it's just farewell

it's just farewell(ボーカル有り)

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カタハネ オリジナル サウンドトラックサウンドトラック
motionアルバム

音楽得点分布

得点度数グラフ
1007
90~993
80~895
70~794
60~690
50~590
40~490
30~390
20~290
10~190
0~90

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コメント(新着順)

(この感想は、「カタハネ オリジナルボーカルアルバム」に収録されている「2017Ver.」について、原曲と比較しながら語っています)

改めて原曲「it's just farewell」を聞いてみて、Ritaの歌唱のまっすぐさ(それはときにパセティックなほどに)と、バックのドラムを中心とした、追い立てるような軽快なアレンジだということが、解りました。とくにドラムなんか、表拍でバスドラムをドスタッドスタッと鳴らすほど「次へ、次へ!」という意志を感じさせます。ベースの動きっぷりもそれに合わせます。
 つまり原曲verは、若者たちの未来へ向かって、過去にとらわれることなく「次へ、次へ!」の曲であったのだ、と言えるのでしょう。もちろん、「過去をいつまでも忘れない」の役目は、「Memories are here」が受け持つわけです。

 カタハネの構成は「カバルート」「アンルート」そして「ココルート」の三つによって成り立っていますが、「過去を清算する」がもちろんココルート(グランド)です。そしてカバとアンのルートは、つまるところ、若者が羽ばたいていくルートです。

さて、本曲「2017Ver.」ですが、「軽快だけど結構重いような不思議な感じがするぞ!」というものです。
アレンジ的には、あえて音数をぐっと絞ってドラムとベースとピアノのバンド編成。電子音などのオカズは使っていません。オーガニックな編成です。
原曲と聞き比べてすぐ解るのが「テンポの遅さ」です。それはアレンジ自体が「タメ」をきかせた遅めのテンポで演奏しているのもそうなのですが、何よりRitaが、「演歌とは言わんけども、これはいわゆる”こぶし”なのでは?」と思わせるほどの「タメ」を聞かせて、歌詞の言葉をひとつひとつ噛みしめるようにして歌う(語るように歌う)サマにも現れているのです。

原曲からして、ハネるようなリズムを持つ曲でしたが、2017verではよりオーガニックなアコースティック・ボッサ・アレンジです。あえてここで「ボッサ・リズム・アレンジ」という風に書いて、「ボサノヴァ風」とは書かないのは、ボサノヴァのようなどこまでもクールネスを大事にする静謐の音楽とは、ちょっと位相を異にするのではないか?と思うのです。このあたり、ぶるよぐ本隊や、ソロワークスとしてのRitaの活動よりも、ユカキラリタなどのアコースティック・バンド編成でのRitaの活動がフィードバックされている、と考えても、それほど的外れではない解釈ではないか、と思うのですがいかがでしょう。自分も数年前、ユカキラリタのライヴには行ったことありましたが、アコースティックなサウンドを、どこまでも深みに誘っていくような音世界であり、Ritaの「言い含めるような」骨太の歌唱が、実に説得力あるものでした。しかもそのアンコールでアコースティック版「Dorchadas」演ってくれちゃって。さすがにアンコールで観客の皆さん息吞みましたね。

「カフェでよく流れているかのようなアレンジ」とは断じて言い切りたくありません。2017verにあるのは、非常に心が温まる、非電子音・非ロック・非テクノアレンジでのオーガニックな味わいです。
 アコースティック。曲(歌詞)の精神性をぐっと高め、伝えるようにしてこちらに響いてきます。「心地よさ」を重視したアレンジのようで、聴き応えはかなりヘヴィです。それはRitaの「重い」歌唱と、タメのきいたバックの演奏。「甘い曲でさえぐっと考えさせられてしまう」、偉大なるジャズ・シンガー、ビリー・ホリディの存在すら脳裏には浮かんできてしまう……といったら言い過ぎですが。

 噛みしめるように、言葉を。もし物語の中にこの音楽があったとしたら、それは本編ラスト直近ではなく、少し経ったころ。若者たちが未来に向けて旅立って、少し経ったころ。笛氏のカタハネ同人誌漫画ネタ(超ドマイナーネタですいません)で言うならば、ベルが人形の修理をしようとして、まずアンに電話で相談するようなとこ(なぜかそこでアンは海賊の船長っぽい役だったり)。こういう、「着実に夢をつかむための道を歩み、安定してきた頃」が、この歌には似つかわしいでしょう。ーーそう、あの旅より、少し大人になったセロ一行たち。
 それでも、停滞はしていないのです。彼らの持つ光は、停滞などしません。歩み続けます。そんな「夢への日々」の中でも、少し休むような日があるでしょう。ときに、昔を思い出すような。
 あのシロハネドタバタ旅行の中では、他人を真に理解しあうだけの余裕はありませんでした。カバも、アンも。お互いの才能と人間性に、「しょうがないな」な呆れと、お互いに宿る光に対するリスペクトを抱いて、一気にモスグルン演劇祭に向けて若さで突っ走っていったのが、セロ一行でした。
 やっと、「ああ、あのときあの子はこう思っていたのかな……」と思い至るような、そんな時間。それが、この2017verの似つかわしい風景でしょう。

 うーん、すごい妄想解釈になってしまいましたなw
 もう一回音楽性の方向に戻せば、全体的にタメを聞かせながらも、しかし十分以上に「ハネる」アレンジです。んちゃ、んちゃ、って。裏拍のタメがあるからこそ、そのハネが「ちゃんと地面を踏みしめて飛んでいる」という実感がある。シルヴィアとトニーノもまっとうになったのだよ……(涙

 しかしそれにしてもリズムセクションがよい仕事をしています。
 そしてRitaの骨太な歌唱に、迷いはありません。それだけに、歌詞がすっと(テンポが遅いということもあって)こちらに染み渡ってきます。そして、過去・現在・未来を肯定する説得力さえあります。
 未来へ続くアウトロとして、よい出来です。

 なお、「あなたのはじまりを見届けることが 私の役目」のところで、すうっとバンドサウンドにフィルターをかけて、少し抜けて、Ritaの歌唱のみになるところが、なんともココの立ち位置を表現しているようで涙。

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