gurasさんの「プリミティブ リンク」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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無難な良作。王道を外さない、いつものPurple Softwareでした。で、終わるつもりで買ったのですが…。あきらかに新エンジンを使いこなせて居ないのと、あまりの主人公の空気っぷりに疲れました…。一度で良いので春太くんの活躍する所を見てみたかった。
大半スキップで進めて、流れだけ見た感想


毎度ながらユーザビリティとクオリティの高い高次元なシステム。それで居ながら、それなりのグラフィックパワーさえあれば、サクサク動くという極軽量さ。あるとから先へと一歩確実に進んだと感じました。

ただ、あるとの時のようにキャラクターをシステム上で上手く動かせていない。動きそのものは大胆に動くようになっていますが、明らかに演出に手を抜いてますね。良く動くシステムなのにも関わらず、実質前作の「あると」よりも効率良く動いてません。大喜びでズームアップ、ズームダウンを繰り返しているだけ。これはちょっと宝の持ち腐れ。さらに背景の椅子等のオブジェクトと、サイズ比を一切無視したズームで、違和感を感じさせられるような状況も少なく無かった。謳華もワイドである事をほとんど生かして無かったが、演出面での成長がズーム以外に見られない。あるとからは確実に劣化している。

あるとの時の、背景キャラ達の言葉にしない一喜一憂は見ていて面白かったのですが、背景に回ってるキャラ達に、そういった動きは今回は一切ありませんでした。ほぼ同時に全てのキャラが、同じ反応をします。これではワイドにする意味が無い。

ドラマツルギー的には秋色恋華と大差無い。同様にシナリオそのものも、あまり面白みや真新しさも無いですが。ただPurple Softwareに、「王道であること」以外に、そこまでシナリオ的な面白さを求めて居ないので、ここら辺は私としては十分に及第点か。いつにも増してつまらないですが。


ここまでは、まだ良い。


ただ今回はちょっと萌えゲーとしては主人公を空気にしすぎてしまった。萌えゲー自体、空気な主人公でもさほど問題は無いのですが。今回の春太くんは飛びぬけて空気。まるで陵辱NTR物の主人公のごとく、本当に何もできない子。ヘタレでは無くて、本当に能力が無い。最後にどんでん返しもできない程に何も無い。何も無いだけでは無くて何もしない。でも自己主張は忘れない。そして六花に止められる。そして居直る。

論理的な文系キャラで、魔法レベルで的確にライターの意思(設定)を汲む六花。勢いだけで状況を解決させてしまう達人の常に騒がしいゆめ。この二人のキャラクターは立っているにも関わらず、主人公の春太をおざなりにしてしまっている。ゆめをウザイと感じる人が多いのも、同じ用なネタで粘着する部分ってのもあるかも知れませんが、春太の活躍できそうな場面で、ゆめが主人公のやりそうな仕事をこなしてる部分があると思うんですよね。

常に横に居る六花が徹底して論理(破綻してるが)的で言う事が絶対に正しいのなら、主人公は精神論や根性論だけで何でもかんでも突撃して、結果良くなるくらいのご都合主義にするか、それ以上の決定的な個性がないと、そりゃ活躍の機会も無く空気にもなる。ただこれは六花のキャラクターが失敗だったのか、春太のキャラクターが失敗だったのか正直微妙なところ。春太が体育会系のご都合キャラだったら、文系軍師タイプのキャラは生きる。六花が記号的な妹だったら、あのくらい無能な主人公でも自由に動かせたはず。

大半の問題は六花かゆめが解決して行くので(美味しい所持って行くので)、主人公へと感情移入する我々プレイヤーは完全に物語の観客席側へ。もう少し主人公に活躍の場を与えてくれないと…。

春太「――――っ!っ!!(春太大興奮) 」
六花「春太私の目を見て。落ち着きなさい。春太。」
春太「ありがとう六花(春太落ち着きを取り戻す)」
六花「よく考えるのよ春太。(説明開始)」

という展開を六花のルート以外でも、ひたすら続けるために、主人公の視点を借りると、六花的な規範で動き過ぎる春太のおかげで、展開にまったくカタルシスが無い。

妹という役割のわりに、まったく妹じゃない。なんて妹はちょっと斬新でした。兄が全力で保護する象徴である「妹」が、兄の力を借りずに完全に自立しているというのは、わりと珍しい設定。むしろ守ってもらって居るのは主人公側だったりしますし。

とくにTrueでの「いらない子」加減が酷く、主人公って何してるの?という。ランドローク(ゆめゼロ号)との対話も六花がそつ無くこなしてくれます。最後の扉を開けるのは攻撃キャラのティエラとシオン。リコの支援魔法に支えられ、みんなの努力で扉開けてもらって、春太くんは、ゆめを抱きしめて一緒に出てくるだけ。魔法でドーンと敵を倒せとは言わないが、主人公がここまで物語に必要が無いってのも珍しい。一応ゆめゼロ号に、リコの魔法を利用して(リコのおかげです)楽しい記憶を送り込んで、無理矢理ゲートを開かせたくらいか。確かに関係的には中央に居る。春太への好意でくっついて来てるのだし、確かに春太を介して人間関係が築けていると言ってもいいが。でもこれ、多分ゆめでも出来るんですよね(六花は無理かも知れませんが)。ああ、そうだ。春太の一番の功績は軍を支える天才軍師の六花を輪に加えた事か。


春太「これが俺らの――――。プリミティブリンク(友情パワー)――――っ!!!」


あるあr
…ねーよwww


他のルートで春太が珍しく必死にヒロインと二人で頑張るも、まったく解決できなかった事柄を、サブキャラや、ゆめ1号&ゆめゼロ号が、全部”あっさり”と、このルートで、まとめて解決するという親切さ。なんだ、みんな優秀じゃないか……。…春太以外。Trueを見終わった後の「うぁ本気で春太を空気にしやがった」という絶望はなかなかの物だった。もうアンチ・カタルシスのレベル。

プリミティブの木のシステムからして「友情」とか「家族」とか「絆」とか描きたかったんでしょうかね。このあたりの空回りしているテーマ性と主人公の空気っぷりの剥離感が、この薄ら寒さの正体かな…。この手のテーマってライターの能力に頼る事になる上に、主人公が動かないとダメなんですよね。背景設定、いわゆる世界観を練り込むというのは、設定という足枷を物語に付けるのだとライターの人は理解した方が良い。キャラクターを動かさなかったわけではなくて、ライター本人も春太などは設定が足を引っ張って動かしようが無かったのだろうな。Purpleはそういった背伸びをしないで、適当に安定した王道萌えゲー配給してくれればファン的には十分だと思うのですけどね…。

実際はキャラそれぞれを設定だけ単体で見るとそこまで悪くない。物語上での魅力が極端に薄いだけで。萌えゲーの場合は物語と言っても、シナリオってよりも単体の記号的な萌えエピソード不足かな。キャラクターの設定だけあって、物語の上での積み重ねが無いから萌えるのが大変。主人公をよそに、ヒロイン達が中睦まじくしているシーンは多いのですが、主人公とヒロインが心を寄せて行く部分が、ティエラなんかだと、すっかり端折られてる。この部分は、あるとや秋色だと丁寧に尺を取っていた部分なんですけどね。表面的なキャラクターを作るだけで、恋愛ゲーム的な部分を端折られると、萌えキャラゲーだとさすがにきつい。圧倒的なバランスこそが売りのPurpleが、まさかこんな大ポカやらすとは…。ひょっとしたら、ここ最近やったエロゲーのキャラが魅力的すぎて薄く感じるのだろうか…。


あるとの完成度を求めてしまったのが失敗だったのかな。
とりあえず今回Purple Softwareがやりたかったのは、この新しいシステムの試験運用なのかな。仕事に何時ものような丁寧さが無かったように感じた。

あとTrueっていうのは実際どうなんだろうね。他の人達はどう感じただろう。攻略的にラストに回るようにフラグで規制かけて、全部まとめて「ゆめルート」で良かったと思うんですけどね。むしろ、ゆめから攻略できるようにしたらダメじゃないかなと。Purpleにしては珍しく色々と試験的な事をやってますね。一番の売りであったはずの無難さがまったく無い。


評判の悪い、ゆめとリコの乳ネタでのボケ倒しはわりと古典的なんですが、「The World of GOLDEN EGGS」の
http://www.youtube.com/watch?v=XxMK-62d1u8
これを思い出した。話を聞かない黒人をゆめ、必死にブラを否定するのがリコって感じで。


Purple好きの人達はちゃんと、アンケートハガキに、ダメだと思ったとこ書いて送りましょう。このブランドは叩かれた所は次回では修正してくるブランドです。今回は「あると」での一番の問題だった「地味」さを払拭しようとでもしたのかな…(個人的にはその地味さが好きでしたが)。とも思えました。エキセントリックなキャラクター性と世界観やTrueルート等、Purple Softwareにしては珍しく色々と試験的な事やってましたね。次回はもっと効率良くこのシステムを利用し、もう少し良い物を作ってくれる事を期待しています。

これを中古で売り飛ばすような状況にならなければ「夏めろ」と出会えなかっただろうから、プラスマイナスゼロとポジティブに考えてみるか……。次からパープルは様子見よう…。


他のゲームのキャラクターにやられてるせいかもと、精神的なリセットの意味で「あると」を改めてプレイ。やはりプリリンに比べると全然面白い。同じ空気でも将人と春太は全然違う……。将人はヒロインの心のサプリメントとして効果抜群だというのは伝わってきましたが、春太はもうどこら辺でヒロイン支えてるのかすら見えてこない。っていうかプリリンをプレイした後だと大半のエロゲーが必要以上に楽しめそうな気がします。スイカに振り掛ける塩みたいな使い方をするのにはベストかも知れない。

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