マルセルさんの「さくらむすび」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

僕はヌルオタなので「音声なし」は基本的に減点対象だし、「☆画野朗のパクリみたいだなぁ」と最初マジで思ったCGも一枚絵自体は思ったより良かったものの、立ち絵が4パターンぽっきりという同人っぷりには減点せざるを得ないし、(これは減点対象には成らないものの)以上の「容量不足」の上で500MBちょいのDVDを見せられるのも何だか気分が悪い。ただ、その分というわけではないけど、シナリオは結構良いとおもう。水月みたいな「難解な」解りやすいフックがないのでテンポは早くないし、かといってそこらへんの萌えゲーのような直線的シナリオでもなく、作品考察スレで盛り上がるような分析ネタ提供作品でもない、なんとも言いがたい不思議な作品であるけど、気楽に読むぶんには面白い作品ではあると思う。(シナリオB エロB-)
・シナリオB
★ゲーム全体のクリック数(以下栗数と略す。)
合計栗数27514.但し、このゲームはノベルゲーなので通常のADVより1センテンスの文章量が多く、それと比較する場合は2~3割の上乗せが必要と思われる。プレイ時間に換算すると12~16時間ぐらい。既読スキップ使用、テキスト速度ノーウェイト、演出&エフィクトなしの環境下での測定で、基本的には1センテンス=1栗だと思う。既読判定にやや甘いところがあったけど、そこらへんは手動スキップしているので、それほど誤差はないと思われる。

初回16829栗 紅葉ルート
二周5621栗 可憐ルート
三周4082栗 桜ハッピールート
四周982栗 桜バット?ルート
(桜のみバットがあるのはおかしいので、他二人も色々選択肢を弄ってみたけど、分岐は発見できなかった。CGも全部埋まっているのでこれで全部だと思うが、間違っていたら御免なさい)

数字を見れば何となく解ると思うんだけど、前半部分が共通ルートで、中盤の繋ぎが共通ルートと選択分岐の個別テキストが入り混じった「共通ルート/個別テキスト」になり、以上ルートのフラグによって決定されるのが後半の個別ルートという構造。桜ルートは最後に分岐があるけど、基本的にはこんな感じの構造だ。選択肢は物凄く解りやすいので迷う心配なし。

まずはベタベタだけど致命的な欠点の指摘からいこう。僕が思うシナリオの減点材料の大半は、中盤の「共通ルート/個別テキスト」における後者の量的な欠如と、前者における圧倒的な紅葉のひいきっぷりが引き起こす、なんつーかヒロインに対する作者の差別意識みたいなモノが感じられる点である。紅葉出番大杉他二人要らない子というか。物語的にいうと、大まかに言って前半から中盤までの共通テキストは紅葉と主人公とのやりとりがメインで、二人で一緒に「下校したり」、一緒に「買い物に行って」帰りの道端でハイあーんしてと「乳繰りあったり」、桜のブラコンについてどうしたら良いか二人で「相談したり」、一人演劇部員である紅葉の為に送別会でやる演劇を主人公が「企画し」二人で「練習しあう」。

他にも衆人環境で耳に息を吹きけてきゃっきゃする等彼らの破廉恥な罪状は余りあるのだが、ここで問題なのは上記の「」内のようなイベントが紅葉以外のヒロインには欠けているということと、「」内の紅葉とのイベントが基本的に回避不可能ということだ。つまり、紅葉以外の他ヒロインを攻略するとその描写の甘さに気付き、そして主人公は相変わらず紅葉とイチャイチャしているという不満&矛盾をユーザとして感じてしまう。後者の面は「共通ルート/個別テキスト」構造に付きまとう、物語進行とユーザの選択意思の齟齬ってやつだから、あるレベルでは仕方がないといえるけど、前者は結構重要なマイナス点だと思う。

これは紅葉以外の二人のヒロインのシナリオに最後まで魚の骨のように引っかかる。この二人のシナリオはある「問い詰め」が中盤と後半のターニングポイントになっていて、まぁ腹グロの妹って萌えるよねってネタなんだけど、前述の問題があるのでいかにも唐突って感じする。可憐シナリオの場合だと直前までに可憐の描写はちゃんとしているし、その唐突さが桜の異常さと可憐たんの腹グロさを際立たせているので、可憐シナリオだけ見れば悪くないと思うけど、同じ装置を桜シナリオに使うのはどーも手抜っぽい。可憐ルートをやってない人が桜ルートをやると「なんで?」と不思議に思うのでは?

で、スタートが悪ければ全てが悪いってわけじゃないけど、この時点で載り損なった所為かイマイチ乗り切れなかった。特に可憐シナリオなんてこのライターの一番悪い癖が出ていると思う。キャラ的にはシスプリの同名キャラっぽくってその点満足はしているけど、シナリオ的には微妙だしそのシナリオが可憐たんとのイチャイチャを結果的には減らしているので最悪。後半の「化け物」が考えオチの装置だとしても、その為の解釈の材料が物語内には不足していて解り難いし、しかもラストはあっけからんとハッピーエンドなので
拍子抜けする。いやこのすっとぼけた感じは嫌いじゃないけど、だったら前までの化け物云々は?と思ってしまう。

ただ、桜シナリオはタべな妹シナリオの論理展開を内在批判的に悪用していて面白かった。「実妹だと思われていた桜が、実は義妹だと発覚する」という流れ自体はよく有る話で、色々と展開はあるにせよ大抵の場合「実妹とエッチしちゃったけど、義妹だとわかったから責任とって結婚すればいっか」みたいな感じで両者にとってプラスに働くが、このシナリオはそんなに優しくない。ハッピーエンドですらこのヌルい考え方を拒絶するのだ。バットルートでは、本当は兄妹ではないのに関わらず、兄妹として振舞うことを他人から強制されて、恋人になりたいのに兄妹の制度がそれを邪魔する。しかも「実は兄妹じゃないんです!」と真実を告白しようにも、その代償として自分達の居場所が失ってしまうのでそれもできないという袋小路に陥ってしまう。そして、二人のエッチ関係がバレてしまい、世間と育ての両親までに非難を受け二人は住んでいた家を飛びだし・・・・・・ってな感じで最後はセカイ系バットオチになるんだけど、反対のハッピーエンドを見ると、どうもバットの方がハッピーではないかと思えてくるのも事実だ。もう一方のハッピーエンドは現実世界できちんと結ばれるものの、結果的にみれば「巧く世間の目を誤魔化せますた」という話にすぎなくって、おそらく誰からも主人公達は祝福されない。これもストレートなハッピーエンドとは言いがたいのだ。ま、どちらにせよ固定化しつつある「妹=恋人」シナリオにに一石を投じる面白いシナリオではありました。


さて、上記二つのシナリオは(人によるけど)まぁ欝系と言われるシナリオだと思うが、紅葉シナリオは表面上誰も不幸にならない大団円エンドだし、上記二つの反動からかバカカップル炸裂の萌え萌えシナリオと言ってもおかしくないシナリオだ。だって前述した通りゲーム開始時点からもう恋人同士と言って良いほどの親密度なんですよ? このバカカップルは。あとは一言「好き」と言えばOKの間柄なんだけど、このじれったいまでにこそばゆい関係の描写がそこらへんの萌えアニメの数倍は萌える。ただ、これは、どっちか(も)が屁タレで決定的な一打が出せない膠着状態がずっと続いていてお互い悶々としているという状況ではなくって、「言わなくても解る」とお互いが本気で思っていて、それを特に不満に思っていないヌルイ幸せ状態だといった方が正しい。

この二人の信頼関係をきちんとテーマに合わせて告白まで持っていくのが良かった。この後主人公は色んな試練に立ち向かうことになるんだけど、主人公の死んだ両親が亡霊となって主人公を打ちのめす時も、ブラコン妹から「ねー、お兄ちゃんセックスしてぇー」と言われくじけそうな時も、すべての事態において紅葉が登場して敵を見事にやっつけてくれるのだ。「私はいつも圭ちゃんの味方だよ」って。これが殺し文句になって主人公はついに紅葉に告白するんだけど、この一連の流れだけみれば瞬間最大得点的に「A」を付けたくなるほどの出来だった。「>このまま紅葉の胸に吸い付いて、頭をなで続けてもらって、 それでこのまま全て終わってしまっても、たぶん僕は幸せだ」と主人公に言わしめるほど紅葉は可愛かった。このライターは色々不具合が多いけど、こういう奇妙な母性感を持ったロリキャラを描くのが滅茶苦茶上手いと思う。それ系の言葉を使えばこういう抱擁力のことを「妹の力」っていうんだろうな。

さらにはその告白後のシーンもばっちぐー。告白したら即エッチに流れ込ませるお約束も僕は嫌いじゃないけど、お楽しみはエッチ以前にも色々あるわけで、そこら辺を余すところ無く描写している点はポイントが高い。下手したら処女喪失シーンよりも濃厚なキスシーンとかの方がエロイ場合だってあるのだ。「紅葉の体をみると勃起する」というようなどうしようもない事を、日常描写に素直に取り入れる主人公もある意味で好感が持てるし、初エッチが全然ロマンチックじゃなく「今日安全日だからエッチしようよ」と普通に言われるのも良いと思う。まぁ幼馴染キャラ以外でこれをやられたら確かに萎えるだろうけど、幼馴染だからこそこういう台詞がいえるわけで、こういうのも僕は好きだ。

で、このまま二人はイチャイチャしながら学園生活を送り、送別会で最後の演劇をやり卒業式でめでたしめでたしのまったりゲー的エンドを迎える・・・・・と書くのは有る意味正確だけど、もある意味ではとんでもなく間違っているかもしれない。確かに、主人公と紅葉は確実に結ばれるし二人の未来は明るい。けれどもこの幸せな状況に対して、エンディングの主人公のエピローグは何故か暗い影を落としているように見えるし、その直前に上演される主人公と紅葉の劇は何か違和感を覚える内容だ。とはいえ、これは考えオチってわけでもない。何度も言うように物語はきちんとハッピーエンドで終結しているし、これ以上物語は進展しようがない。けれども、何か妙に居心地の悪い感じどうしてもが拭えないのだ。これは僕の深読みしすぎかもしれないし、考察ネタサービスのシナリオだとしたら深く考えたら負けなんだろうけど、僕の出した暫定的で突飛な結論をだしてこのレビューを終えることにする。因果的な根拠はレスだけどシンボル解釈するとこれが一番座りが良いし何よりも一番萌える結論だ。「紅葉は主人公の実妹である」。

エロB-

ただ、僕の好みを除外すればC~C+ぐらいが妥当な出来だと思う。
回想は紅葉4回、桜4回、可憐2回という内容だけれども、その内半数近くが未遂系または物語的なエロシーンなので、実際連結しているエロシーンの数はそんなに多くない。また、ボイスなしのエロテキストってことで、普段淫語ばりばりのエロテキストの形式に慣れている人には抜きずらいと思うし、そのような形式からかなりずれているエロテキストなので単純におかず目当てで買うと失敗すると思われる。ま、ボイス無しって時点でその手の客層は期待していないと思うから大丈夫だと思うけど。

けれども、エロボイス無しでもいける人や、最近のエロテキストの横並びに辟易している方には、久しぶりに萌え応えの有るエロテキストだと思う。僕はその点中途半端な人間なのでやっぱボイス欲しいよーと思うわけですが、たまにはこういうテキストも気分転換に良い。簡単に言うと、射精とか絶頂とかをあまり重視しない戯れ重視のエロシーンなのだ。ユーザの抜きどころなんか関係なく勝手にキスしたりおしっこもらしたり、ありとあらゆる愛情表現をする。幼児的な性感を抑圧することなくそのまま描写できるのは多分このライターさんぐらいではないかと。噛んだり舐めたり吸いあったりするのが好きな人には結構いけると思う。

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