Medotsuさんの「Treating2U」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

前から気になってたけど中々やる機会がなく、今になってようやくプレイ。主人公がかっこいいゲームで有名である通り、主人公が一番目立っておりヒロインは脇役である。また、挿入歌、エンディングも男性ヴォーカルというエロゲでは非常に珍しい作品。この斬新な設定は好きなのだが色々な所で欠点が目立ちすぎるのがとにかく残念。もう少しシナリオを練り込めば隠れた名作にもなり得ただろうし全年齢版移植などの道からもっと幅広い層への普及も出来たと思う。ブルゲはここで諦めずこの路線を突き進んでほしかった。
大抵のエロゲはヒロインを生かすために主人公がいると思う。
しかしこのゲームの場合は逆で主人公を生かすためにヒロインがいる。
それくらい主人公が目立つ。
バンドマンという設定で顔もかっこいいし、声はないゲームだが主人公だけは挿入歌、エンディングの曲を担当しているので歌で声が聞ける。
しかもその曲がかなりの名曲。
主人公が映るCGもかなり多く、ヒロインの数に遜色がない。
また、どのルートをたどってもヒロインよりも主人公の方が圧倒的に前面に押し出されている。
もはや伊之助のためのゲームと言っても良い。
だからエロゲーを「エロ」ゲーとして楽しもうとしているユーザーにはまず合わないだろう。
自分はエロゲーだから女キャラが主体じゃなきゃダメだとは全く思わないし男が女を食うくらい活躍するゲームと言うのはアリだと思う。むしろエロゲーなのに男が一番目立つというミスマッチが最高に好き。
少なくともエロばかりで中身スカスカでスキップ押しっぱなしになるゲームより遥かに面白い。
だからかなりの高評価をしたいのだが・・・残念ながら厳しい。
発売当時このような主人公が少ないということもありその事ばかりが話題に上がるが肝心のゲームの全体像がどうかというとこれが残念なことにお粗末なのである。

ストーリーは風邪を引いたバンドマンの伊之助が念のために検査をすることになり入院する。そこで様々な人々と出会い色々な事を経験していく。と言った内容で病院での人間ドラマがメインである。
入院している小さな男の子、建を相棒にし病院生活を送っていく中で様々なヒロインと出会い、様々な出来事を経て伊之助も成長するという流れは良い。
共通ルートも元々長くないけどこの辺りまでは伊之助の格好良さもありそれなりに面白い。

しかし、個別ははっきり言って酷い。
まずどのヒロインも好きになる過程がない。
共通ルートの時は誰が好きとかそういう素振りがなかったのに個別ルートに入るといきなり俺はこいつが好きなんだと言い出されても説得力がない。
そしてそれぞれのヒロインに問題が発生するけどすぐに解決or別れになる。ボリュームが薄い。
さらにエンディングのTreating2Uは名曲だがどのヒロインのルートでも流れる。
俺がお前のために作った歌、と伊之助は言うがそれだけにどのヒロインのルートでも同じ曲を流すのは味気ない。

以下個別

霞夜・・・成功確率2割の手術を受けることに抵抗する霞夜。しかし、これからもお前といたいと説得し手術を受けさせる伊之助。
手術は成功するが霞夜がすぐに目を覚ますことはなく一気に三年後に飛ぶ。三年ぶりに目を覚ました霞夜。約束通り伊之助のライブに参戦。これからもずっと一緒だ。エンド。

扱ってる題材は悪くないけど色々とはしょりすぎ。
手術を受けさせるのもあっさりだしいきなり三年後に飛ぶし、飛んだあとはすぐに目を覚ますし。
もっと霞夜の父親登場させるとか話を膨らませてほしかった。

郁乃・・・伊之助達と交流している内に初登場時のトゲがなくなった郁乃。しかし同級生と元カレが訪れる。デリカシーの無い元カレは郁乃の顔を嘲笑う。再び沈み込む郁乃。さらに大好きな祖母が死ぬショックも重なりもう意気消沈。そこに伊之助が辛抱強く通い、気持ちが落ち着いてきた郁乃が伊之助の部屋を訪れるがそこでバンドメンバーの紅葉を伊之助の彼女と勘違いしてショックで公園に駆け込む郁乃。
そこに元カレ軍団が現れレイプされそうになる。助けに現れる伊之助。
郁乃と伊之助が同棲を始めてエンド。

霞夜の時よりは祖母の問題や元カレ問題などで話が広がるけどやはり全てが性急。
もう少し練り込みがほしかった。

誠美・・・建が心臓移植でアメリカに行くことになる。ずっと励ましてくれた伊之助に惚れた誠美は最後だからと伊之助とお互いを求め合う。そしてお互いの道を歩き出す。数年後、手術が成功し元気になった建と誠美の元に伊之助が現れる。プロポーズする伊之助とそれに答える誠美。

伊之助の次に登場頻度が多い建が絡むルートだからかなり期待しながらプレイ。実は建はどのルートでもアメリカに行く。他のルートではそれで終わりだがそこに焦点が当てられるのがこのルートだ。
しかし、誠美との間に他のルートと比べて何かあるかと言えば別に何もない。
それなのに誠美に惚れてるというのははっきり言って無理がある。
建とも他のルートに比べて特別何かあるかと言われればやはりこれと言った要素はない。
建は蛍子と並んで伊之助の次に好きなキャラクターだったからこれは残念だった。

愛・・・志摩と付き合っているがお互いギブアンドテイクのドライな関係。何故そんな関係なのか、聞くと昔元カレがいたがその彼氏との間の子を流産してしまう。そして彼氏にふられた。そのときのショックで味覚障害に。こんな辛い気持ち味わうくらいなら一人で生きていく。たまに男女の関係があればよい、とそう考えた愛。しかし、それに異を唱える伊之助。
しかし愛を説得できず退院。だが、その後に伊之助の部屋に来る愛。志摩先生とは完全に別れた、私を愛してほしい・・・。そして結ばれる二人。ちなみに志摩も志摩なりに彼女の事を考えていたとの事。
そして数年後、二人の間に子供が出来る。息子から伊之助君と呼ばれなめられる父親。それに対して母親のいうことはきちんと聞く。何だかんだ仲のいい家族。これからもこの幸せと共に。

流産、今彼、味覚障害と色々と話が膨らむ要素があるのにそのどれもが簡単に解決する。展開が急すぎてついていけず。
そもそも志摩も彼なりに彼女の事を考えていたというが全く説得力がない。
自分の元患者とキスをしていながらあれは普段のスキンシップとかいわれても。価値観が違いすぎる。愛の事は大して大事に思ってないと思う。

蛍子・・・引っ越しすることになり伊之助とは離ればなれに。それから10年後、伊之助の前に再び現れる。
しかし、ちょうど建がアメリカから帰国するのとタイミングが被ったのでいっしに迎えに行くことに。
蛍子と再開し、伊之助の事は眼中にない建。
おいおい、建、そりゃないぜ・・・でエンド。

うん、全くワケわからん。何で伊之助に惚れてたかの理由は最後まで分からず、しかも引っ越し前に疑似結婚式を挙げたのに再開してから伊之助に対する想いを再び伝える間もなく建の迎えに行き、そこで建と再開して終わり。
蛍子ルートですらなかった。何がしたいのやら。ちなみに蛍子はエロシーンもなし。成長した立ち絵はあるけど。好きなキャラだったから残念。

杏奈・・・伊之助の喉にポリープがあり、それを治すと声がでない、治さないと良くて30歳で死ぬことが判明。声を無くしても生きる道を選んだ伊之助は杏奈と共に生きていく。

微妙すぎる。
大体なんで他のルートでは無事に退院する伊之助がこのルートだけ病気になるのか、その理由についても一切説明がない。
違う過程を歩んでそれが原因で病気に、なら分かるけどそういうイベントが何もないから説得力がない。
違う世界線から飛んできたのか?ってレベル。

伊之助ルート・・・杏奈ルートの分岐で短くても自分らしく生きるを選択するとこのルート。5年後に伊之助の墓の前で佇む杏奈の回想が流れてエンド。

ヒロインが全員微妙だったけどこのゲームなら伊之助ルートがメインでもいいと最後に回して期待してたが全然ダメ。
何で手術しないで生きることを選択したとたん5年後に飛ぶんだよ。見せ場無く死ぬし。
もっとこう音楽活動続けて最後のライブで締めた後に病院で俺の人生悪くなかったな、みたいな感じで最後を迎えるとかそういうのを予想してたのに。
あまりにも唐突に時間が飛ぶから感動もない。

このようにシナリオは微妙。

そして、もう一点。システムが劣悪。
2000年のゲームだからバッグログがかなり見づらいとかボイスがないのは許せる。
でもウィンドウが全画面にしてもフルスクリーンにならず画面の中が拡大されるだけなのとスキップに既読・未読の判定がないのとBGMが何周かしたら止まり永久ループされないのは流石に何とかしてほしい。
特にフルスクリーンに関しては98年発売のアスガルドですら出来ているからこれはマジで困った。
ウィンドウモードだと字が小さくて見づらいし。自分のパソコンの環境の問題なのだろうか?
もし他の人がフルスクリーンは出来るようなら個人の問題かもしれないけど。

総評
上記のようにシナリオが微妙な為本来なら25~40点くらい。
でも主人公に焦点を当てたエロゲーというのはかなり貴重でヒロインをぶっちぎって断トツで活躍する主人公というのは現代でもあまり例を見ない。
また、恋愛描写はほぼないが小さい子や老人も巻き込んだ病院ドラマという題材は良かった。居酒屋の店長など脇役もかっこいい。
恋愛描写を抑え、人間ドラマに寄せたからこそ面白さの片鱗を感じた。
そのお陰で無駄なエロがなく、シーンは最後に一回のみ。しかもあっという間に終わるしモザイクはあるが射精の描写さえない。
これがまた良かった。正直シナリオ重視のエロゲーなんてこんなもんでいいと思う。
これくらいの薄い描写で最後の締めとしてエロを挟むというバランスは評価できる。お陰でテンポ良く進めれた。
更に作中の『bite on the bullet』、『Treating2U』がどちらも素晴らしい名曲。
主人公がバンドマンという設定を遺憾無く発揮する男性ヴォーカルで、とてもエロゲの曲とは思えないレベル。
これは本当にすごかった。
このようにゲームとしては粗が目立つけど光るものを感じたということで評価はプラスとした。
微妙な既存ヒロインルートをもっと練り込むか、或いはバンドメンバーの紅葉をヒロインにして、紅葉ルートと伊之助ルートの2つに絞って作ってほしかったなと思う。つくづく惜しい作品。
この作品で失敗を学んで同じ系統のゲームを作ってほしかった。
これ以降ブルゲは抜きゲ―一色になってしまい残念。
まあjkシリーズとかパパラブとかみたいな抜きゲも馬鹿ゲーとしてそれなりに楽しめたけど。
あっちはあっちとして姉妹ブランドとかでこのゲームみたいな路線貫いてほしかった。
売れなかった原因はシナリオの薄さにもあるだろうし改善の余地があったと思うんだけど。
真面目なゲームがヒットしたら今でもブルゲはそれなりに活動できてたのだろうか。

※1つ書き忘れた。伊之助の髪の色が青であることに度々言及されるけどヒロインの髪の色も赤や緑などカラフルだから伊之助の個性として描写するには目立たない要素だった。
いや、君らも充分奇抜な色してるよ?と。
伊之助を強調させたいならヒロインは黒か茶髪で良かったんじゃないかな。
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