ErogameScape -エロゲー批評空間-

暇さんのVenusBlood -GAIA-の長文感想

ユーザー
ゲーム
VenusBlood -GAIA-
ブランド
DualTail(DualMage)
得点
90
参照数
126

一言コメント

進化したディフェンス系SLG

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

前前作Abyssから正統進化したディフェンス系SLG。
ダンジョン内に様々な効果の部屋を構築し、6ユニットからなる部隊を編成、それをダンジョン内の部屋に配置して侵攻してくる敵から防衛を行う…という
これだけ書くと単純なシステムだがとにかくユニット数やスキル数がとんでもなく多いうえ、適当に強いユニットを配置しておけば良いわけでもなく
単純に敵を迎撃するための部隊、敵を生かさず殺さず足止めして資源稼ぎやイベント回収を行う専守防衛部隊、アイテム稼ぎだトレハン部隊、強力な敵を相手取るための対ボス部隊などなど
ユニットの組み合わせ次第で部隊の方向性が大きく異なり、更にユニット相性なども存在するため、あれこれと考えているだけで時間が過ぎてしまうことも珍しくない。
更に近年シリーズではお馴染みのスキル追加、能力変更を行う称号システムも更に数が増えており、非常に楽しく頭を悩ますことが出来る。

ただし、複雑化しているシステムの割にはUIが貧相で、特にソートが無いために目的のユニットやスキルを見つけるのに手間取ったりと不親切な部分もあり。
また、今作からの新規追加ユニットにはぶっ飛んだ性能のものも多く、能力ほぼ据え置きの過去作からのユニットはいるだけ参戦になってしまいそうなものがとにかく多い。
前者は今後のパッチである程度の対応は予定しているようだが、後者は次回作以降で一度バランスの再調整を行って欲しいと思う。


シナリオは全体的な流れはいつものシリーズ。
ロウルートは調教陵辱ゲーとは思えないほどに王道な展開であり、カオスルートは悪逆一直線。
特にカオスルートは今までのシリーズを通しても結構なえげつなさ。色々と耐性無い人にはキツイかも。
個人的なお気に入りは4章、5章。ナインテイルの作品か、あるいはロウルートに入ったのかと思うような王道の展開と綺麗にまとまった結末に
章ヒロインであるキャルミラ、メアリーが自分のツボにはまった事も合わさって、今作どころか歴代シリーズを通して一番気に入ったシナリオかもしれない。
悪堕ちが無いことは自分はさほど重視していない…というか、キャラクター的には善ヒロインの方が好きなのに戦力的にはほぼ悪堕ち一択という事が多かった自分にはむしろ嬉しい部分である。

ただし今回、ヒロインの扱いが「捕縛→触手→(部下、領民の命などで)脅迫→仲間入り」といういつもの黄金パターンではなく
「仲間入り→特に何も考えず触手」という展開になっているため、何故ヒロインは主人公に付いて行っているのかという疑問が時折頭をもたげてきてしまう。
居場所が他にないというヒロインはまだ納得できなくもないが、同盟扱いで自勢力を国元に残して同行することになるヒロインにまでノープランで即座に触手をけしかけるのは流石に展開が性急すぎる。
キャラクター数が多いために一人あたりのイベントは短く収めなければならなかったのかもしれないが、それにしたってもうちょっと段階は踏んで欲しかったものである。
また、メインヒロインのロウルート個別エンディングが割とアブノーマルな…というか変態的なエロシーンでのエンディングだったのは個人的にかなり残念。サブヒロインはだいたい普通のエンディングなのに…。
このシリーズのロウルートはどこまでも王道な展開とハッピーエンドが魅力的だと思っていたため、エロシーンがいらないとは間違っても言わないが、条件分岐にしてごく普通のエンディングも合わせて作って欲しかったところ。



不満点も長々と書いてしまったが、遊べるエロゲーとしては屈指の出来だろうと思う。
相も変わらずのやりこみ要素も健在であるため、年内はこれ一本で遊び倒せそうである。