Salyut_71さんの「あやかしびと」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

熱い戦闘要素+話の展開・テーマ共に高評価
熱いバトルゲーとして有名な「あやかしびと」
コンシューマ移植されている当たりからも、評価の高さは窺えますが、何故か中古がとにかく安いんですよね。
大体千円切ってます。
その値段の安さに反して、中身はしっかり充実。定価はフルプライスなので、ボリュームも十分です。


ただ物語の性質上荒っぽい展開……特にレイプ展開がちらほらあるので、苦手な人はご注意。




・シナリオ
病院を抜け出した双七とすずが神沢市にたどり着いた所から物語が動き出します。
どのルートでも基本的には幻咬の尾またはドミニオンが日常を脅かす敵として現われ、これを打ち払って日常を守るために学園メンバーが戦うという感じで話が進んでいきます。まぁ話の流れとしては単純なんですが、徐々に明かされるドミニオン側の事情や、九尾の狐の昔話が絡んできて、終盤まで退屈することはないです。

このゲームの一番の魅力はなんと言っても戦闘シーンです。臨場感あふれるテキストとエフェクトで兎に角燃える、燃える。九鬼先生が絡む勝負はどのルートでも特に熱い!基本的に接近戦が多いので、紙一重の攻防を存分に味わうことができますね。
双七は拳闘家なので、見ていて爽快感があります。

あと主要メンバーが誰も彼も非常に魅力的な点も◎。ヒロイン以外の女の子は勿論、会長、烏天狗などなど、男メンバーも物語に無くてはならない存在感を放っています。トーニャ√で狩人まで物語に絡んできたところはびっくり(伏線は勿論ありましたが…)

一応グランドルートに当たるすずルートですが、あくまで「すず」のルート。グランドルートとは言えない内容ですね。瓦解したドミニオンを退け、幻咬の尾の策謀を砕き、最後は妖となって九鬼先生を倒し(ここでEND分岐がありましたが、熾天使薬打ったほうがグランドっぽいです)、妖のでも人のでもない幽世に送られる……という展開。
その過程で、双七の先祖が妖怪を倒すための武器の付喪神、それもその武器を生み出した人の記憶を受け継いだ付喪神であることが明かされます。
なるほどヤタガラスが言っていた「もうちょっとなんかありそう」というのは、生み出した人の記憶……恐らく大部分はなんら罪のない妖を切ってしまった後悔……を受け継いでいる点だったんですね。
人が生み出した妖が人となり、人として生き、めぐり巡って大切な人を守るために再び妖へと回帰する。なんとも「人間臭い」展開だと思いました。ええ。
むしろ妖という存在を通じた人間のお話と言っても良いんじゃないでしょうか。

タイトルであるところの「あやかしびと」というワード、プレイし始めた当初は単純に人妖のことを指すものだと思っていましたが、その実は正反対。「あやかしでありながら、人の心を持ってしまった者」を指す呼称だと終盤で明かされました。
妖であり、卓越した力を持ちながら、人として生きることを選んだ者。
それは九尾の狐のすずであり、終盤熾天使薬を打って妖と化した双七であり。
このテーマは、終盤の戦闘もう完全に兵器と化した双七が、守りたかった人たちを思い出して奮起するところとかに結構現れているかなと思います。
「妖」という要素が、単に異能バトルを引き立てる要素に終始しておらず、しっかりと物語のテーマとして消化されている点が高評価。
戦闘シーンとシナリオ、片方ずつ評価すれば「まぁまぁ」って所ですが、両方を兼ね備えてる本作は間違いなく良作です。

ただシナリオについて不満が無いわけではなく。
例えばすずルート後、薫との話がまったく出なかった所とか、全ルートに渡って幻咬の「百鬼夜行」がそこまで印象深く描かれておらず、ふーん……という程度で終わってしまったこと等。ドミニオン側の印象が強烈すぎたせいというのもあるんでしょうが……
あと少し、細部を描ききれなかったのは惜しかったかなぁ。


・絵
2005年発売にしては、古さをそこまで感じさせない絵柄。男キャラが多めなせいでしょうか?
背景も綺麗で、プレイする上で気になるような要素はありませんでした。
ただこの絵師さん、頬を染めている表情がちょっと独特。トーニャの頬染め差分とか、人をからかっている表情にしか見えず……


・音楽
曲数は少な目。
曲名は全て漢字で表記されていますが、特に和風な曲というわけでもなく、普通のBGMです。
ボーカル曲はいずれも男性ボーカルで、作風にマッチしています。ラストバトルで歌が流れ始めたところは燃えまくりました。あそこがムービーになってたのは中々良かったと思います。


・Hシーン
シナリオゲーのこういうシーンの入れ方の下手さは今さら言うまでもないですが、このゲームは輪をかけて酷い。シーンのクオリティも微妙なんだけど、それ以上に入れ方が非常にマズイ。
なんで乗り込んだ敵地でイチャコラしてんの?????
せっかく追加要素もあるので、これからプレイするなら絶対コンシューマ版をオススメ。


・総評
「 ちっぽけな夢と愛する人々を護るため、如月双七の戦いが今始まる」
キャッチコピーの通り、彼らの戦いは基本的に自分たちの日常を守るためのものです。
今まで通り一遍の平穏が得られなかった主人公が望んだものである「日常」はきっと、普通の人が送るそれとは比べ物にならない程価値があるんでしょう、それこそ命を賭して守りたいほどに。

戦闘ゲーにしては中二っぽさは少なめ、値段も安く入りやすいかと思いきや、レイプ展開がちらほらあって若干取っ付きにくい感も。
名作には違いないので、戦闘ゲーが好きなら是非。
世界観もキャラも秀逸で、九鬼先生と稽古する双七とか、会長と釣りを楽しむ双七とか、まだまだ見ていたい感じでした。



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