ヌイさんの「シンフォニック=レイン 愛蔵版」の感想

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大方の流れについては予想通りだったのと、延々と降り続く雨のような終始淡々とした雰囲気に気疲れした。(普段はこんな雰囲気大好きなんだけど)トルタの鬼気迫る行動や心情が一番よかった。お気に入りは雨のmusiqueと秘密。
見届けたあとは本当に、トップの感想以外は特に出てこなかったけど、最後のアルが実はトルタだったんじゃないかという考察を読んだのでそのことについて少し書いていこうかなと。(10年以上たった今、すでに語りつくされていると思うけど、まあとりあえず。)



個人的にはやっぱりあれはアルだったんだと結論付けた。以下二つの根拠を挙げる。
一つ目は、手紙のアルの正体がばれたときにトルタは既にもうアルを演じる必要はなくなったことだ。なぜなら、もう嘘で守る必要がなくなったからだ。そのときの心情の一部にはやはりあ「安心した」という気持ちが混ざっていたのも事実だと思う。この場面の直後、クリスは絶対に演奏会を見に来てと言っている。この演奏会ではフォーニの歌声が観客に聞こえるという奇跡が起きるわけだが、その明るい音色を聞いたトルタが果たして、アルの振りをするだろうかと考えればそうじゃないように思う。トルタがファルさん並みに目的のために徹しきれるのならそれもあるかもしれないが、コーデル先生から言わせればまだまだ子供で時には迷いも見せるトルタが果たして、再びアルに成りすますとは考えづらいと思う。

二つ目は、生まれ故郷に戻ったときには雨は止んでいた。ピオーヴァに降り続く雨は内部的にはクリスの悲しみを象徴しているだろう。そして外部的には嘘を重ねて塗り固めてクリスを守ってきたトルタの庇護、無意識に守られてきたクリスを象徴しているように思った。実際にどの結末でもクリスの雨は、ピオーヴァの街にいた頃に止むことはなかった。それは真実が明かされた後でなお。だから、アルの最後で雨が止んだ=トルタの庇護を離れたと解釈した。この雨の街の幻想に関連して、天蓋の下に零れた雨粒がある。ここの解釈に関しては、トルタが必死に積み上げてきた幻想が綻びを見せ始めたのを象徴していたのかなと思った。アルの手紙の中に段々とトルタとしての自分の気持ちが抑えられなくなったとか。


最後にda capoとAl fineについて
dpcを読んだところ、アリエッタの名前は元々Al fineからきているらしい。だからなぜトルタのルートがAl fineなのかを考えてみて、あれは単純に「アルの死まで」を意味していたのではないかと結論付けた。アルはもう長くないことは確かに言われていたけど、実際にアルが亡くなったと確認できるのはAl fineだけだった(と思う)。またAl fineだけは他の結末と違い、これからの結ばれた「二人」の未来ではなく、その時点では第三者となってしまった者との永訣が描かれるのみとなっている。これがどういうことかというと、すなわちda capoではまだアルが未来を重ね、繰り返し、生きていくことができるが、トルタと結ばれたときだけはアルは死ななければならなかったのだ。何故ならば二人が結ばれた未来で自らの存在が足枷にしかならないと感じたのではないだろうか。何せ、トルタには歌があったし欠点だった料理についてもたゆまぬ努力によって克服しつつあった。対する自分は歌は下手糞なままで事故前と何も変わっていない。また自分が生きていれば二人には周囲の噂が付きまとうかもしれない。この状況下ではアルは死を選ぶしかなかったのではないか。
このあたりのことについてはアルがファータの話をどのように受け止めたのかが描かれていたかがわからないので、その辺りの解釈によってまた変わってくると思う。かなり無理やりだし。


それ以外の謎
アルとトルタのこと以外で謎に感じたのは、ファルさんの行動についてだ。クリスの音の根幹が悲しみにあると気づいたファルさんが、卒業演奏前にあのショッキングな事件を起こした場面。確かにプロの登竜門になる演奏で最高のパフォーマンスを引き出すには効果的であったろう。しかし、プロ入りしてからは?一度ファルさんを選んだクリスにとってこれ以上の悲しみを生み出すことはできないのではないか。そしてそれはプロとしての活動を継続する上で致命的だ。何が言いたいかというと、ただ利用するだけならもっと別のやり方もあっただろうに(例えばリセに近づくために利用したと考えられている手口とか。恋人ではなくあくまで親友という立場のほうが色々やりやすいだろうし)、あえて自分の本性を吐露したのを見ると実はファルさんはそこまで酷い女じゃないのかもしれない。


何か色々考えているうちに、あーでもこういうのがあったよなあって頭がごちゃごちゃになってきた。とりあえず渡されたタオルの真意まで一々気にしなければならない世界というのは少し居辛いなあ。


ヌイさんの「シンフォニック=レイン 愛蔵版」の感想へのレス

 初めまして。
 ちょっと絡ませて下さいな。

>個人的にはやっぱりあれはアルだったんだと結論付けた
 同感です。
 ヌイさんの仰る根拠もそうですし、アルが目覚めた時の台詞
「いつも、あなたからの手紙を読んでいたわ。あなたの側で、あなたの奏でるフォルテールの音色を聞きながら」
 これ、アル=フォーニじゃなければ出てこない、トルタがアルに化けてるんじゃ絶対言えない台詞だと思います。

>一度ファルさんを選んだクリスにとってこれ以上の悲しみを生み出すことはできないのではないか
 私見ですが、クリスが本当に悲しんだのは「ファルさんを選んだ後」だったと思っています。
 以下、ファルシナリオの最後の選択肢で『一緒に行く』を選んだ後の、クリスとファルさんの電車での会話を抜粋します。

>【ファル】「町についたら、アリエッタに会いに行かない?」
>【クリス】「……どうして?」
>「あなたは、彼女に会わなくちゃいけないと思う」
>「だから……どうして?」
>(中略)
>僕は、彼女のためにできることをしようと誓った。
>だから僕は――
>【クリス】「わかった」
>と答えた。
>【ファル】「……クリス、ごめんね」
>【クリス】「どうして謝るの。いいんだ。ファルがそうしたいと思ったんなら、僕はそうするよ」
2017年05月09日21時30分28秒
dov様
はじめまして、レスありがとうございます。感想と一緒に拝読させていただきました

まさかコメントがついてるとは思ってなかったので、レス遅くなってしまい申し訳ございません。

dov様もアル=フォーニ派なのですね。他の方の感想も見てみると意外とトルタが化けていたと考えている人が少なくて、何だか安心しました。トルタが化けていたとしたらあまりにも、アルがかわいそうですもの。


もうひとつ。ファルさんの謎については、dov様のおかげで理解できたように思います。

>クリスが本当に悲しんだのは「ファルさんを選んだ後」
>彼女が自分自身に悲しみを刻みつける為だった
そして、リセと結ばれた時に、クリスが(自分を守るために)アルのことを忘れてしまったなどから考えてみるに、ファルさんはクリスのことを壊そうとしていたんですね。確かにそう考えれば、卒業後もプロの演奏家として活動を続けられますから。

その上で、私はファルさんは不器用な人のように思いました。もしかしたら、あの雨が降り注ぐ街の中で一番。
私は最初、ファルさんの敢為邁往さというかその強さこそが魅力だと思っていました。実際に幸せになるために悲しみに耐えられる彼女は強い人です。普通の人ならば、「幸せになるために不幸にならなければならない」なんて、二律背反に耐えられない。だけどその強さこそが不器用の裏返しなのだと思うと、よりファルさんが魅力的な人に見えてきました。

願わくば、彼女には幸せを掴んでほしいと思います(それは残酷な願いなのかもしれませんが)

最後になりましたが、このたびは再考する機会を与えてくださりありがとうございました。
2017年08月14日12時17分49秒

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