Skyさんの「沙耶の唄」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

綺麗な恋愛だけが純愛とは限らない。不潔だろうが、無秩序であろうが、狂気であろうが、それが“ただ愛を求める”ためだというのなら、それは「純愛」と言えるのではないでしょうか。
病院の廊下は白、空は青、他人は自分と同じように人の形をしている。
しかしその目に映る光景は脳が判断した映像にすぎない。
ではその『認識』に異常が起こればどうなるのか?

ホラーものは恐怖感を与えることを目的にしているのが大半ですが、この作品はそういった人間の認識を疑ってくる。

大勢の人間が信じる常識というものを基盤にし、その最大公約数を「真実」として生きる耕司たち。
後遺症によって知覚に異常をきたし、世界が変貌し、異端として扱われるフミノリ。

この2視点を交えながらの構造が見事であり、世界観設定が非常に秀逸。
 
特に巧いと思ったのが、フミノリの状況。
どこか知りもしない世界へと送られたというわけではなく、
人間関係はそのまま残り、それを認識する視覚(脳)が大きく狂ってしまっているという点。
また視覚が狂ったことで他の器官に異常が伝播したという過程も、
人間がどれだけ「視覚」に左右されているかが伝わってくる。

“狂気”によって枠からはみ出しているわけではなく、
彼は“基準”がズレてしまっている。

狂った世界の中でフミノリにとって唯一の人間「沙耶」。
その隣人を護ることが罪だと一体誰が言えるのか。


物語が進むにつれて人の道から外れていくフミノリ。
その行動に嫌悪感や恐怖感さえも覚えた。
なるほど自分も理性や常識、脳などに支配された人間なのだろう。

冷静に考えれば肉塊を殺すこと自体何らおかしなことではない。夏によく現れるあの黒いアイツを殺すようなものです。
本当の意味で“狂っている”と思ったのは沙耶がヨウを捕らえ、フミノリが性奴隷としたこと。
あの時は人間として認識しておきながら、かつての大切な友人と分かっておきながら、フミノリは彼女を犯したのだ。

この時は本当に寒気がした。同時に「純愛」なのだとも思った。
何故なら――沙耶のためだけに狂気に侵されたのだ。
それほどまでに欲した。彼女の存在を。

「狂気」と「純愛」を同時に描いてしまっていることが『沙耶の唄』の凄まじところだ。

――キミ以外何もいらない。世界中を敵に回してもキミを護る。

いたるところで散々使い古された言葉をフミノリは確かに体現している。

私的に綺麗な恋愛だけが純愛とは思わない。
不潔だろうが、無秩序であろうが、狂気であろうが、
それが“ただ愛を求める”ためだというのなら、
それは「純愛」と言えるのではないでしょうか。

『取り戻したい』・『もういらいない』
エンディングが別れるこの選択肢。非常に上手いと思った。


孤独に疲弊し、世界に拒絶され、繁栄を行うほど世界に熱意をもてなかった地球外生命体。
砂漠に咲いた一輪のタンポポを愛してくれたから、愛した。
動物的というか沙耶の愛し方は本能的である。


醜い世界ならば、愛の力で、綺麗な世界に塗り替える。
生めよ増やせよ地に満ちよ―――

これは紛れもなく「純愛」の物語。
純愛ゲーは至高だという人にこそ手にとってもらいたい作品。
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