houtengagekiさんの「あした出逢った少女」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

田舎を舞台にしたダークなサスペンスですね。ライターの持ち味が随所に出ている良作だと思います。シナリオ構成の複雑さによる読み取りづらささえ我慢してついていけば、伏線回収による快感が存分に味わえますし、かなり読み応えのある作品かと。
このゲーム、内容はかなり独特ですね。
構成としては、現在→過去→現在→過去……と、
現在と過去のエピソードが交互に挿入され、それの繰り返しで物語は進んでいくわけですが、
こっちの時間ではどういう流れだったっけ、とか
それぞれの展開の流れを把握して読み進めていくのが大変で、
ついていくのが一苦労という感じがするので、ちょっと不親切な感のある構成と言えるかも。
かなり考えながら読む必要があるため、疲れるかもしれません。
少なくとも、気軽に楽しむことができる作品とは言えないでしょう。

しかし、話自体はとてもおもしろい。
過去と現在の類似性と、ところどころ見え隠れする齟齬が、
主人公が記憶喪失である設定をよく生かしていますし、
こういったプレイヤーに混乱と興味を抱かせるやり方は、物語への没入度を深めてくれますね。
サブキャラの使い方もいい。各人物に重要な役割を割り振って動かすのが上手いと感じます。
たまに挿入される、登場人物の日記も演出として印象的で、使い方もうまい。
そうやって各所にちりばめられた伏線が演出的にも非常に巧みで、
それがラストで綺麗に回収されるので、しっかりまとまったシナリオになっています。
終盤はすべてが一本の軸へ収束していく感じで快感です。
ただ真相部分の設定が少し強引だったりするので、人によっては醒めてしまうかもしれませんが。

物語全体が、仕掛けを軸に丁寧に組み立てられた作品ですね。
読み取りづらいだけに奥は深い印象があります。
全てを知った後、もう一度最初からプレイすると、
ヒロインの言動や主人公の独白やらが全て伏線に見えてくるほどで、
作りこまれたシナリオであることがよくわかります。
このゲームは二週目プレイが真骨頂かもしれないな、と個人的には思います。

あとは、サスペンス的な面でもなかなかのものではないかと。
狂気を持った存在が確かに存在している、ということは伝わってくるんですが、
なかなかはっきりと正体が見えてこず、かなり恐怖感をそそられますし…
雰囲気の作り方はうまいです。


欠点は、まず絵があまり上手いとは言えないことですかね。
それとシナリオの方も、各ヒロインとのハッピーエンドには問題があるように感じました。
ヒロインとの個別エンドは、基本的に途中エンドという扱いになってるんですが、
事件の真相も伏線も投げっぱなしで、ただヒロインとくっつくだけの終わり方なので…
メインヒロインである冬香以外は、少しスッキリしない感じになってしまいます。
どのヒロインにも、途中エンドとトゥルーエンドを付けてくれれば良かったかなと思うんですが…
でも構成を考えると難しいかなー

まあ、投げっぱなしとはいえ一応個別エンドがあるということ自体はありがたいんですけどね。
ヒロインはみんな可愛いから。
特に倫なんかは、結構可愛いツンデレぶりを発揮してくれて魅力的なのに
作中での出番が少ないので、これで個別エンドが無かったら救いようがなかったところですし。

さて、ここからトゥルーエンディングの内容について言及しますので、少しスペースを取ります…









トゥルーエンドは寂寥感あふれる情景が非常に印象的で、物寂しい余韻を感じさせてくれます。
このラストシーンの味わいは、このゲーム独特の良さではないかと思いますし…
単純なハッピーなだけではない、寂しさや空虚さを持った味わい深いエンディングを作ることができる、
そんな呉さんの持ち味が最大限に発揮された終わり方ではないかと思うので、高く評価したいです。
こんな終わり方で、プレイする側は納得した気分でゲームを終えることができるのだから、恐れ入りますよ。
このエンディングの後、主人公がどのような生を送るのか、思いをはせるのもまた一興だろうと思います。

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