なんていうか、感動で泣いた~っていう作品ではないのですが…
感想は、多くの人がそうするように、本校と分校でわけさせてもらいます。
本校系…3シナリオとも好きです。みやびーは、お金持ちの末娘らしい、それだけなら他でもありそうな悩みでしたけど、あの展開は、いろいろと考えさせられますね、本当に。教育機関とは名ばかりの隔離施設、そこには50名も生徒がおり、しかもゲストと呼ばれる、家庭の事情で卒業できない生徒までいます。そしてみやびー自身もまた、何の問題があるわけでもないにもかかわらず、年端もいかないのに理事長代理という肩書をもとに、(おそらく)体よく押し込まれてしまい、結果、本人の性格が歪みかけてしまいます。そして、挙句政略結婚の手ゴマにされるという事実…。権力というのは、親子のあり方までもをゆがめてしまうのだろうか、それは昔あった摂関政治や戦国武将でのやり取り等古い日本で、みやびーのような悲しみを持った人はたくさんいたのだろうか、などなど…。
梓乃は、対人恐怖症ですね。主軸は本当にそれ一本で、きれいに書けていたと思います。恐怖症を少しずつ克服していく、頑張り屋な梓乃の成長は、結構かわいかったです~。悪戯なんて始めた時は、ちょっとびっくりしましたけどね。
それにしても、前半から後半に移る直前あたりは、かな~りハラハラさせられました。特に、2度目に冤罪を~って時、実行しちゃうのかな、思いとどまってるれるかなって、そこにハラハラしていたら、急に梓乃自身が襲われて、司が早く来ないのか~みたいな感じで別のことにハラハラさせられたり、後半にも、ちょこっとハラハラするシーンがありました。チョコ渡すシーンの時なんて、ハッキリ言って存在忘れてましたよ…。
で、ラスト、梓乃の強さには感動しました。あぁ、対人恐怖症だった梓乃が、こんなにも成長したのか~って実感させられましたよ。…ついでに、今までやったゲームの中で、一番R-18で出す意味があると思わせてくれたルートでした。
で、上記2シナリオに共通する話ですが、司のトラウマ、ですね。これがなければ、おそらくこの物語は成立しないんでしょうね。これが前面に出ているのは3ルートだけですが、おそらくヒロイン達からの恩返し、みたいなものでもあるんでしょうね。
で、殿子のルートですが、これも、問題のきっかけ的には半分くらいみやびーとダブっていますね。でも、こっちはそれが強烈に出てましたね。義務と権利、の問題でしたね。確かに、個人の自由だなんだ~って言われている昨今では、この境目って、確かに難しいものではありますよね。とはいえ、あそこまで自分の娘を虐げられる親も、信じられないものではありますけどね…。
あと、相手を守るために自分を犠牲にするのがどこまで正しいか、ですよね。それが最善のことも確かにありますけど、それも時と場合によりけりってことですね。今回の場合は、見ている方もつらくてしょうがなかったです、ハッキリ言って。
あと、ラストは、あきらめず努力し続ければ、偶然もきっと味方してくれるよってところですかね?そういう考え方、個人的には好きです。努力による結果が偶然によらないものばかり~なんてことはないでしょうしね。
…とまぁ、梓乃以外感想とはズレたものになった気がしますが、本校系には、全体的に、なんというか、個人的には、なんとなく何度も繰り返しプレイしてしまうような、不思議な魅力があります。長さ的には、おそらく長い部類なのでしょうが、全く気にしたことはないです。
分校系…美綺は、なんというか、いろいろな所を探索したり、妹問題を解決したり…と、比較的いろいろと扱っているのに、薄っぺらになることも特になく、それでいて比較的気軽に楽しめた印象があります。それでいてつつくべきところはちゃんとつつくあたり、私も本校系の支持者なのですが、他の本校系支持者の方々の評価より、意外と出来はいいんじゃないでしょうかね?
で、微妙に評判の悪い邑那さんですが、ストーリーとしては、個人的には面白かったと思ってます。司の勘違いで物語が進みつつも、背後で結構面白い頭脳戦があったみたいですし。もっとも、その描写自体はかなり少ないですが。でも、なんというか、そのあたりの頭脳戦は、面白いゲームを観戦しているような感じで(参加している当人たちには悪いですが)のめり込むにはちょうど良かったです。扱っているテーマも、歪んだ愛…でしょうか?面白いテーマじゃないですかね?
栖香のルートは、…私が本校系を推す理由の一端なのですが、正直美綺のルートの途中で終わってしまった感があります。個性がないというか…。悪い話ではなかったのですが、美綺のルートやれば十分な気がしました。このルートをやってから邑那さんのルートをやると、約一名イメージがガラッと変わってころっとだまされる人がいるだけに、もう少し何か考えてほしかったです。たぶん、美綺のルートをやってからこれをやった人にとっては、なんだこりゃ、だったんじゃないでしょうか?
分校系全体として…、本校系があれなだけに、やたらとエロく感じます。そこまで必要だったのかこれは、と、本校系とは対照的に存在そのものに少しだけ疑問を投げかけたくなります。