ritz_fawcettさんの「キラ☆キラ」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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『MUSICUS!』発売前に初プレイ。読んだ人の心に必ず何かを残してくれる作品。その残ったものが快いものであるとは限らないが、彼らの「叫び」はきっと誰かに届くのだろう。

『キラ☆キラ』とは一体何だったのか?と問われたら「社会不適合者の叫び」だと答えたい。


表のテーマは誰が見たってわかる。青春と恋愛だ。年頃の男女がバンドを組んで文化祭で演奏し熱狂を浴びる。有名バンドにも認められ、ライブハウスを巡って全国を旅しながらヒロインと恋に落ちる。誰もが一度は妄想したくなるような「ぼくのかんがえたさいきょうの高校生活」だ。でも、今作が本当に描きたかったものがそんなものじゃないことはいちいち語るまでもない。

じゃあ何を伝えようとしたのか。それは『世の中生きづれえなあ、それでも生きていかなくちゃならないんだよなあ……人間関係とか社会とかに折り合いをつけてさ。あー、この世は本当にクソッタレだよ!ぶち壊してやりてえ!』といった厭世的なメッセージを、音楽と物語に乗せて「誰か」に届けたかったんじゃないだろうか。それはキャラクターの叫びでもあり、ひょっとしたらライター自身の叫びかもしれない。社会という枠組みそのものに温度の低い鹿之助、才能があるあまり他人と馴染めない上に貧困に窮するきらり、家庭崩壊と留年を経験した千絵、病弱で人並の生活も送れない紗理奈。彼らは皆一様に社会に上手く迎合できない不適合者だ。青臭い青春を描いた共通ルートとうってかわって、個別ルートではそんな彼らの心の叫びがありありと聴こえてくる。そして社会不適合者は社会に抗っている時が一番キラキラしているのだ。

そういった社会への反骨心じみたものを、反社会・反体制のシンボルであるロックバンドを題材に表現したのは上手いと感じるし、何より、物語世界にグイグイ引き込んでくるテキストの牽引力が強くて、その毒気に呑みこまれそうになった。

テーマ性は共感出来る部分も多く、それを物語に上手く落とし込めていたことは評価したい。しかし伝えたいことは理解出来ても、それを調理した物語そのものは、鹿之助の陰気で粘着質な空気感が喉にまとわりつくようで、さほど好きにはなれなかった。こればかりは好みの問題だからしょうがない。そんな中でも唯一紗理奈ルートは高原に吹き抜ける風のような爽やかさを後味に残してくれた。

鹿之助が時折覗かせるドロっとした内面は、鹿之助という「枠」を超えてライターの心の仮託とすら感じられる。主人公は書き手の代弁者じゃないと突っ込みたくもなるが、ライターがつい前傾して書きたくなるほどの熱や荒々しさといったものが、多くの読者を魅了したんだろう。

今作は社会への恨み、嫉妬、反発、諦念、そんな負のエネルギーを原動力に描かれた作品という印象を受けたし、毒気を多分に含む内容だから、心を病んでる人か、逆に現実が凄く満たされてる人には刺さりそうな内容だと思ったけど、万人から評価されてるのは少し意外だ。


夢や希望、愛、理想といった綺麗なものだけで満たされた“キラキラ”を求めている人は回れ右して帰った方が良い。

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