merunoniaさんの「あした出逢った少女」の感想

ネタバレ感想を見たくない場合、文字を背景色に設定することが可能です。 → 設定変更

**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

SFトリック伏線回収ゲー。狂気に駆られたエゴと純愛を絡めたミステリー。起伏が少ないのもありますが、伏線回収によって明かされる事実としてはなかなかに面白く、良作であったと思います。(テックジャイアンアフターストーリーの追記含む)
 だから僕は、消えていこうと思う
     ──あした逢えることを願って

 MOONSTONEより2003年に発売された、
 本格サスペンスノベル─第1弾─

 「あした出逢った少女」

 結論から言えば、SFトリックの伏線回収一本釣りゲーでありました。
 導入から中盤までのテキストは難解で入りにくいものがありましたが、
 最後の伏線回収は少し強引もありながらも納得できるもので、
 楽しむことができました。
 
 他作品になりますが『ever17』などといった作品が楽しめた方なら
 今作品の伏線回収、トリックにも楽しめるのではないでしょうか。 

 狂気にまみれた、エゴ、ある意味究極の純愛を模した
 ミステリーであったと思います。
 
 ただ、読み流すというプレイだと、最後によく分からず終わりそうですが、
 常に頭を働かせ、「こうではないだろうか」と考察をしながら
 楽しむプレイだと、最後の回答合わせに、楽しむことができる
 作品だと思います。

 以下に

 ①評価の分かれ目であったと思われる、面白かったポイント

 ②作品をやり終えた全体の感想
  (各登場人物の感想・メモ)

 ③システムなど・総評

 といった形で書いていこうと思います。

 ※このゲームは、ネタバレを食らうと、著しく楽しみが損なわれます。
  ゲームをやられる予定の方は、感想を読まれないことを推奨します。










 ①面白かったポイント

  「過去」と「現在」の二つが目まぐるしく入れ替わるストーリー

  やはり、今作品の一番の特徴であり、人によって評価が大きく
  変わるポイントはここであったと思います。

  ただ、過去に起こった出来事をある程度見たあとに
  現在のストーリーを見ていくという普通の形式ではなく。
  頻繁に入れ替わる中、現在と過去が繋がったようにして流れていくため、
  ますます難解になっていました。

  現在①→現在②→現在③

  過去①→過去②→過去③   (①~③は時系列だけが違うだけで
                 全く内容は同じこと)

  とあるものを、
 
  現在①→過去②→現在③→

  と進んでしまうため、ふといつのまにか現在から過去だったこと
  もありました。

  最後のトリックが明らかになる内容から言って、
  これは意図的に、プレーヤー側にわかりにくすることで、
  錯覚的に見せようとした結果であったと思います。

  私自身は頻繁に入れ替わる中、右クリックで過去か未来かを確認しながら
  過去と現在のわずかな違い、食い違いをメモを取りつつ考察を深めることで
  楽しむことができて、なかなか良かったと思います。

  逆にここを軽い気持ちで流してしまうと、よくわからずそのまま進むことになったとも
  思います。

  こう言う意味で、このギミックをどう取り扱うかによって、煩わしく思うか、
  じっくりメモを取りつつ楽しむか、で
  このエロゲの評価は大きく変わるのでは と思いました。


 ②作品をやり終えての感想

  作品を終えて、トリックはとても面白かったです・・・。
 
  最初は、伯父が死体を発見したところ、ここでの反応に食い違いがあって、
  ここがキーとなるところかな?と思いつつ。
  (過去は冷たい反応、現在は慌てた反応)

  最初は過去と現在の繰り返しということで、輪廻転生でもしているのかな、
  と思いつつ、全然違いましたね(笑)

  過去をもう一度やり直す、そのためにクローンまで持ち出して。

  伯父と母(あやめ)による究極のエゴであり・・・。
  そして勘違いと勘違いが重なった物語であり・・・。


  内容にしては割愛します。
  ここのサイトがとても参考になりました。ありがとうございました。
  http://www003.upp.so-net.ne.jp/edelblume/ashishotrue.html

  様々な登場人物の思惑が重なったことでできた作品だったと思います。

 (1)伯父

    伯父もそうとう狂気にまみれてましたね・・・。
    
    思い出深いセリフとしては

    「己を既定するものはなにか?」

    「視線である」
    
    という問いでした。

    ここの話は聞いてて、コペンハーゲンの解釈を思い出しました。
    
    視線=観測者として。
    観測者と観測対象によって世界は
    一定に決まっている。なぜなら多くの観測者である人類がおり、
    観測されない状態などありえないからである。

    人も視線によって、自分が何者かが既定されている。
    もしこの視線が感じられない場合、自分は何者か、既定することができない。

    この考え方によって、化物を生み出そうとして実験にされたのが
    流の妹である「理佳子」

    そりゃ狂いますわ・・・w
    でも外に脱出したあとは、無事結婚できたようで・・・。
    結婚相手の男性はどのように結婚できたのか少し気になります()
    りかぼーも幸せ(?)に育ったようで・・そこは良かったです。

    話が少し逸れましたが、死の恐怖から克服したいがために、
    狂気になってみようと思い、物語に憑かれたあやめさんに才能の限界を見せつけ
    狂わしたあと、自分にはこの狂気は無理だなと勝手に感じ。
    
    そして主人公に憎み殺されるように仕向けることで、幸せに死ねて
    伯父ハッピーエンド。
   
    まさしくエゴと狂気によって動かされた伯父にとっての物語でもあったと感じます。

 
 (2)過去冬香(あやめ)

    伯父のエゴによってのある意味被害者であり。
    そして、狂気とも言える純愛を持った彼女の物語。

    なんせ、物語に取り憑かれた彼女は、物語をもう一度やり直し、
    冬香の母親として、現在をやり直すために、やり直した幸せを信じて
    娘(現在冬香)の前で当然のように自殺するのは、
    正気の沙汰じゃないと、あのシーンの衝撃はなかなかにすごかったです。

    自分が過去に負った祭りの傷のために、現在の冬香にもナイフで傷をつけられようと
    したなど、現在冬香もたまったものじゃないな・・と。

    この悲劇の始まりは、湖で主人公を問い詰めたあと、
    薫によって宮本の日記によって、じつは犯人が宮本(勘違い)だと思い込み
    やり直したいと願ったことでした。

    まさしく勘違いでありエゴ、そして純愛(それともサイコ?)であったと思います。


    「物語に取り憑かれた」 という表現はある意味新鮮で上手だと感じます。

 (3)宮本

    過去も現在も狂気一色でしたね。
    主人公の殺人を盗視して、自分がまさしくやったかのように日記に書き付ける。
    そうしたことで満足する自慰行為。

    このポイントも読み手側には混乱させられた一つでもありました。
    
    生活反応が出ているか出てないかの話での伏線回収だったりは、
    地味なポイントでありながら、面白かったです。
    (主人公の殺人は生活反応が出ており、宮本は出ていない)

 (4)姉妹たちと冬香
  
    現在姉妹、これはあまりに不憫でありました。
    物語のやり直しというためだけにクローン技術で作られ、
    そして、現在編で当然のように殺される。
    
    このエロゲの評価の分かれ目の一つに、キャラに思い入れがないように
    立たないように作られているという点がありましたが、
    もしかしたらこのためと思わなくもありません(深読み?)

    そしてそれを知っていながら当然のように眺める冬香はどのような  
    気持ちであったのか。
    過去の時から伯父に一歩引いた形で劇中の役割を課されていた彼女には
    それがもはや当然として受け入れられていたのかもしれませんが。


 (5)全体として トリック回収後

    ひとりひとりのエゴとも言える、思惑をここまで絡めて、
    一つの事件を作り出すという点ではとても面白かったです。

    ただ、やはり物語やり直しのためにいきなり出てきた
    「クローン技術」だったり、
    伯父による言葉一つでここまで再現が完璧なほどされるか
    と思うと、少し疑問があるのも正直な感想です。

    どう姉妹というところを説明するのだろう・・と思っていたところで
    まさかのいきなりクローンって単語が出てきた時には
    少し肩透かしを食らったり。

    こういう点ではある意味ちょっと強引すぎかなとも思いました。

    ただ、最初にも述べましたが、バレない程度に過去現在を繰り返しつつ。
    お互いのないように齟齬を少しづつ加えていくことで、考察を促せつつ
    そして伏線をすべて説明がいくように回収していく。
    最後は面白く読み進めることができました。

    こういった意味では満足感はけっこう大きいです。

    ただ、今思えば、この最後のために、中盤は起伏なく
    ひたすら伏線をばらまくことを繰り返す、物語であったため
    もう少し「物語の起伏」だったりがあればよかったのではと思います。

    キャラにもあまり思い入れもなく、過ぎ去っていく感じはありました。
    (ある意味キャラへの悲壮感を漂わせないタメ・・?)

    光るものがあった、トリックという面では面白かった作品。
    ただ、ほかの面でももう少し頑張って欲しかった。

    という点で、トリックだけで評価するか。全体で評価するか。
    で評価が分かれそうだと感じます。

     
   ③システム

    2003年の作品でありながら、私はとても面白かったです。
    なにげに回想でシナリオを個別ごとに見直すことができるのだったり
    親切なシステムもされていたと思います。

    当然今のエロゲに比べればパートボイスの録音状況だったり、
    気になるといえばある点もありますが、10年以上も前の作品ですし。
    むしろあまり気にせずプレイできました。
    右クリックで「過去・現在」をすぐ確認できるように配慮してあったのも
    物語を楽しませようというのがあったと思います。
  
    ゲーム中に出てきた、ピアノ調のミステリーでよくありそうな効果音だったり
    こういうちょっとした工夫も好きでした。



    ④総評

    あまり長編でもないので、サクッと楽しむことができたと思います。
    埋もれた(?)良作であったと思います。
    moonstone 「処女作品」としてはとてもできていたのではないでしょうか。


    こういうメモ取りながら、こうじゃないかと考察していくゲームは
    少し疲れますが、最後の答え合わせなり楽しいものだと改めて感じました。
    そういったものも含めて、SFトリックゲーは楽しいなぁと感じる今日この頃。

    ぜひever17なりSFトリックが好きな方は楽しめると思います。

    テックジャイアンについてきたアフターストーリーを注文したので、
    それが届くのを楽しみにしながら、感想を書きました。

    OPを聞きながら余韻に浸りたいと思います。
 
    ありがとございました。       


10月29日 追記

    テックジャイアンより付録のアフターストーリーが届いたので追記です。
    話の内容は、あの最後のシーンで薫と主人公が別れた後。
    薫が冬香が警察によって捕まった事実を知るところから始まります。
    その後、高千穂村という廃村で同じような事件が過去にもあったことを知り、
    また現在の主人公たちが住んでいる家、そこから出てくる主人公を見かけたとき
    過去に高千穂村にあった家とまったく同じな造り、主人公だったことに
    驚愕し、そしてまさかこんなことが実はありえるのか。
    その後、警察の拘置所の水穂に薫が会いに行って(手紙で交流していた)
    そこで終わりです。

    正直このあとどうアフターストーリーするんだと思っていましたが、
    薫目線からの補完という内容でした。
  
    おまけ的なのかと思いましたが、まぁあのあとではifじゃないと難しいですかね・・。
    過去の祭りとか見たかったのですが。

    180円で古いテックジャイアン(2003年8月号)を駿河○で手に入れられてラッキーでした。
    情報を下さった方に感謝しつつ、もし機会がありましたら買われることも悪くないと思います。

長文感想へのレスを書くには
 ・ユーザーIDを有している
 ・COOKIEが有効である
 ・COOKIEを有効にした状態でログインしたことがある
 ・5つ以上一言コメントを書いている
 ・長文感想を書いたユーザーが長文感想へのレスを許可している
の5つの条件を満たしている必要があります。

コメントデータ

このコメントはだいたい451回くらい参照されています。

このコメントは1人の方に投票されています。