amaginoboruさんの「最果てのイマ」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

考察をしたい人のためのエロゲです。ただし物語を読み解くだけなら考察は不要。人間として普遍的なテーマをまとめた内容は決して突飛なものではなく、読み手を選ぶことはありません。ただし膨大な知識と謎をひたすらに押しつけられるため、読み進めるのに多大な労力を必要とします。長文前半はネタバレなしで物語読解の難易度と難所を記載しています。
難解な読み物としてノベルゲー含めても一二を争うほどに有名な作品ですが、
物語を読み解くだけであれば考察する必要はありません。

前半はシーン毎の繋がりが意味不明でやや混乱もきたしますが、ある程度ノベルゲーや
シナリオ重視のエロゲをプレイした方であれば何が起こっているかは漠然と予想がつく
はず。そして後半で種明かしをされれば「あーなるほどね」と一読で得心できる代物です。
物語やテーマを読むだけなら難しいことはありません。

とはいえある程度ノベルゲーム形式の作品を触っていないと予測がつかず、意味不明な
まま物語が終わってしまう可能性も。考察要素を含んだエロゲ・ノベルゲーを一定量
こなした上でのプレイをオススメします。少なくとも入門用ではありません。

それと考察の有無にかかわらず、読み進める上で体力を要求されます。膨大な設定に
多大な知識量をひたすら押しつけてくるためとにかく疲れる。たとえその知識が物語の
読解に不要でも読み飛ばすわけにもいかず「いちおう目を通しておこう」とわからない
まま、あるいはわかろうとして読んでしまうためです。

要は「疲れるけど難しくはないよ」ということで。大よそ万人に受け入れられる物語と
テーマかと思われます。


その上で本作が難しいとされているのは、物語前半(共通&ヒロイン毎の個別ルートと
思ってください)の出来事を完全把握することです。後半(他エロゲでいうところの
最終ルート)で事のあらましを理解すると、前半で何が起こっていたのかも理解できる
仕組みになっています。

しかし全てを把握するためには前半の再プレイが必須。加えて今度は個別ルート毎では
なく、各ルートを並行して整合性を確認しながら読み進める作業が必要です。
ミスリードや不確定要素も多数仕込まれており、求められる知識量もひたすらに膨大。
解析は一筋縄ではいかないどころか数か月、下手すれば年単位の作業を要するでしょう。

ゲーム内用語や専門知識に一応のTIPSは用意されていますが、それを理解するだけでも
多くのプレイヤーは挫折するはず。加えてTIPS自体がゲーム内世界にローカライズ
されたもので、必ずしも現実の同じ単語と同じ意味を成しているとは限りません。

ゆえに作中TIPSの説明に対し、現実に存在する同単語と同じ意味を指すのか、リンクと
説明内容が一致しているのかなど、様々な角度から妥当性を検分する必要があります。
TIPSにミスリードを仕込んでいる可能性が捨てきれない。そういう作品です。
(卑怯と謗ることなかれ、理由は作中内にて明確に説明されます。)

結果考察者は、自身の門外とする知識も習得する必要があります。情報理論、生物学、
倫理哲学、社会人類学etc......さすがに表層部のみではありますが、とにかく多岐に
及ぶ知識を必要とします。

もちろん知識がなくとも、各ルートを見直すだけでも相応の成果は得られるでしょう。
しかし全てを解析するとなると上記のごとく途方もない作業工数を要します。それが
本作を最高難易度の考察ゲーと言わしめる理由。考察を嗜むプレイヤーへと送り付け
られた、ノベルゲー史上最難の知恵の輪というわけです。
(というか解けるんですかねコレ)



以下所感。ネタバレは表層部のみですが一応隔離。
ネタバレはありませんが『CROSS†CHANNEL(以下C†C)』にも触れます。









考察はしていません。元より物語には題目を求めるクチでして、全エピソード終了
時点で主旨が語りきられた以上、より深く把握する必要はないと判断したためです。
気にならないといえば嘘になりますが、知るための工数を考えるとリターンがあまり
にも少なすぎる。時間がもったいないなと。

複雑な設定と膨大な知識は、読後の考察要素に対して多大な貢献を成しています。
物語としても唯一無二の世界観や情報伝達を主体とすることで独自の展開を見せ、
かつエロゲ的ドラマツルギーに則った感動とカタルシス、そして結末が用意されて
いました。

しかしテーマに対しては別。万人既知の問題を論理的に表面化できてはいたものの、
その答えは模範回答と大差ない代物でした。人間社会における自分と他者の在り方と
接触について語り続けた本作ですが

「仮に意志を統一できたとして、あるいは他者に一切踏み込まないとして、それは
自らの理想とする社会なのか」

という主旨に対し、用意した設定や仕掛けで新たな回答を見せるわけでもなく。
確かに納得はできる。問題点を具体化できている。過程も語れている。結論に対する
説得力もある。しかし厄介極まりない設定と説明を必要とする回答ではなかった。
他十把の物語と何ら変化のあるものではなかったのです。

であれば前半で錯誤したシーンを見せられ、後半で膨大な知識量に押し潰された意味は
なんだったのか。「そんな当たり前を伝えるために、こんな面倒なやり口で物語を
読ませたの?」としか思えなかったのです。これが本作を考察ゲーと呼ばしめる所以
です。物語やテーマは読者がパズルへの挑戦権を得るためのチュートリアルでしかなく、
主体ではない。読むための物語ではないのです。

その上で物語とテーマへの訴求をここまで平易に成立させたわけで、ライターの手腕は
見事という他ありません。高く評価されて然るべき作品です。しかし物語はまだしも、
テーマを求めた読み手にしてみれば達成感と僅かな知的欲求を満たせる作品でしかなく、
低く評価されるのもまた妥当であると考えます。

以上が考察しなかった理由です。私が取り組む必要を認めない代物でした。



蛇足
沙也加1周目や笛子2周目のやり取りからはだいぶ期待したのですけどね。それこそ
『C†C』のような回答を期待していたのですが、見事空振りに終わってしまいました。
よくよく考えてみれば考察・物語・テーマのバランスは『C†C』で完成していたの
だから、(テーマの内容は多少異なるにせよ)同じこと繰り返す理由はないですよね。

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