Lumis.Eterneさんの「Little PRINCESS」の感想

俺得その8 Little PRINCESS
Little PRINCESS

この作品は、チャンピオンソフトが1980年代後半に発売したアドベンチャーゲームです。
チャンピオンソフトというのはアリスソフトの法人名で、アリスソフトがアリスソフトと名乗る前はチャンピオンソフトという
名前でゲームを発売していました。時代的に言うとこんな感じですね。

  チャンピオンソフト ←  ランス~ヒカリを求めて  → アリスソフト(チャンピオンソフト)

実は私は、チャンピオンソフト時代に発売された作品はそんなにやってないんですよ。
リトルプリンセスとリトルバンパイア以外では、ZETAとかレモネードなどのディスクマガジンをいくつか、それとアタックひろ子ちゃんと
ちょっと名探偵くらいです。
まあ、wikiとかを見てもらえばわかると思うのですが、この頃のチャンピオンソフトって、ほんとにいろんなことをやってたんですよ。
いわゆる美少女ゲームの他にも、ボーリングやカーレースなどのスポーツゲーム、囲碁・将棋、はてはテーブルマナーや社員活用術みたいな
実用ソフトまで。
特に、雑誌とパソコンソフトを組み合わせたいわゆる「ディスクマガジン」というのは、今で言うメディアミックスのさきがけだと思います。
まあ、実にチャレンジャーであり開拓者だったんですね。

ただし、この頃って美少女ゲームの専業メーカーというのはむしろ少数で、多くの会社はいろんなことをやっていたのです。
エニックスも光栄もT&Eソフトも似たような感じでした。
ただし決定的に違うのは、時代がファミコンの時代になり各社が「これからどういう方向へ進むのか」という選択を迫られる中で、
エニックスや光栄は徐々に家庭用のゲーム機へシフトしてエロを捨て去っていく中で、チャンピオンソフトは

  これからはエロの時代やでえ!

みたいな感じで、美少女ゲームの専業メーカーとして舵を切ったのです。
もしかすると、チャンピオンソフトは大阪の会社なので、

  これからはノーパン喫茶やでえ!

とか、

  これからは同伴喫茶が流行るでえ!

みたいなノリだったのかもしれませんね。
ですから、このメーカーが美少女ゲームの専業メーカーとして再出発する時に「アリスソフト」という名前を名乗ったのも、もしかすると、

  美少女といえばアリスにきまっとるやんけ!

みたいな感じだったのかもしれません。もちろんこれはあくまで私の想像で、何の証拠もないんですけど。



前置きが長くなってしまいました。

この作品は、誰得第10弾でご紹介した「Little Vanpire」の前編に当たる作品です。
ただ、この頃のチャンピオンソフトってけっこうその場のノリでゲームを作っちゃうようなところがあって、「Little PRINCESS」と
「Little Vanpire」って登場人物や設定は同じはずなのに、なんかつじつまが合わなかったり設定が微妙に違ってたりするんですよ。
なんか、制作者自身も忘れちゃってたりするのかもしれませんね。

この「Little PRINCESS(以下LP)」という作品は、最初はレモネードというディスクマガジンに収められていました。
これを便宜的にレモネード版LPと表現させていただきます。
このレモネード版LPでは物語自体もけっこう丁寧に描かれていて、イベントなども豊富です。

ところが、このレモネード版LPをMSX用に単体作品として移植する時に、かなりイベントとかを削ってしまったのです。
私は、レモネード版LPをやってからMSX版LPをやりましたので、なんとか話についていけましたけど、もしもレモネード版LPを
やっていない人がいきなりMSX版LPをやったなら、ストーリーやイベントが飛び飛びでかなり混乱するかもしれませんね。

この作品は簡単に書くと、

  吸血鬼にさらわれた美樹ちゃんを、ボーイフレンドの健太郎君が助ける

という話で、まあ単純といえば実に単純です。なんかすぐに終わってしまいそうです。
しかし、このゲームは非常に時間のかかるゲームなのです。なぜ時間がかかるのかと言うと、異様に難しいからです。
このゲームが難しい理由については、誰得第10弾の「Little Vanpire」の感想で少し詳しく述べていますので、もしも興味がおありの方は
読んでみてください。

確かにこの頃って今と比べれば、ゲームの難易度はものすごく難しかったと思います。
つまり、ゲーム自体が「そういうもの」だったのです。今だったら、エロゲー1本のプレイ時間ってだいたい20時間くらいが平均だと思うのですが、
この頃って「*時間」とかじゃなく、「*ヶ月」みたいに考えていました。
今みたいに攻略情報なんか簡単には手に入りませんから、みんな自力で悪戦苦闘しながらゲームを解いていたのです。

この頃からパソコンゲームをやってらした方だったら、「ロマンシア(日本ファルコム)で詰まった」とか「ギルガメッシュ(日本ファルコム)で
悶絶」とか、「エメラルドドラゴンの森をあてどなく彷徨った」なんて経験があるのではないでしょうか。
このように、ゲーム自体の難易度が今と比べるとはるかに難しいのが当たり前の時代でしたが、そんな時代にあってもこの「Little PRINCESS」の
難易度は異常でした。まあ、はっきり言って難しいというよりも「理不尽」なんですよね。ほんとに苦しみましたよ、これは。

この作品は「LIttle Vanpire」とともに、アリスソフトの配布フリー宣言の対象作品です。
その気になれば無料でプレーすることも出来るでしょう。なので、この作品についてはこれ以上のネタバレはしません。
興味のある方は、攻略情報などは見ずに自力で攻略してみてはいかがですか。
そして、当時の私の苦しみを追体験してみるのも一興かもしれません、って言うか

  みんな苦しめばいいんだぁ!!

って、うそですよ。
実際は素直に攻略情報なんかを見て、さくっとクリアした方がいいと思います。
このゲームに何ヶ月もかけるくらいだったら、他にやりたいゲームがたくさんありますよね。







アリスソフトというメーカーについて(その2)

1990年代にはエロゲーファンの間で、「西の横綱アリスソフト・東の横綱エルフ」という言い方が頻繁にされていました。
もちろん、彼らが横綱と呼ばれていた一番の理由は、

  安定して質の高い作品を発売し続けたから

ということであるのは当然なのですが、特にアリスソフトの場合は、その「メーカとしての姿勢がファンに支持されたから」という理由も
大変に大きいのではないかと思います。

「ユーザーを大切にするメーカー」といえば、多くの方は「ねこねこソフト」などが頭に思い浮かぶのではないかと思いますが、
私の場合はアリスソフトが真っ先に思い浮かぶのです。
思えば、1990年代初頭からアリスソフトという会社は別格的に「ユーザーを大切にする会社」だったと思います。
ただし気をつけていただきたいのは、この場合の「ユーザー」というのは「ゲームを新品で買ってくれる人」という意味で、これはTADAさんも
スタッフコーナーの中で明言しています。
まあこれは当たり前のことで、中古の場合はちょっと微妙なので横においておきますが、例えば小説家が「読者を大切にする」と言ったとしても、
「万引きで本を盗んで読んでる人」まで大切にするという意味ではないですよね。


それでこのメーカーは「ユーザーを大切にする姿勢」の表れとして、実に色々なことをやってきました。
すぐに思い浮かぶものを列挙すると、

  ・ヒントディスクの発売

  ・アリスNETの開設・運営

  ・自社開発のシステム(システム3.0・システム4.0など)の公開

  ・配布フリー宣言

  ・「しまいま」などの一部ソフトの無料公開

  ・フロッピーディスクにプロテクトをかけない

などがあります。
アリスソフトの母体であるチャンピオンソフトという会社は、もともとが異業種から参入した人が始めた会社です。
ですから、もしかすると他のメーカーよりも「顧客意識」が強い、ということなのかもしれません。

たとえば学習塾を例にとりますと、今成功している学習塾の中には「異業種からの参入」がけっこう多いのです。
教育畑だけを歩んできた人の中には「よい授業をすれば生徒は自然に集まる」と考えている人はとても多いです。
このこと自体はまちがいなく「一面の真理」だと思いますが、塾の経営ということを考えた場合それだけではすまない面も
あるのではないでしょうか。「いい先生がやっているのに」または「いい授業をしてるのに」いつの間にかつぶれてしまった学習塾も
けっこう多いのではないかと思うのです。

このようなことはエロゲーメーカーについても同じで、ゲーム制作だけをやってきた人は往々にして「よいゲームを作れば売れる」と
考えがちです。私自身は「そうあってほしい」と思っています。つまり「よいゲームを作れば売れる」業界であってほしいということです。
しかし実際には、よいゲームを作っていたのにつぶれてしまった会社はいくつもあります。
私はそれで、何度も悔しい思いをしました。もしかすると、皆さんの中にもそういう方がいるかもしれません。

そういうことに対する一つの答えがアリスソフトなのではないかと感じるのです。
つまり、ゲーム職人としての意識と顧客意識(良き商売人としての意識)をうまく組み合わせることによって、アリスソフトは
現在に至るまでもトップメーカーの一つでいられるのではないかと思うのです。

アリスソフトのこのような「ユーザーに対する姿勢」の根底にあるのは「信頼の原則」なのではないでしょうか。
つまり、

  私たちは皆さん(ユーザー)を信頼します、
  そのために色々なこと(配布フリーなど)をします、
  だから悪いこと(違法DLなど)はしないでね

ということです。
このことが象徴的に示されたエピソードがあります。
私はスタッフコーナーがけっこう好きで、ゲームを始める前にスタッフコーナーを先に読むこともあるくらいです。
その中でも、CG担当のちーぼうさんのコーナーがシュールでぶっ飛んでいて好きです。

そして私はある時、このスタッフコーナーの中で信じられない言葉を目にしました。
これは多分1990年代の前半に発売されたゲームか、またはヒントディスクの中のスタッフコーナーでTADAさんかWAOさんが書いていた
ことなのですが、

  フロッピーディスクというのは大変もろいメディアです。
  ですから、オリジナルディスクをコピーして、
  ゲームはコピーディスクでやったほうがいいですよ。
  ただし、ゲームを中古に売ったり友達に配ったりしないでね。

まさか、制作者自身がこのようなアドバイスをユーザーに対してするとは思ってもみませんでした。
これは明らかにメーカーにとっては不利益なことであり、場合によっては大変に危険な発言でもあります。
またこれはある意味、まだネットがほとんど普及していなかった時代だから言えることであり、そういう意味では今という時代には
全く当てはまらないことなのでしょう。そもそもこのような発言は、今だったら必ず悪用する人がいると思います。

TADAさんやWAOさんがこの発言の危険性を認識していなかったはずはありません。
十分に危険性を認識した上で、それでもユーザーを信頼しユーザーの利益を優先させたのだと思います。
私はこのようなところに、アリスソフトの心意気というか「アリスソフト魂」みたいなものを感じてしまったのです。


前回の感想で、私が「パステルチャイム3クラッキング事件」について知った時の心情を

  よりによってアリスソフトが狙われるなんて!

と書きました。
この「やるせない気持ち」について少しでもご理解いただけたら幸いです。
ついでに、「おじさんたちがなぜアリスソフトが好きなのか」という理由についても、わかってもらえたらうれしいな。


その3につづく

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