オーガストファンは目を白黒させたに違いない異色の大傑作
本来のオーガストのブランド傾向からすれば、ちょっと有り得ない方向性。
理不尽と戦う男たちのドラマといっていい。主要キャラの男女比率すらほぼ同数なのに、台詞の大半が男キャラではないかという気すらしてくる。
そこがまた格好いいわけだが。
理不尽と闘うのは女たちもそうだし、シナリオライターはカウンセリングや教育心理学に造詣があるのではないかと思うほど、しっかり人間の屈折した心の機微を描いている。
専門用語など一切出てこなくても、少なくともアダルトチルドレンやPTSDについて知識が皆無とは思えない。それほど人間の描き方が巧み。
世界観についてはわざと限定した情報だけで話を進めているのは、むしろ人間ドラマに主眼を置いているからかもしれない。
ファンタジー世界でありながら、ニトロプラスのようなシリアスハードを好む向きは、ぜひともおすすめの一品。