9791さんの「つよきす」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

カニが超絶。・・・・・・姉しよも含めて、きゃんでぃそふと作品の真骨頂は、日常描写にあるわけで。キャラがやたらと生き生きしている。何でなんだろう?・・・って考えると、ヒロインキャラようなステレオタイプの人物像は最初から存在せず、露骨にキャラの“弱い”箇所を露出させ全キャラの弱点を丸わかりにしたからなのかも。・・・・・・「男が弱くなった」から始まり「みんな、頑張れ」で締める強気っ娘属性特化AVG。
 きゃんでぃそふと作品の真骨頂は、日常描写にあるわけで。キャラがやたらと生き生きしている。何でなんだろう?・・・って考えると、ステレオタイプの人物像は最初から存在せず、強気っ娘を標榜しながら、露骨にキャラの“弱い”箇所を露出させている。声調も同じ。同じ心の動きが続かないのであれば、強さもあれば弱さもある。だから、人間喋っていれば、“同じテンポ、同じスピードで”話すなんてあり得ない。“同じ人物、同じ時間で”あろうとも。それを緩急つけて、しっかり描けているから、このお話は日常会話が楽しい。それを楽しめるか否かが、評価の分かれ目になるでしょうね。


 「男が弱くなった」から始まり「みんな、頑張れ」で締める強気っ娘属性特化AVG。


 ・・・・・・とりあえず、新しいタイプのヒロイン像を開拓したような気がするね、カニ。ボイスは、あまり気にしないとはいえ、キンタをカニに当てたキャスティングはGJ。見事にストーリーのテンションを維持していますな。本名呼ばれるより「カニ」と呼ばれた方が良いとか、何やってもバカ一直線だとか。愛すべきキャラクターに仕上げてきました。天然馬鹿でも意図的に馬鹿でもなく、悪口を悪口と認識できないほどのダメっ娘馬鹿。皮肉が通じないほどのダメさ、よって、反転すると誰よりも献身的。元々が“周りを顧みない”故に“周りが何も見えない”愛し方。カニは、実は“甘える”のではなく“甘えられる”方が好きなのね、それがツン→デレの過程で露出してしまう。・・・・・・一番バカップル化するのも当然だったり。

 ちなみに、同じように献身的な反転属性の持ち主が、なごみ。一番狭義の“ツンデレ”に合うなごみは、父親に“甘えていた”のが、母親に“甘えられて”自分もそれに答えようとした。それが極まって、家族と他人の間に“線”を引く。本来、甘えたくて鬱屈しているなごみと、素で甘えまくっているカニが仲悪いのは、そりゃそうでしょうとも。なごみから見れば、カニは単なる甘ったれだし、カニから見れば、なごみは単なる根暗。よくよくテキストを見ていれば、カニがなごみを冷やかす悪口は、全て“根暗”な比喩であることが分かりますね。それが「遠慮するクセなおせ」・・・と、甘えることを肯定されたときに、この娘は反転します。つまり、なごみもカニは、本当は強気っ娘とか言うより、甘えっ娘。それを(意識的に)隠しているか、(無意識に露わにしてしまって)隠していないかの差があるだけ。

 だから、一度反転しようモノならば、今までの自分をあっさりと捨ててしまいますね。それが偽りの自分または本心を隠している自分だから。特にカニは、全肯定ですからねー・・・恋人になっても終ぞ“姉”であることを捨てなかった「姉、ちゃんとしようよっ!」シリーズとは対照的に、強く“女性”である部分を示してきたと言えます。だからこそ、カニは、きゃんでぃそふとヒロインの中で初めてにして、唯一の“母親”としてのエンドが描かれたのでもありますがね。そして、この二人のシナリオだけは未来へ続き、主要登場人物のその後が言及されます。(正確に言えば、姫エンドもそうだけど、よっぴーや乙女さんという姫が“人材”としたキャラクターしか分かっていない)私は好きですね、こんな風にみんなで頑張ってきて未来があるみたいな終わり方は。





 「姉しよ」がそうだったように、「つよきすっ!」でも、人間関係が強く描かれてきました。

 その“コミュニティ”の中核になっているのが、主人公たるレオであるのが、この作品のミソ。何でかって?・・・この作品の登場人物・・・少なくとも家族構成が分かっているキャラクターに、“まともに家族と生活している”キャラクターっていましたか?・・・そう、誰もいなかったはずです。





 カニは両親から半ば見捨てられた状態で、スバルは父親と険悪状態、フカヒレは姉への性的トラウマ。んで、放任されまくっているレオ。“対馬ファミリー”、結局のところ、家族がまともに機能していない子供達の寄り合い所帯です。同じように、乙女さんは本人の嗜好はともかく、ちょっと“厳格”過ぎる家庭像の持ち主。姫は疑心暗鬼の親族の中で生き、よっぴーは仮面家族で育ち、なごみは片親で再婚で情緒不安定、祈先生は妹を亡くしており、村田ですら、12人の妹という過剰すぎる家族の中で暮らしています。


 それは、世間一般に“家族”と呼ばれるイメージの機能不全。


 そのことが、レオの家と竜宮とを、単なる生活空間から“家族がまともに機能していない子供達の寄り合い所帯”へ切り替えます。つまり、「姉しよ」が家族間の恋愛を“あくまで家族間での”コメディタッチで描ききったとすれば、「つよきすっ!」は、家族的な仲間内のから脱却するべき恋愛を“最後までそのコミュニティ上だけで”描いたのですね。その核は誰?・・・レオですね。私は“攻略キャラは全員、強気っ娘。コンセプトは「ツンデレ」”とOHPにあるもので、ツンデレって、ヒロイン達のことだと思い込んでいたのですよ。でも、違う。


 だって、一番の“ツンデレ”って・・・主人公その人だし・・・orz。


 彼は、最も影響の受けやすいキャラとして描かれました。何しろ、各ヒロインごとに六人六色。「テンションに流されない」とずっと言い続けて、あんまりそれが過ぎるので、こちらもうざったくなったりするのですが、どの結末を見ても、そーゆー主人公をヒロインの方が、自分好みに仕立て上げてしまうお話でもあるみたい。何つーか、若さを凄く感じる。ああ、そうだなと感じてしまう。初々しさ。がっつく自分。主人公の目線は、エロゲ主人公にありがちな“大人テクを駆使している少年”ではなく、本当に“恋に溺れてしまう少年”そのもの。純粋であり、同時に狂おしい馬鹿。それは不安定であり無色。


 自分の色に染めてぇーーー・・・と強気っ娘なら思っても仕方がない気が。


 乙女さんとか姫のメインはこちら側。どちらかと言えば、よっぴーもそう。祈先生は、「テンションに流されない」の進行形ですが、結果的には祈先生に“流されている”のだから、やっぱり、こちら側。つまり、こちら側の“ツンデレ”はヒロインよりも、主人公側の方が強い。乙女さんなんか、どうみても・・・自分好みに調教もとい教育していた節があるし。


 よって、“ツンデレ”って、実はレオも含めるんですよ・・・・・・・・・たぶん。だって、ヒロイン“限定の”コンセプトとか誰も言っていないし。


 「姉しよ」から思ってきたことですが、このライターさん、日常描写のテキストがそこら辺の萌えゲー程度では相手にならないくらい上手い人ですね。言うなれば、物語自体の構成が上手いのでもなく、ただ、単純に会話上における掛け合いを描いていくのが上手い。設定がキャラを作るのではなく、物語そのものがキャラを作っていきます。・・・いや、キャラが物語を引っ張っていく過程で、キャラが自己を露わに暴れ回ると言うべきか。人間関係を描くにおいて、比較対象は重要なのですね。なのに、学園モノの純愛系エロゲーでは、ヒロインキャラばかりで男性キャラが全く出てこない作品もある。好きになる理由、嫌いになる理由を描きたいのであれば、“主人公と他の男性キャラと比較する環境”もまた必要なのですよ。

 「日常シーンがたるい」という評価は聞いても、これだけ、日常シーン“しか”描いていないのに楽しい作品というのは、あまり無い。姉しよ評でも言った気がしますが、シナリオ重視が主流となった現代のエロゲーAVGで、このタイプのライターさんの存在は、実に貴重な気がします。たぶん、このライターさんのテキストって、そのまま文字だけ読んでも楽しくないんですよね。(ボイスがある)ゲームテキストは、キチンと台詞回しを考えておかないと、キャラクターが設定にそってしか台詞を喋らなくなってしまう。特に、主人公とヒロインの二方向にしか人間関係がない作品とか最悪。小説と脚本に求められるスキルが似ているように見えて、かなり違うのはそのため。小説は読めればいいですが、脚本は話せないと意味がない。脚本作りは、意外とよく喋ったモン勝ちな気がします。話した経験こそが、自分の血となり肉となるですか。だって、主人公設定的憧れの女性(=姫)から、いきなり「文字で乳って書くだけで興奮できるの」ですよ?・・・ライターさん、どんだけ猥談やってきたんだか(笑。・・・結果としては、この作品は、ネタを知っていて相乗効果を狙い、グラフィックと画面効果をプラスすることで、ようやく“ゲームエンターテインメント”として完成する。ゲームテキストだけが突出していないし、このライターさんが考えるテキストは、グラフィック&ボイス&ゲームシステムがあることが前提。“ゲームとしてある”ことが前提なのですよ。・・・当然、それはエロゲーであることすら前提です。



 そのために、この作品は無理に感動させようとも、変に萌えさせようとも考えていない。綺麗な話でも感動する話でもない。


 ボイスは・・・・・・ちょっと前に「無くても良い」とか言った割に、白旗挙げておきます。・・・・・・ヒロイン六人組とスバル&フカヒレ&村田&平蔵。全員、お見事です。特に、スバル。「ナイスブルマ」・・・・・・をあれだけ格好良く言えるのは、もはや、一種の才能ですな。つーか、あんだけベテランを揃えたのは、流石に良い仕事したと言うしかないですよ。台詞にテレがないのですね、この作品。カニなんかまともに喋るだけでもキツそうな台詞が続く中、キンタ女史は完璧にやりきっています。もう、一体化しているような感じ。・・・みんなマジメに物語の世界を“生きている”し、若さに任せてバカやっている。・・・「つよきす」が描くのは、そんな衒いの無い率直な世界。実際、劇中でも、スバルが漢見せても、本人らはノホノホらぶらぶやっている訳で、バカップルぶりを描くのに、テレがない。こだわりがない。容赦がない。Hシーンで大爆笑したなんて、エロゲやってて初めてだったし。


 笑うならば笑え、でも彼等はそれなりに必死に生きている。


 ・・・それで良いんだと思います、このお話はね。








 ・・・・・・・・・そして、私はそんなお話が好きなものでして(苦笑。

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