだが、戦略性はわりと高く、自由度も高い。
本作ではユニットが途中でやられてもパーティから離脱したりしないし、戦闘中に稼いだ経験値を失ったり、減ったりすることもない。
いくら死んでもOKというのは気軽でいいし、死ぬことを前提にした運用というのも意外と新鮮で楽しい。
近づかれたら死ぬ魔法使いを途中でやられること前提で配置しておき、
いざ近づかれてやられたらハンターのような戦士タイプのユニットが即座に補充されるようにして近接戦に移すとか、
足止め能力の低い奴を最初に置いて、ある程度奥に通したうえで補充要員を足止め能力の高い奴にすることで
拠点を広く使って戦えるようにするとか、結構色々な戦略を練ることができる。

死んだユニットがその周回中復活しないのなら前衛に戦士とかの体力が多いものと回復役を配置、
後衛に遠距離攻撃が出来る魔法使いを配置、とかになるのが普通だと思うが、
このゲームの場合、前衛に魔法使い、やられたら戦士タイプを補充するように設定、
後衛に魔法使い(補充要員も魔法タイプ)などのようにすることで
補充が続く限り有効な遠距離攻撃を続けることができたりと自由度が高い。

運要素は結構ある。
罠の効果は「80%で足止め、20%で撤退、耐久値10」とかになっていて効果の発動や敵によって壊されるかどうかも運次第・・・なのだが、
敵味方ともに数十以上の数で戦うから戦果はある程度収束する。
事前の準備は完璧だったのに運次第で負けたりすることは無いし、
逆にいくらロードしても勝てないものは勝てないという状況なんかも出てきたりする。
あれこれ試行錯誤した分はきっちり戦果に反映されていくので、ちょっとずつ良くなってくのがとても楽しい。


・やりこみ要素
やりこみ要素はあまり多くはない。周回要素としては
「ユニット、所持金、アイテムを引き継いで最初から始める」
「敵を強くする」
「二周目限定ルートにいける」
などがあるが、二周目の敵はあまり強くならないので二周目終盤まで行かないと手応えはない。
戦闘速度はかなり速くできるし、ADVのスキップもかなり速いのでストレスはないが、この敵があまり強くないというのは良くない。
せっかくゲームに「Lv30以上のユニットを引退させると能力とスキルの一部を継承できる」という要素があるのに、
完全に無視してもクリアできてしまうので形骸化している・・とまでは言わないが、
すでに敵なしの状態でユニットを強化し続けるという、ちょっと虚しい作業的な要素となってしまっている。
どうせならクリアできる保証なんて無くていいから発狂するほどに延々と敵が強くなっていくモードとかあったら
この機能も活かされたと思うだけに、少し残念ではある。

もしやり込むとしたら周回し続けるよりは引き継ぎ無しで始めて短いターンでクリアするとか、
縛りプレイをするとか、プレイヤー側の工夫が必要になると思う。


・チュートリル(ヘルプ)
一応大体の説明はあるのだが、若干不親切な感はある。
例えばレベルアップしたときにスキルを覚えると自動的に装備されるんだけど、
付け外しできるスキル枠4つに対して覚えるスキルが5つあるから5つ目を覚えた時は自分で操作しなきゃいけない。
この辺の説明が無いので長いことユニットを放置することになってしまった。
まぁ自分がマヌケなのかもしれないが、若干じゃないかと不親切な作りではないかと思う。

これからやる人は、戦闘結果画面で「GetSkill」と表示されてるのに覚えてないぞ、と思うことがあったら
ユニット一覧からスキル選択をして、確認することをオススメする。

・操作性
ソート機能など、概ね必要なものは揃っていて快適に動くが、ユニットの数が非常に多いので
一括装備などの機能があればさらにうれしかった。

また、ゲームオーバーの度に「データを登録しますか?」と出るのは若干うざったいので、
Optionとかで自動的に登録、もしくは登録しないよう変更できたらもっと快適に進めることができたと思う。

・バグ
ゲーム中のバグはほぼ無いと思われるが、異常終了はかなり多い。
セーブデータが壊れるような致命的なものでこそないものの、Ctrlで読み飛ばしてると落ちたり、
Alt+F4での終了だとフリーズすることがほとんどだったりするので、ここは少し減点要素。

これからやる人は、Option内の「ゲームの終了」からゲームを終了した方がいいだろう。





■ADVパート
正直に言えば全体的な、というか技術的なレベルは低め。
演出は相変わらず何年前のゲームなの?と思うようなレベルだし、説明口調を取り繕うことさえしてない。ただし、
主人公が発射(性的な意味で)
→勇者砲のパワーが溜まる
→敵拠点に勇者砲発射(兵器の方)
→拠点を破壊して色々すっきりする
→エンディング
という流れは非常にわかりやすく、テキストを流し読みで済ましてもストーリーが理解不能になることが無いので
SLGパートのみに期待していれば特にがっかりするようなことはないだろう。

テキストは徹頭徹尾コミカルで、シリアスっぽいところもB級ホラー映画のような、滑稽なので逆に笑えるようなノリになっている。
終始笑える場面が多いのでそういう意味では決して悪いわけではない。
敵を倒して仲間にする過程が全部Magical Tinpo頼みという、非常にワンパターンなのが気になるが、SLGのストーリーとしてはまぁアリだろう。

四人のメインヒロインはややテンプレ的ではあるが普通に可愛いし、
サブキャラも色々とこじらせすぎな暴走のヒューリとか、
ビープ音を口で「ぴぴっ」とか言っちゃうメーコなど、面白いのがそろっていて悪くはない。


■エロ
Charaにしては珍しく、結構充実している。
まずCG数については差分を含めた全体のCG数が893枚とCharaにしては多い。他社ブランドのゲームではすでに1000枚以上あるのが珍しくないので
そういう意味では決して褒めるべきようなことではないのだが前作の「悪魔娘の看板料理」が348枚であったことを考えると大幅な増加ではある。
そして、シーン数は他と比べてもかなり多い部類に入る。その数なんと99シーン。
テキストとCVを重視する人にはかなり嬉しいボリュームではないだろうか。
私自身は差分を含まないCG数を一番重視しているので大きな加点要素にはならなかったが、
CG数もまぁまぁ多いし、シーン数も多い分には悪くない。半分以上読み飛ばしたけど。
何より軽視していたであろう部分を補強してきたという点に今後の期待が高まった。

CG数(差分無し)とシーン数  (エロ関係のみカウント) (なお、私のセーブデータのイベントが完全に埋まってないので後で若干修正する可能性アリ)
ティーナ  :10:13
フレア   : 9:10
ミラ    : 9:10
エクリ   : 9:14
ポチ    : 3: 4
メーコ   : 3: 4
ルベラノーラ: 3: 4
ヒューリ  : 3: 4
コロナ   : 5: 6
ラクリマ  : 3: 5
魔物娘   : 8:24(8人×3シーン)
複数    : 2: 1



■BGM
全体的には可もなく不可もなくといったところだが、終盤のボス戦の音楽の出来はまぁまぁ良い。

■まとめ
予想を遥かに超えた良作だったものの、他社ブランドも含めた過去の良作と比べるともう一味欲しかったな、という印象。
しかしながら短所をしっかり補強してきたという部分は非常に好感が持て、次回作以降も注目したいと思える出来だった。

ただやはり、全体的な出来は良かっただけに、やりこみ要素がそれほどなく、中毒性が思ったより低かったのは残念。
もう少し調整の時間が取れてればその部分を補強することもできたと思うのだが・・・。

本作では短所の補強ができていたので、次回作はCharaの長所を伸ばすような作品を期待したい。