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暇さんのChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1-の長文感想

ユーザー
ゲーム
ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1-
ブランド
インレ
得点
90
参照数
134

一言コメント

歴史モノをやっている間は本当に素晴らしい作品。だが後半は正直無いほうが良かったかも…

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

1~3部は本当に素晴らしい出来。
歴史女体化モノというのは近年エロゲ業界では珍しくないが、女体化したキャラクター達で大真面目に歴史ドラマを展開するというのはありそうで少ない。
それでいて、登場人物たちが仇討ちへと向かう過程、最初は逃げることばかり考えていた主人公の成長などもしっかりと描かれており
元ネタである赤穂浪士討ち入りという歴史、忠臣蔵という講談にただぶら下がるわけではないシナリオは読み応え抜群だった。
どのルートも形としては死別、悲恋という展開が待ち受けているが、そういうエンドは苦手な自分ですら、彼ら彼女らにはこの展開しか無いと思えた人物描写は本当に素晴らしかったと思う。
…でもやっぱり悲恋で終わってしまったご城代や安兵衛さんの為、そして主税が最後に夢見たような生活を見るためにFDは欲しいw

ただ、4部からの展開が本当に蛇足と感じられてしまったのが極めて残念。
EDの余韻の後、未だ残る謎とこれまでとは全く新たな展開という引きをした3部終了時は4部への期待に心躍ったが
まさか開始直後から、「講談ベースの半端な知識で歴史議論をしようとするエセ歴オタVSあの事件人物は本当はああだ本当はこうだとうるさいKY歴オタ」という
歴史関連の場で時折目に耳にするゲンナリしそうな展開を見せられるとは誰が想像しただろうか。
オマケにそれを主人公が問答無用と突っぱねるならとにかく、何故かやり込められたりするというとんでもない展開。
お前は武士ではなかったのか、お前は正しいからではなく、自らの忠義と誇りに殉じる赤穂浪士たちに惹かれ、そして彼らの一員として戦ったのではなかったのか…。
何故1~3部で武士の生き様というドラマと、彼らに劣らぬ程に足掻き戦う主人公を見せながら、その後になってこんな展開を挟んだのか理解に苦しむ。

そして5部。
これまではファンタジー要素を含めつつも歴史ドラマ的な要素が濃かったからこそ素晴らしい雰囲気が作り上げられていたはずなのに
なぜ最後の最後でファンタジー要素激濃という展開へと走ってしまったのか…。

1~3部までなら正直100点でも足りないと思った作品。
だが、4部からの展開は正直減点対象としかならなかったので残念ながらこの点数に。
ただ、1~3部をプレイできただけでも自分にとっては十二分に価値のある作品だった。