asteryukariさんの「Quartett!」の感想

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85Quartett!
仲間と共に喜びを分かち合う、そんなありふれたことこそが幸せで、大切なものなんだと。実に素敵な物語だった。またいつか、いや近い日に読み返す日がきそうだ。
音楽を題材にした洒落た雰囲気を持った一作、初めはそんな印象を抱いていたのだが、まさかここまで胸の奥にしっかりと響いてくる旋律、いや作品だったとは。彼らの純粋で直向きな演奏の美に酔いしれてしまった。また、音楽面だけでなくお話も素晴らしかったのだからこそこんなにも深く残っているのだろう、この世界にいつまでも浸っていたい、何周もしたいと思わせてくれた。

まず、FFDというシステムがかなり良かった。吹き出しも良いのだが、何よりあのコマ使いだ。画像の一部分も切り出し、映すことでその場面の臨場感を与えると共に、キャラの心情を伝えてくれる。音楽ならば演奏している手元、キャラならば目元、口元に焦点を当てたコマなんかがとても私好みだった。

次にBGM、場面の引き立て役であり、時には主演として前に出てくる。その美しい旋律の数々にどれほどの人々が魅了されただろうか、少なくとも私は読了後もしばらく聴き続けるほどハマっていた。弦楽器は勿論、ピアノのものも良いし、歌だって良い。このBGMが良いというよりは、そのほとんどが一級品なのだ。そんなの読了後即CDを注文しないわけがない…。

そして話及びキャラクター、うーん終わってすぐ読み返してしまった。この作品の多くは共通√が占めるし、一つ一つの√はとても短い。けれどこんなにも残り続ける。それが不思議でならない、なんて素敵な作品なのだろうか。ここでは特に好きだったシャルロットちゃんをメインに物語について語っていきたいと思う。

「シャルロット・フランシア」
その容姿、性格、育ちから大好きなヒロインになってしまった。彼女の言動の全てが愛らしいし、時たま見せる神妙な表情もまたいい。共通部分でも多くの登場機会がある彼女を見て、仲間だけでなく、作品にも愛されているなと感じた。

この作品の中で一番好きなシーンはどこかと聞かれたら、候補はたくさんあるのだが一番は決まっている。それはシャルロットが替えの弦を求めてヴァイオリン屋もといフィルの家に尋ねるところだ。

「あんなに上手いのに…」、「わたしなんかよりずっと…」からのあの二重奏、そして彼女の見せる笑顔だ。もう大好きで大好きで仕方ない。いつ見ても、何度見ても素晴らしい。彼女の心を晴れさせると共に、読者である私の心も晴らしてくれた。彼女も言っていたが、私も彼に感謝している。

シャルロットが彼を同じチームのメンバーと認めてからはというと…素敵過ぎて羨ましさすら感じるほど。合宿のシーンにて彼女が見せた溢れんばかりの笑顔は当分忘れることがないだろう。

「いつか長い時が過ぎても俺たちはきっと、この夜の演奏を思い出すだろう」
うん、名場面だ。

最後のカルテットも変わらず彼らの満足そうな表情が見れたし、シャルロット√は本当に綺麗だった。彼女のヴァイオリニストとしての腕に関しても誤魔化すことなく、それでいて綺麗に描いてあったと思うし文句なしに良かった。


「『たかが音楽』
だがあの日僕たちの間に流れていた音楽は、この世で一番美しいものの一つだったと、心からそう言える─」

これはどの√でも当てはまる事だし、これこそがこの作品が一番に言いたかったことなのだろう、本当に素敵な作品だった。

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