くるくすさんの得点順コメント

くるくす

 分かりやすくて面白い話がいいなぁと感じる今日この頃。あと、短い作品を好む傾向があります。求められているのは書評か批評か新刊案内か、それとも単なる感想でよいのか、未だに判断をつけかねています。
 採点に関して:50点台で「合否ライン上」、60点台で「可」、70点台で「良」、80点以上で「優」の扱いとし、基本的にシナリオの出来を拝見して5点刻みで点数を付けています。その上で、CGやBGM等を考慮して最大10点程度の加減点を行うことがあります。(同人作品の場合は、CG関連を甘めに採点してます。抜きゲーは「抜けるかどうか」。)
 評点と私的満足度:薄味だご都合主義だと不平を漏らしたくなることは多々あるにしても、商業ベースの作品は男性向けのシナリオとしてソコソコ楽しめる場合が殆どですから、よっぽど酷くもない限りは「可」の評価を付けるようにしています。50点を切ると地雷探知機のアラームが鳴りますので、速やかに工兵部隊に救援を要請してください。ありがちな普通の萌えゲーには55~65点、他社製品と比較して頭ひとつ抜けている作品には大抵75点を付けています。80点以上はいわゆる名作、「殿堂入り」させたくなるような作品です。
 ※エロゲー批評空間以外では、同じID名でブログ・ツイッター等の発信型サービスを一切利用しておりません。なお、ID名は星座 (Crux, -cis, F: みなみじゅうじ座) からとったものです。


[何点刻みでつけますか?]
 私たちは測定値の桁数にもっと注意を払うべきなのです。例えばRさんとPさんが同じ石ころを別々に秤量したとしましょう。Rさんは安物の上皿天秤を用いて「10.5 g」と報告し、一方Pさんは研究室の化学天秤を用いて「10.489 g」と報告しました。レポートを受け取った人間は、桁数の多いPさんの方が精密な測定をなしていると期待できます。もしRさんがPさんに嫉妬した挙句、測定値の桁数を無闇に増やして「10.500 g」と報告したならば、きっとRさんの測定技能は過大に評価されてしまいます。Rさんの水増し行為は欺瞞といえます。
 エロスケの評点はどう付けるべきでしょうか。恥ずかしながら告白いたしますが、私はゲームを1点刻みで採点する程には、感性に自信がありません。とはいえ10点刻みではラフすぎます。そこで間をとって5点刻みとしています。

得点順コメント

95planetarian ~ちいさなほしのゆめ~(非18禁) (Key)
「アンドロイドものSF on ギャルゲー、センチメンタル風味」。世界大戦後の廃墟を舞台とした静かなお話。もの寂しい世界の中で強調される「憧れる想い」が読んだ後も心に残る。この手の読み物の中で私が一番好きな作品。 → 長文感想(1949)(ネタバレ注意)
90Ruina 廃都の物語(非18禁) (ダンボールの神様(同人))
プレイヤーは巡航能力を試される。MPの残量に神経を尖らせながら古代の廃墟を踏破しなければならない。戦闘よりも探索の過程を楽しめるだろう。 → 長文感想(2726)(ネタバレ注意)
90沙耶の唄 (NitroPlus)
キャッチコピーは「それは、世界を侵す恋」。巻き込まれる側はたまったもんじゃない……のに、つい見入ってしまうのだから困ったものだ。 → 長文感想(2954)(ネタバレ注意)
85GEARS of DRAGOON ~迷宮のウロボロス~ (ninetail)
装備品を集める→作戦を練る→ボスを倒す、の繰り返し。戦略性・やり込み要素とも充分にあって楽しめた。雰囲気は前作と打って変わって、とにかく暗い。共存の可能性を、ロウ/カオスの両エンドで楽観的/悲観的に探っていく。真っ二つに分かれた結論を比較するなら、やはりカオスの方が現実味を帯びている。それだけ共存とは難しいテーマなのだろう。つい溜息が出た。 → 長文感想(18942)(ネタバレ注意)
85カタハネ (Tarte)
二層構造が本作の最大の特色だ。悲劇的なクロハネ層と、楽天的なシロハネ層が、何世代もの時を経て重なっている。自律人形や石畳の帯びる永年性によって、両層は巧みに接合されている。読者は外部から物語を縦にも横にも味わえる。同時代的な横方向の解釈に基づくなら、シロハネ層は「長い旅路の末の喜び」だし、超時代的な縦方向の解釈に基づくなら、「英雄の犠牲による平和」である。おかげで呑気な珍道中モノが力強いフィナーレを迎えることができた。縦方向の楽観主義に、ちょっと憧れる。
85Ever17 -the out of infinity- Premium Edition(非18禁) (KID)
ギャルゲー + 脱出もの + ミステリー(?)。ちゃんと最後には謎が解ける。中だるみしやすいのが難点で、もう少しテキスト量が少なかったら90点いってたと思う。今でも記憶に残るいい作品。
80GEARS of DRAGOON 2 ~黎明のフラグメンツ~ (ninetail)
装備品を自在に設計できるのが、前作同様面白い。シナリオは前作よりも冒険チックになった。プレイヤーは色々な時代の遺跡を回ることができる。廃墟趣味だとかロストテクノロジーだとか、夢があっていいんじゃないか。人間ドラマとしては前作の方が上だと思うけど。 → 長文感想(4877)(ネタバレ注意)
80向日葵の教会と長い夏休み ()
人間も動植物も活力にあふれている。それら全ての合力が「朧白村の雰囲気」だ。群生する向日葵が、純朴さと力強さを視覚的に訴えかけてくる。 → 長文感想(9338)(ネタバレ注意)
80AIR (Key)
壮大感と薄幸感を上手に出せている。懸命に幸せを掴もうとする「いじらしさ」に、心動かされる。 → 長文感想(1638)(ネタバレ注意)
80夏の終わりのニルヴァーナ (ぱじゃまソフト)
寂しい話だった。エンドロールの後に何とも言えなくなった。各編を個々に眺めるなら「ちょっとイイ話」レベルに止まっているものの、構成の良さがプラスに働いている。仏教チックな世界観は好き嫌いが分かれそうだが、いつもの「ぱじゃま節」を楽しめた作品。 → 長文感想(3646)(ネタバレ注意)
80アトリの空と真鍮の月 (TOPCAT)
和風伝奇。もう少しおセンチさも欲しかったのだけど、「少しずつ真相の見えてくる楽しみ」は中々の出来栄えだった。 → 長文感想(958)(ネタバレ注意)
80朱 -Aka- (ねこねこソフト)
砂漠をヒロインと共に越えていく。強く印象に残るのは、救いのない雰囲気と、彼女との絆。ツッコミどころが多いのは残念だったけど、概ね満足。 → 長文感想(4997)(ネタバレ注意)
80サナララ ~SA・NA・RA・RA~ (ねこねこソフト)
どこか懐かしい想いに浸れるかもしれない、全4話のオムニバス。はかない感じの青春モノがお好きな方は是非どうぞ。 → 長文感想(769)(ネタバレ注意)
75千年時計(非18禁) (まむちゃん(同人))
RPGとしては凡庸な出来だが、シナリオが良い。悪役側に多くの事情を酌んでみせて、善-悪の両極化を避けたから、勧善懲悪の爽快さなど微塵も感じさせないのだが、代わりに悪役に人間味を出すことができた。膨大な人物相関図もあいまって、見応えのある作品に仕上がった。 → 長文感想(3909)(ネタバレ注意)
75見上げてごらん、夜空の星を (PULLTOP)
「ころげて」に比べると、地味ながらも丁寧な感じがした。特にメインの二名のシナリオは、一貫して幼馴染の関係を追いかけられていて、観ごたえがあった。 → 長文感想(4111)(ネタバレ注意)
75そして明日の世界より―― (etude)
AかBのどちらかを選べ、と2つの未来を示されて、ウーンと唸る。中々選び辛いからだ。選択肢が重大な意味を持てば持つ程、彼/彼女は両方をよく吟味して、悩むべきだ。しかるに本作は、Aには注力できたものの、Bを疎かにしている。熱に浮かされているような主人公を、私は観ていて心配になった。どう生きようが個人の勝手だけど、選択の前に充分に現実を見つめて秤量して欲しい。そんな吟味でホントに大丈夫? → 長文感想(5416)(ネタバレ注意)
75アステリズム -Astraythem- (Chuablesoft)
姉さんに恋する物語。一途とも取れるし浮気とも取れる。どう捉えるかで評価は分かれそうだが、決めつけちゃうよりもいっそアヤフヤさを楽しんだ方が幸せになれる。もっとも一途さはあまり健全ではない。姉さんを大切にしているようで、その実、彼は「姉さんを大切にする自分」を大切にしているのだ。 → 長文感想(5537)(ネタバレ注意)
75汚された夏 ~10本の手で嬲られた少女~ (KLEINシロップ)
「朱に交われば赤くなる」という。本作がエロいとすれば、シーン自体がそうだというのは勿論のこと、舞台の南総町全体が発している匂いにも因るのだろう。インポ気味の読者諸兄は是非、町の瘴気を股間一杯に吸い込んでみよう。 → 長文感想(1105)(ネタバレ注意)
75牝姫の虜 ~廃校舎の制服少女~ (Gage)
抜きゲーとして◎鬼畜ゲーのようで本質は純愛ゲーといえる。ぶっちゃけ在り来たりなストーリーだけど、エロさを演出するには充分な雰囲気を維持できていた。本筋の純愛路線が中途半端に終わってしまったのが残念。一粒で二度おいしい、とはいかなかったようだ。 → 長文感想(1002)(ネタバレ注意)
75ひぐらしのなく頃に解 目明し~祭囃し編(非18禁) (07th Expansion(同人))
全8編!長~~~い間ずっとプレイヤーは登場人物と向き合うことになるので、やっぱり彼らに愛着が湧く。ハッピーエンドを熱心に模索する主人公たちが悲壮感たっぷりで、声援を送りたくなる。魅力的な人物と舞台セットを用意して、プレイヤーを牽引できた点をまず評価するべきだろう。今「ひぐらし」を振り返るなら、幼稚な展開を愛着やノリで誤魔化しているように映るのだけど、プレイした当時は結構ハマったんだよなぁ。「考えるな、感じろ」の精神で楽しむべき作品だ。
75パティシエなにゃんこ (ぱじゃまソフト)
大抵のプレイヤーは小市民的な幸福を良しとするものだ。スターになれるってワケじゃないけど、職場と人間関係に恵まれるような、ささやかな幸せ。本作もそれを良しとして、一貫して肯定してみせる。だから読み手と作品とで価値観が合致して、癒し系たりえるのだろう。 → 長文感想(9781)(ネタバレ注意)
75はつゆきさくら (SAGA PLANETS)
主人公の素性や背景が中々明かされないので、中盤までは意味不明に思えて、楽しみにくい。最後まで読むと感慨深い。復讐劇というよりは「過去からの脱却」を描いた物語なのだろう。世の「留年」者も、主人公ほどに恵まれていたなら、きっと容易く卒業できただろうに。 → 長文感想(3148)(ネタバレ注意)
75終わる世界とバースデイ (コットンソフト)
「終末系」+「開始系」=「新・終末系」(?)最後の章が面白いので、途中で微妙に思えてもメゲずにクリアして欲しい。 → 長文感想(5676)(ネタバレ注意)
75めぐり、ひとひら。 (キャラメルBOX)
伝記 + 三角関係。オチはやや弱いし、終盤に重心が偏りすぎているきらいもあるが、見事などんでん返しに読み手はアッと驚くに違いない。「超展開」にしてはあまり嘘臭くない筆運びにも好感を持てた。聖女が悪人を赦すさまには、共感できなかったけど。 → 長文感想(2223)(ネタバレ注意)
75こなたよりかなたまで (F&C)
トゥルーエンドについて。最終的な主張が、ただ主張される「だけ」で終わっていて、具体的な裏付けに乏しい。思考実験のようだ、とまでは言わないけど、思弁的で少し脆い感じがする。 → 長文感想(1899)(ネタバレ注意)
75シンフォニック=レイン(非18禁) (工画堂スタジオ)
ジメジメシトシトジメジメ(中略)ジメジメと雨が降り続く。表紙の娘の話は良かったけど、サブヒロインのシナリオが不完全燃焼に終わってしまった。音ゲーパートが結構楽しめたので、さらに5点加算してこの評点。 → 長文感想(3784)(ネタバレ注意)
75eden* They were only two, on the planet.(非18禁) (minori)
寂しいラブストーリー。物憂げな登場人物たちを許容できるかどうかが鍵になりそう。 → 長文感想(1257)(ネタバレ注意)
70太陽のプロミア (SEVEN WONDER)
初めの4編は面白い。何でもありなファンタジーのようでいて、SFっぽく理屈をこねてくれるから、プレイヤーも摩訶不思議を受容しやすい◆最後の2編で評価を下げてしまった。理屈を吹き飛ばして悪い意味でファンタジーになっている。あと最終決戦の構図はいわば歴史の再現なのだから、(もし感傷的な趣向を目指すのであれば)プレイヤーが昔と今をダブらせて感情移入できるように工夫してほしかった。過去編を用意して、説明的ではなく具体的なシーンによって、プレイヤーの感情移入を促進するべきだった。他にも文句を付けるなら、エレガノが蚊帳の外だったりだとか、フレアルージュがフカクルージュだったりとか(むしろ評価が上がるのか?)◆……という不満をある程度帳消しにしてくださるのが、プロミアさま。主人公を探してベソをかく御様子が、ああもう、いたいけであらせられます。
70光の国のフェルメーレ (幻創映画館(同人))
良くも悪くも童話のような作品だった。主人公はおとぎ話の援用を受けながら綺麗に羽化できた。一方で、彼もメイドも子供じみた論理を振りかざしているのだから、冒険の根底は危うい。 → 長文感想(2429)(ネタバレ注意)
70コッペリアの墓標と廻る恋のはなし(非18禁) (Mal de Manege(同人))
余韻のある話だった。プレイし終えた後から、黒幕が悪意をもってひたひたと忍び寄ってくるような。 → 長文感想(1218)(ネタバレ注意)
70さくらさくら (ハイクオソフト)
[ネタバレ?(Y1:N1)]
70魔法の守護姫アルテミナ (Delta)
凌辱ゲーをプレイしていたはずが、丁寧な日常シーンを通して、何時の間にかヒロイン側に肩入れしてしまった。ヒロイン造形が等身大で親しみやすい。あくまでも彼女はテンプレ魔法少女として善い子でいるのだが、正義一辺倒ではない。闘いを拒否しようとしたり、プライベートを重んじていたり。内的成長も見逃せない(胸は成長しない)。シナリオはもうちょっと頑張って欲しかったのだけれど(悪役の背景とか、最後のトンデモ設定とか)、キャラクターはいい。プレイ中に「このライターは魔法少女が好きなのだろうな」と何度も思わされた◆ガチの凌辱スキーには薦め辛い凌辱ゲーだ。ついヒロインに肩入れしたくなるような設計が災いしたのか、陰惨なエンドが少ない。強気な彼女をあの手この手で絶望に叩き落したい諸兄には物足りないだろう。もちろん彼女は何回も犯されるのだが、大抵はスグ救出されて勧善懲悪。
70レコンキスタ (コットンソフト)
禁忌とは大抵魅力的なものだ。誰もしないような事を、そもそも禁じる必要が無い。欲しいから無理してでも求める、邪魔者を排除する、生き辛くなったら自殺する。私たちはそれらを軽蔑したとしても、し切れないはずだ。しかし剥き出しの欲望は世を乱すから、禁忌とされる◆ライターの視線は厳しくも優しい。あくまでも正論を説きながらも、人の弱さに多少の同情を寄せる。暮葉も汐見も慶吾も、つい悪しき想いを懐いてしまった。犯人も決して悪の権化ではなくて、つい堕ちてしまったのだ。プレイヤーは作中で「あなたならどうしますか」と暗に問われて、返答に窮してしまう◆群像劇的な手法は一長一短。ちゃんと悪役を描いたのは評価できるし、パズルの組立ても楽しい。だがキャラ一人あたりの記述が減ったせいか、通り一遍な印象を与えるし、また信哉視点の両編は救出劇として互いに似通ってしまう。
70アルテミスブルー (あっぷりけ -妹-)
飛行機バカが夢を追いかける物語なのかと思いきや、意外にも恋愛面でも頑張ってくれた。最終章は少し残念で、唐突な印象を与える。あと大人の事情に巻き込まれるアリソンが可哀想だなと思った。 → 長文感想(1859)(ネタバレ注意)
70もしも明日が晴れならば (ぱれっと)
明穂編のエピローグには感心できなかった。辻褄が合っていないし、「夏の残照」を退色させてしまったし、そして私たちの価値観に合致していない。特に後ろ2つが大きい。……とはいえエピローグに強い拒絶反応が出ただけで、作品全体からは割と好印象を受けた。お気に入りはつばさ編。 → 長文感想(3967)(ネタバレ注意)
70黄昏のシンセミア (あっぷりけ)
プロローグの死闘が迫真的だった。あれマジで怖かった…そして彼女を護りたいなとも思った。彼女もまた同じ気持ちでいたのだろう、幼いなりに必死でこちらを案じてくれたのが嬉しかった◆クリアしてみると少し期待外れ。本作は陰謀の解明には成功したけれども、汲々と説明しているようで、「主人公とヒロインの仲を引き裂こうとする陰謀(非日常) vs 愛し合うふたり(日常)」の構図を盛り上げられなかった。そりゃラブストーリーなんだから、ふたりには色恋を原動力としながら患難をダイナミックに乗越えてほしい。翔子編は侵食されるカップルをじっくり描けたけど、ボスが生温い◆要するに本作は伝奇で在ろうとし過ぎた。不気味さと純愛をもっと混合してほしかった。プレイヤーは混合体の中にこそ熱意を見いだせる。「カノジョ/カレシを護りたい」とは、愛情の最も原始的な表出だろう(例えば「ever17」なんかはこの辺シッカリしていた)。
70D.C.III ~ダ・カーポIII~(非18禁) (CIRCUS)
桜と聞いて何を連想しよう?卒業と入学、新しい年度、出会いと別れ、といったところか。桜は古い時代を見送って、新しい時代を出迎える◆DCシリーズは魔法を桜のように位置づける。魔法は優しいがゆえに主人公たちを導き、優しくないがゆえに彼らを突き放す。DC1の台詞を思い出す:「自転車の補助輪みたいなもんさ」あるいは「それが夢の終わり……現実のはじまり」。補助輪は彼らに過去を清算させて次のステップに進ませる◆今作も桜の魔法を継承している。表面的には前作と毛色を異にしているけれども、本質的には続編として正統性を有する。特にDa Capo編がいかにもDCらしい。風見鶏や初音島を、一面の桜が埋め尽くす。終わりの名残惜しさと、はじまりの希望が、そこにある◆前作よりもDCらしい。なぜならDC2ではさくらの変節や御都合主義的なハッピーエンドが目立つ一方で、今作では魔法が補助輪の役目を徹底したのだから。
70BITTERSWEET FOOLS (minori)
本作は地味で牽引力を欠く。根幹となるようなストーリーを有しない、つまり何かしら偉大な目標を達成するべくキャラが奔走するような話ではない。終盤もアッサリ片付けるし、裏社会の構図を解き明かそうともしない◆ヤンチャな大冒険の代わりに、落ち着いた(=あり得そうな)日常風景を末端の視点から描く。「日常系」とでも形容されるべきだろうか。無論彼らの日常は、私たちの非日常だ。暴力組織の末端で翻弄され、兵隊としてただ淡々とドンパチに勤しむ日々が続く◆読者の期待は話の筋からキャラの魅力に移るのだが、薄い。登場人物が多すぎて、一人あたりのテキスト量が不足している◆とはいえ大勢のキャラによる群像劇は独特の雰囲気を生み出した。接点のないはずの人物が偶然同じ街で出会い、互いに少しの影響を及ぼしあう。微かな繋がりが重なって、緩い網状を成していく。キリスト教圏ながら「袖振り合うも多生の縁」と日本人らしくロマンに浸れる。
70何処へ行くの、あの日 (MOONSTONE)
背表紙は切り落とされていて、ページはシャッフルされている。読み手は断片を拾い集めて、元に戻さなければならない。明晰さをミクロにもマクロにも欠くテキストに悪戦苦闘しながら、私は一応復旧を成し遂げた(らしい)のだけど、合っているのかどうか不安になってくる。クリア後の今ですらこんな感じだ◆プレイ中は更に不安に思えてしまって、千尋編や絵麻編で素直に感動できず、むしろ普通の萌えゲーっぽい初めの3編の方が楽しめた。ヤマ場においてロジカルな組立作業に追い回され、人間ドラマを味わうための余裕を持てなかったのだろう。逆に、情感よりもパズルが好きなプレイヤーなら脳汁を分泌できそうだ◆ちなみに復旧された(らしい)物語はそれ程……。恭介に視点を置いてミステリー性を確保するだけでなく、絵麻に視点を置いてオンナの執念にもスポットを当てた方が面白かったのかも(「シンフォニック=レイン」みたいなイメージ)。鬱になれそう。
70Clear -クリア- (MOONSTONE)
常ならざる状態を異常という。私たちは主人公やヒロインの異常な心理を、聞き伝えや作中の情報と照合しながら推量していくしかない。しかし彼らの異常さはファンタジー的な要因に基づいていて、私たちの類推を妨げようとする。キャラの掴みにくさや冗長な展開は兎も角として、彼らが真の愛情に目覚める様子は見ものだろう。残念なのが御都合主義の乱発で、感動的な終幕のはずがトーンダウン。 → 長文感想(8722)(ネタバレ注意)
70メルクリア ~水の都に恋の花束を~ (Hearts)
魔法の登場する物語は、しばしば御都合主義的なハッピーエンドを導きやすい。しかし謙虚にも本作は奇蹟を乱発しないから、好評を博しやすいのではないか。例外は某エンドだけ。それにしたって何となく受容されうる程に、作中世界は優しげだ。以下はフワッとした読後感を因果律によって捕まえる試み。 → 長文感想(4982)(ネタバレ注意)
70スターズ★ピース|恋愛応援⇒友達獲得ケーカク(非18禁) (平星高校ゲーム制作部(同人))
えてして探偵は強引にでも多くの新情報を集めたがる。探偵ゲームの様式を学園モノに移植しようとすると、どうしても無理が生じる◆そもそも探偵ゴッコにどれ程の大義名分があるのだろう。依頼者の恋愛を成就するためとはいえ、軽々しく他人のプライベートに押入るべきではない。主人公のキューピッド気取りには共感できない◆加えて友情観の貧しさ。本来は先に人間関係の醸成があって、それを通して情報が細切れに流れてくる。順序を逆にすると彼女のような「探偵の聞き込み」になってしまう。普通なら「アイツ何か嗅ぎまわっているらしいよ」と噂されてハブられるのがオチだ。にもかかわらず協力的なクラスメイト達は寛大すぎる。偶々友人に恵まれたから良かったものの、彼女の未来が少し不安になる◆皮肉なことに、本作らしくない(=恋愛を応援しない)第7話以降の方が安心して楽しめた。クラス全員(30名!)の顔と名前が一致する程には感情移入できた。
70さかしき人にみるこころ (light)
不純な「さかし」は「小賢しい」。八方美人/エセ孤高主義にしろ、薀蓄合戦にしろ、カッコつけて年少な自分自身を覆い隠そうとするような初々しさがある。彼らもやはり歳相応に弱っちい。未来をしかと見据えている(ように見える)友人と、一方で曖昧なビジョンしか持てない自分とを比較してしまって、密かに(密かに!)ブルーに浸っちゃう◆萌えゲーに於いてそういう青臭さはナイーブでミットモナイ姿として描かれがちだが(→いわゆるヘタレ主人公)、本作は笑いのオブラートに包んで、ネタ化してしまう。難攻不落の要塞にオドオドしながら挑んでくれた主人公が、充分な存在感を保っていて、かつ可愛らしく思えた。ユルすぎないしカタすぎない、筋の通ったコメディだ◆もっとも序盤で自己正当化と付きまとい行為を繰り返す彼に、一抹の不安を覚えたのもまた事実だ。集中力や行動力を正しく活かして、幸せな家庭を築いてほしい。
70ましろ色シンフォニー -Love is Pure White- (ぱれっと)
ラー ビィズ ピュァ ワィト(恋はまっさら)。復唱してみると少し気恥ずかしい。物語はさらにポエマーチック(×ポゥエティク)な文言で始まり、読む者を赤面せしめるのである。……と茶化しながらプレイしたのだけど、完クリ後に振り返ると悪い気がしないのだから不思議。モブキャラの陰険さに寒気を覚えながらも、隣で寄り添ってくれる女の子とか、親友くんの気遣いに触れることができて、気分が静まったのかもしれない。よく暖房の効いた作品だった。以下は主に桜乃編の感想。 → 長文感想(8670)(ネタバレ注意)
70倉野くんちのふたご事情 (CUBE)
お隣のCUFFSの影響を中途半端に受けている。実姉妹にモテまくる萌え抜きゲーと思いきや、離婚だの経営だのとヘビーな物語が続く◆豆腐の上に積み木を載せているようなもので、破綻が目立つ。ハーレム展開の都合のよさには目を瞑るとしても、洋菓子店の運営にしろ離婚騒動の結末にしろ、納得できない◆エロゲーにご都合主義はつきものとしても、それを読者に見せつけるようでは面白くない。そもそも破綻させてまで話を重たくせずとも、「エロエロ展開+がんばり物語」は達成できた。エロ重視なら分相応にライトに仕上げるべきだった◆成る程Hシーンは充分な実用性を備えていて、萌えゲー風の絵柄とキャラで、BGVだの射精ゲージだのと頑張ってくれている。しかしプレイヤーがティッシュを減らして賢者タイムに入ると、半端かつ無駄なシリアス展開が気になってしまう。どっち付かずな作風だ。可愛くてヌけるから良作といえるけど、名作とまではいかない。
70ラムネ (ねこねこソフト)
作品世界は至って平凡そのもの、あるいは荒波で傾いたとしても最後には復元力が優しく働く。重心の低い設計には安定感があって、何マイルも先まで見通せるがゆえに決してドキドキの航海にはなり得ない◆しかし全航程を終えた後でも、手元には記念品が残る:髪留め、アメ玉、真珠、そして望遠鏡。芋づる式にヒロインたちの泣き笑いが想起されて、さらに作品自体が帯びるノスタルジーもあいまって、とても懐かしく思えてくる。古い半券を机の引出から見つけた時の気持ちに、少し似ているのかもしれない。キーアイテムが記憶にフックしてくるような、一種の職人芸的な萌えゲーだった。
70この大空に、翼をひろげて (PULLTOP)
「なぜ飛びたいのか?」回答は部員の数だけ用意されている。脂っこいお題がテンポ良く語られてしまったせいか、示された回答には充分には得心がいかなかった。少なくともソアリング部の熱気と包容力ならよく伝わってくるから、ぜひ彼らのエネルギーを少し分けてもらおう。 → 長文感想(9041)(ネタバレ注意)
70CANDY GIRL (Le.Chocolat)
「人形愛」なる性癖が存在するらしい。オーナーが物言わぬ人形を愛でる様子には、非日常的なプラトニックさと独善性があって、読み物にスリルを求める層にはさぞウケるのだろう。だが本作に人形愛的な感動を求めると肩透かしを食らう。確かにヒロインたちはドールだけど、自我を明確に有している。いわばSFでよく登場するアンドロイドに近い(ってか、作中でそう明記されている)。物語は機械少女の人間性を強調し、彼女たちと主人公とを幸福に導く。エロゲーに時々出没するアンドロイド娘を、私たち逸般ユーザーは日ごろ平気で攻略しているのだから、きっと本作も「ちょっとイイ話」として受領できるだろう。大事なのはココロだよ、ココロ。非現実性(=アンドロイド愛)に走って現実性(=人形愛)を完全に除去したことによって、本作は自身を無毒化できたのだ。うん、悪くないのだけど、ワザワザ等身大ドールの実写画像を用いた割には、読み応えに欠ける。
70すくみず食べ放題 (Waffle)
水泳コーチの主人公が女子生徒を食べ散らかすゲーム。スク水の質感を充分に堪能できる。と言うと、年齢や立場の違いが際立って背徳的に響くのだけど、実はそうでもない。彼は少しショタ系っぽく造形されているし、ヒロインたちも概してピュアだから、結果として彼とヒロインとで精神年齢の差は縮まる。つまり牧歌的なハーレム状態が完成されるのだ。そしてプールサイドで仲良くじゃれ合う彼らを、親御さんもつい認めたくなるのだろう(と強引に解釈しよう)。従って汚ッサン/汚ニイサンが未熟果をもぎ取るような支配性は微弱である。注意されたし。……率直なところ主人公の台詞が一々気持ち悪いので何とかしてほしい。彼は幼児退行をきたしているのだろうか、えっちシーンにおける言動は異様と形容するより他ない。射精時に「ぁぁぁ」連発で男に喘がれても、プレイヤーは当惑してしまう。
70つくとり (rúf(ruf))
ギャグが寒いどころかブリザード状態……話の筋は面白いのに勿体ない。あと大げさにし過ぎ。村の中で手堅く物語をまとめた方が良かった。 → 長文感想(2029)(ネタバレ注意)