Lumis.Eterneさんの「同級生2(DOS)」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

俺得その14 同級生2
私は前回「俺得その13 同級生」で、主に同級生の10万本という売り上げを通して、エロゲー史における同級生の意味を
考えてみました。
そこで今回は、同級生・同級生2の内容自体について考えてみたいと思います。
なお以下の文章には、同級生及び同級生2に関する重度のネタバレが含まれます、未プレイでこれからこれらの作品を
やってみようとお考えの方はご注意ください。




私は同級生の感想で、「同級生は10万本以上売れた」と書きました。当然のことながら、これは同級生の他機種や
他のOSへの移植版(PS版・WIN版など)は含まないDOS版のみの売り上げです。
そして同級生の続編である同級生2は、間違いなくそれ以上の売り上げを達成したことでしょう。
しかし、同級生2の売り上げについて考えることは、それほど意味のあることではありません。
なぜならば、同級生2は前作の同級生とは違い、「スタート地点が同級生」だからです。
ですから、同級生2の売り上げに関して言えば、制作者や業界関係者・コアなファンの関心は「何万本売れるか」
ではなく「同級生から何万本上積みできるか」に移っていたことでしょう。

さて、同級生シリーズをまだプレイなさっていない方の中には、同級生・同級生2というゲームの内容について
こんな風にお考えになる方もいるのではないでしょうか。

  この時代に10万本も売れたのだから、さぞ一般受けするゲームなのだろう。

この「一般受けする」ということには二通りの意味があります。

  ① 様々な趣味嗜好の人に対応した、間口の広いゲーム

  ② ほとんど嫌われる、あるいは忌避される要素を持たないゲーム

まあ、ざっくり言って①は「好かれるゲーム」、②は「嫌われないゲーム」と言っていいのではないでしょうか。
つまり、この同級生シリーズは「好かれる」と「嫌われない」という二つの要素を持っていたからこそ10万本も
売れたのではないか、と考える人もいるのではないかということです。

確かにこのシリーズは攻略可能なヒロインの数が多く、しかもそれぞれが実に個性的です。
これだけ個性的なヒロインが数多くいれば、きっと好みの女の子が見つかることでしょう。
そういう意味では、たしかに「様々な趣味嗜好の人に対応した、間口の広いゲーム」と言えると思います。
しかし必ずしも②については当てはまらないだろう、と私は考えています。

この同級生・同級生2という作品は、実はかなり嫌われる要素を含んだ作品であると言えるでしょう。
すぐに思い浮かぶものとしては、

  同級生)
    
    ・ 男性キャラが多く、しかもヒロインたちを狙っている。
    
    ・ 桜木舞・・・メインヒロインでありながらライバルの男と幼馴染、しかもラブホテルの前で
            一緒にいるところに出くわす。

    ・ 黒川さとみ・・・ライバル男と付き合っている、しかもSEX済み。

    ・ 仁科くるみ・・・友人の彼女。世間知らずで無垢な女の子だと思ったら、一気にSMプレイまっしぐら。

    ・ 正樹夏子・・・友人のかませ犬にされる。

    ・ 田町ひろみ・・・過去に彼氏がいて、かなりSEXしまくっていた。

    ・ 真行寺麗子・・・人妻。主人公と付き合い始めてからは、毎日毎日SEXしまくり。

    ・ 佐久間ちはる・・・水商売の経験あり。

    ・ 成瀬かおり・・・キャバクラ嬢。かなりの好き者。

    ・ 主人公があまりにもエロいことしすぎて性病になることがある。


  同級生2)

    ・ 鳴沢唯・・・攻略に失敗するとライバルと付き合いはじめる。

    ・ 南川洋子・・・ヤンキーっぽい。無理やり妊娠して、他のヒロインのフラグを片っ端から破壊する。

    ・ 杉本桜子・・・薄幸の美少女かと思ったら、退院したとたん元気はつらつ。

    ・ 鳴沢美佐子・・・主人公の父親と結婚する。

    ・ 片桐美鈴・・・彼氏あり。

    ・ 野々村美里・・・彼氏あり。当然SEX済み。

    ・ 田中美沙・・・前作のヒロイン。前作の主人公と付き合っていた。当然SEX済み。

    ・ 安田愛美・・・彼氏がいた。当然SEX済み。

    ・ 永島久美子・・・最初は純朴な田舎娘だったのに、どんどん都会ズレしてしまう。

かなりすごいでしょう。
今だったら、「どんだけ炎上すんだよ!」とか、「近所の公園でフリスビー大会やってんじゃね?」とか、
「動画投稿サイトで発狂してる」とか、色々話題になりそうですよね。
実は上の説明は、あえて少しばかり意地悪く書きました。
なんで、あえて意地悪く書いたかといえば、このように「もしかすると嫌われるかもしれない」要素がありながらも、
私がこれらの作品やヒロインたちに対してほとんど悪い印象を持っていないからなのです。

例えば、上に書いた黒川さとみや田町ひろみ・同級生2における田中美沙などは、今だったらとても受け入れられない
人もいるのではないかと思います。
以前私は、同じメーカーの「下級生2」という作品の感想で「たまきシナリオ」についてかなり厳しい意見を書きました。
なぜ、私はたまきシナリオは批判しながら、黒川さとみシナリオや田町ひろみシナリオは許せるのかということを考えると、
この同級生シリーズの特色についても見えてくるのではないかと思います。

私の「下級生2」の感想をお読みになった方であればご理解いただけるのではないかと思いますが、
私がたまきシナリオを批判したのは、たまきというヒロインが「彼氏つき」で「やりまくり」であるということが
本質的な理由ではありません。そのことは、このような言葉で明言しています。

  >ですから、「非処女」・「彼氏付き」・「援助交際経験者」のようなことが、その
  >ヒロインの魅力を高めるのに役立つのであれば、そういう設定にしたり、ヒロインに
  >そういう行動をとらせることもありうることだと思います。

つまり私が下級生2のたまきシナリオを批判したのは、

  このような設定がシナリオとしてうまく消化できていない

    → 結果的にたまきの魅力を損ねてしまった

という一点にあるのです。決して、たまきの「非処女」・「彼氏つき」自体を批判したわけではありません。

ひるがえって同級生シリーズを考えた場合、上に書いたようなヒロインたちの「嫌われる要素」というのは、
うまくシナリオの中で消化され、そのヒロインの魅力を損ねることには必ずしも繋がってはいません。
たしかに、同級生・同級生2ともに、いわゆる「嫌われる要素」の少ないヒロインが人気ヒロインなのは確かでしょう。
同級生だったら田中美沙・鈴木美穂・斉藤亜子、同級生2だったら鳴沢唯・篠原いずみ・杉本桜子などです。
しかし、だからといって黒川さとみや田町ひろみなどが嫌われていたかといえば、必ずしもそうは言えないと思います。

そう考えると、これらの作品はそれぞれのヒロインのキャラクター性やシナリオが、そのヒロインの人気に
ダイレクトに結びついたといえるでしょう。
これは一見すると、ごく当然のことにも思えますが、この当時は必ずしも当然のこととは言えなかったのかもしれません。
というのは、この頃はヒロインごとのルートにおいては、そもそも「シナリオ」というものがそれほど重視されてはいなかった
からです。

思えば、エロゲーの世界で「シナリオ」という言葉が使われ始めたのはいつのことでしょう。
少なくともこの頃(1992年頃)にはシナリオという言葉は使っていなくて、「物語」や「ストーリー」という言葉が普通でした。
そもそもこの頃のゲームの構成としては、

  共通ルート(全体の8割) → 個別ルート(全体の2割)

これでも、個別ルートの割合は多いほうで、中には「ルート分岐はエンディングの直前」で
「エンディングのみがヒロインごとに異なる」というのも決して珍しくはありませんでした。
ですから、制作者もそれほど個別ルートにおけるシナリオを重視してはいなかったのではないでしょうか。

もちろん、これには様々な理由があります。
すぐに思い浮かぶ理由としては、FDの容量による制約です。
ご存知の通り、PC98のゲームは主に2HDのFD(フロッピーディスク)で供給されました。2HDのFD1枚の容量は最大でも1.44MBで、
仮に4枚組としても6MB足らずです。
それに対して、現在ではゲームは主にDVD(まれにCD)で供給されます。容量はDVDがおよそ4.7GB(4482MB)、CDがおよそ650MBです。
しかし、DVDやCDの容量の大半は画像データや音声データなどの膨大なデータで占められています。
テキストデータ(文字や文章などのデータ)の占める割合は、たとえ長編大作と言われる作品(Hello,world・CLANNADなど)であっても、
画像データ・動画データ・音声データに比べれば微々たるものです。
これは当然のことで、文字データの大きさというのは昔も今もほとんど変わっていないからです。
つまり、1MBが全角で何文字に相当するかというと、

  1MB = およそ52万文字

で、これはPC98の時代もWindowsの時代もほとんど変わらないのです。
ということは、FDの時代はDVDやCDの時代に比べると、はるかにテキストデータの比重が大きかったということなのです。
DVDやCDの時代にはほとんど気にしなくてもよかった(ライターさんのギャラの問題は別として)テキストの文字数が
FDの時代にはかなり重要だったわけです。
実際、この頃はスタッフのコメントで

  FD1枚増えると経費が**円増える。これがきついんですよ。

みたいな制作者のぼやき(悲鳴?)はよく見ました。
つまり、ちょっと回りくどくなってしまいましたが、当時ヒロインごとの個別シナリオが短かったのは、間違いなく
このFDの容量によるものがあったのではないかと思います。

ですから、たとえどのような理由であるにせよ、同級生シリーズがヒロイン別のシナリオの重要性を制作者やユーザーに
印象付けたのは間違いないでしょう。
しかし、考えてみればこれは当然のことなのです。
それは、このシリーズが下級生2の感想でも述べたとおり、そもそも「共通ルート」を持たない作品、言い換えれば個別ルートのみで
成り立っている作品だからです。
ここで誤解していただきたくないのが、私は何もこのようなゲームとしての構造自体をこのシリーズの新しさだと言っているわけでは
ありません。当時社長だった蛭田さん自身が雑誌のインタビューにも答えているのですが、同級生と言う作品はもともと
同社のPINKY・PONKYやカクテルソフトのきゃんきゃんバニーのような「ナンパゲーム」をたたき台にしているのです。
つまり、「共通ルートなし・個別ルートのみ」という構造であれば、それ以前のいわゆるナンパゲームの方が先でなのです。

私が考える、このシリーズの「新しさ(当時としての)」というのは、むしろユーザーにとっての「ネガティブ要素」つまり
「嫌われる要素」を、あえて確信犯的に入れ込んできたということです。
当時の作品というのは、先ほど述べた「容量による制約」などの理由で物語性というのは極めて希薄でした。
もちろんこれには、エロゲーがそもそも野球拳などの「エロCG」を見せるためのものから発展してきた、まさに発展の途上にあった
ということが本質的な理由なのかもしれません。
いずれにせよ、この「物語性の希薄さ」ゆえに制作者は「ユーザーに嫌われるような要素」を最初からできるだけ排除しようという
傾向があったと思います。これは、もしかすると今に通じるものなのかもしれません。

それに対して、蛭田さんはこのシリーズで、

  ヒロインに「ユーザーから嫌われる要素」を、あえて付加する
       ↓
  シナリオの中で「嫌われる要素」を克服、あるいは魅力へと転化する
       ↓
  そのヒロインに、それほど悪い印象は残らない

ということを、やって見せたわけです。
こう考えると、私がなぜ「下級生2のたまきシナリオを批判するのか」という理由もご理解いただけるのではないでしょうか。

これまで述べたような、「個別シナリオにおける物語性の強化(深化)」こそが、このシリーズの新しさと言えるのではないかと
私は考えています。
ただしこのようなことは、エルフというメーカーが業界の中でも最大手だったからこそできた、という側面があることは
書いておかなければならないでしょう。
つまり、先ほど述べた「FD容量による制約」などは、エルフのような大手のメーカーであればなんとか克服できた、
ということです(同級生2はFD11枚組)。ただし、私自身はHDD専用版だったので、このFD枚数についてはあまり実感がありません。



実は、私自身は

  もしかすると蛭田さんは、同級生や同級生2があまり好きではないのかもしれない

と考えています。
それは「蛭田さんが本気だったら、こうはしないだろう」という点がいくつか見られるからです。
これは、私の思い込みも多分に含まれているかもしれませんが、以下のような点はもしも蛭田さんが本気だったら
こうはしないだろうと思うのです。

  同級生)

   ① 主人公の誤解による、「寝取られもどき」イベント → わりとすんなり誤解が解ける (桜木舞)

   ② ライバルとあまりドロドロにならない (黒川さとみ)

   ③ 友人と深刻な対立などが起こらない (仁科くるみ・正樹夏子)

   ④ 姉妹の深刻な確執がおこらない (斉藤姉妹)

  同級生2)

   ⑤ 妹でもなんでもないのに「お兄ちゃん」と呼ぶ  (鳴沢唯)

   ⑥ 義理の母ではなく、フリーにしてしまった  (鳴沢美佐子)

   ⑦ 寸止め状態でも、なぜか物分りがいい主人公 (篠原いずみ)

   ⑧ 彼氏との対決がない  (片桐美鈴)

   ⑨ 前作の主人公との対決がない  (田中美沙)

   ⑩ 都会に飲まれてすっかりダークサイドに落ちてしまう、ということはない (永島久美子)

これは、私が「こうなればいいのに」と思っているわけではなくて、もしも蛭田さんが本気だったら「こうはしないだろう」と
私が勝手に思っていることです。

私は、「野々村病院」や「遺作」の時の蛭田さんが一番生き生きしていて楽しそうだった、と思っているので、
多分蛭田さんは

  人間同士のドロドロとしたぶつかり合い

  情欲と理性のガチ喧嘩

みたいなのを作るのが好きなんだろう、と思っているわけです。
で、上に書いたように同級生や同級生2では見事なまでにそれが回避されているのです。
そこで、私は

  ああ、蛭田さんは同級生シリーズがあんまり好きではないんだなあ

と感じたのです。
もし、好きだったらやっちゃうでしょうから。
特に同級生2の鳴沢唯の設定は、もし蛭田さんがこの作品が好きだったら絶対に「本当の妹」か、最低でも「義理の妹」に
すると思うのです。確かに当時は、世間の目が厳しかったですけれども、蛭田さんだったら戦ったような気がするんですよねえ、
もし好きだったら、ですけど。
でも、そのおかげでこのシリーズは一般性を獲得して大ヒットしたわけですから、皮肉といえば皮肉ですよね。



最後に、同級生2の二大ヒロイン(鳴沢唯・杉本桜子)についての所感を。

まず、鳴沢唯についてですが、一言で言って彼女は悲劇のヒロインです。
最初は「義理の妹」になるはずだったのに、あまりの世間の厳しさに「赤の他人」に降格されてしまいました。
これによって、彼女は「エロゲー初の攻略可能な妹」の地位も同時に奪われてしまいました、
しかも、妹でもなんでもないのにもかかわらず、主人公のことを相変わらず「お兄ちゃん」と呼ぶのです、いや、呼ばされているのです。
うう、なんと不憫な。
彼女が小学生や、百歩譲って中学1年生くらいだったらかわいいと思います。でも高校生だったら、人によっては
「痛い女の子」と感じる人もいるのではないでしょうか。

ですから、私は彼女を最大級の敬意を込めて「魂の妹」と呼びたいと思います。
魂の妹・・・妹魂!!(まいこん)

そうです、エロゲーファンがマイコンを愛するのはごく当然のことなのです!・・・って、このばかたれが(@デンジャラス)

あ、言っときますけど、私、鳴沢唯大好きですよ。
ちゃんと「義理の妹」にしておけば良かったのに!


次に、杉本桜子についてです。
彼女の場合は、前半と後半のギャップがすごすぎてなんか辛かったです。
実は、私は病院にいる間は彼女が一番気に入っていたのですよ。病弱な薄幸の美少女、実にいいですよ。
それなのに、ああそれなのに、なんで退院したとたんあんなに元気になっちゃうんでしょう。
しかも、なんか垢抜けちゃってすごくおしゃれだし。

蛭田さん・・・やっぱり、あんまり好きじゃないんだね。
新品/中古アダルトPCゲーム販売 通販ショップの駿河屋

Lumis.Eterneさんの「同級生2(DOS)」の感想へのレス

こんにちは。いやあ、懐かしいですね。私がこちらのセカイに本格的に足を踏み込む事になった作品ですよ。私が妹キャラ好きだったり、エンディングでウェディングドレスのシーンが一番好きというのも、多分この作品の影響を受けてる気がしますw

でも、ホントに言われて見れば、今のエロゲで考えるとありえない設定の目白押しですね(苦笑)自分的には、当時はまだ【ゲーム】であったから、攻略に失敗→悲惨な結果になるのは当然・・・と受け入れられたのかななんて。思い返してみれば、エンディングで「よっしゃ!クリア!」みたいな感じだった気がします。今のノベルではありえない感想ですね、ホント。

因みに、現在の【絵と音がついたお話】という形式への変化も、時間の無い人が手軽に楽しめるようにという正当な進化だとは思っているので、これはこれで気に入ってますけどね。実際、今、同級生2みたいな作品が出ても、クリアできる自信が無いですw

懐かしさで思わずコメントしてしまいました。では、失礼いたしました。
2013年05月26日16時49分44秒
TASCAMさん
レス、ありがとうございます。
確かに、唯ルートでの「親子そろっての結婚式」はよかったですね。
これは、唯が義妹という設定だったら見られなかったかもしれませんね。

このゲームにおける、このような「ありえない設定」って、当時としてもかなりの
冒険だったと思います。これなんかは、もろに蛭田さんの趣味が出ている感じです。

ちなみに私も、今から自力で同級生や同級生2をクリアできる自信は全くありません。
多分、気力と体力がついていかないと思います。
2013年05月26日23時22分08秒

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