Visiongroveさんの「Missing-X-Link ~天のゆりかご、伽の花~」の感想

最後が盛り上がればそれに至る過程は何をしても構わない、ライターの掌の上でキャラが踊らされるお話。
主人公の元にやってきたオートマタ(所謂アンドロイド)をきっかけに、人生に後ろ向きな主人公が成長していく物語、のはず。しかし「普通の人間」に達していなかった主人公が(戦闘描写等で格好良く決めてはくれるものの)「普通の人間」になる成長物語なので、当然人間として良い面ばかりではなく悪い面でも主人公は成長していく。特に終盤は悪い面が露骨なまでに突出するのでシナリオ全体は評価出来ても主人公は大嫌い、となり易い。また複数の視点で入れ替わり立ち替わり描写される事もあり、物語を俯瞰的に読む事を要求される。キャラゲーではないので誰かに思い入れするプレイは思い通りにならず不満が溜まるだけだが、それを差し引いても登場人物達がただの駒に見えてしまうのは読んでいて余り気分が良いものではない。

全体的にはコメディもシリアスも内包するが、ヒロインによってシナリオの傾向が愛情重視、死生観中心、物理戦闘寄り、サイバー戦闘寄り、と大きく違う。また、もしかしたら動作条件を満たしていても環境依存の不具合でプレイ不能になる可能性があるようなので、必ず体験版(要6時間。製品版と違い、一部選択肢が省かれ展開が固定になっている場面あり)で正常にプレイ出来るかを確認。この作品は720pの動画を多用しているので、ハード(CPUやGPU)に動画再生支援機能がないとかなり厳しいかも知れない。

シナリオは基本的に一本道で(共通→個別×4→グランド、の流れ。一応独立した短い後日談もある)、晶を除いてその一本道の中に個別ルート(厳密には特定のヒロインにスポットの当たる区間)を全て内包している。個別ルート部分の終盤に出てくる選択肢でそのヒロインのEDを確定させるか、そのまま話を進める(=次の個別ルートへ向かう)かを決める感じになっている。当然それ以前に通過した個別ルートの出来事はそのまま引継がれる。好きなヒロインを振って話を進めるのは人によっては心苦しいかも知れない。これとは別に終盤には主人公の運命を大きく変える選択肢もいくつか登場する。冒頭でも触れたが、この終盤をどう取るかで評価が正反対になる危険性を孕んでいる。こればかりはプレイする人の感性の問題なのでどうにもならない。またチェスが物語のカギを握っていて作中で実際にチェス盤を表示してまで指す場面が何度かあるが、ルールを知っているか否かに拘わらず人にとっては退屈もしくは鬱陶しく感じるかも知れない。

エッチはE-moteでぬるぬる動くが終始緩慢な動きで不自然さばかりが目立ってしまい全く抜けなかった。これなら抽挿ペース毎に動画を用意して再生した方が良かった。極一部だが一枚絵のエッチも存在する。エッチの枠数はヒロインによって違い、何故かメインヒロインの姫風露が一番少ない。尚ヒロイン以外にも1枠エッチが存在する。

システム面では選択肢ジャンプ、文章履歴からの場面ジャンプ、章セレクトと、必要なものは全て揃っている。ただ章セレクトは人物等のタグによる絞り込みが行えるとはいえサムネイルから場面を把握する事はほぼ不可能。粗筋も併記して欲しかった。スキップはそれ程速くなく、文字がちらつくので斜め読みには向かない。セーブはボタン1つで自動的に行われて一見便利だが上書きが行えないので不要なデータは逐一ロード画面から削除する必要がある。またページ単位の切り換えでなくスクロールバーでスクロールさせて表示するタイプのため余りにも沢山セーブすると目的のファイルを探すのが大変になる問題点もある。イベント画像表示時のみ文章ウィンドウを透明にする機能があるが、文字の縁取りが細いため読み辛く使い勝手が悪い。吉里吉里2(Z)はスクリプトに指定された数値を変更するだけで縁取りの太さを変えられるのだから、手抜きをしないで実際の画面で十分なテストをして欲しかった。

個人的には熱いバトル展開や小悪魔的な遊離、悪役の悪役たる言動、動画を多用した視覚効果(特に最終盤は見た目は地味ながら圧巻)と、楽しめたには楽しめたが、何故か登場人物達がマリオネットのように見えてしまう場面があり、すんなりと物語の中の世界に入ってはいけなかった。何かもう1つ地固めする要素があれば良かったのかも知れない。

以下、少しでも負荷が軽減出来るかも知れない対策。

Missing-X-Link.exeのショートカットをデスクトップに作成し、プロパティの「リンク先」に書かれたパスの後ろに半角空白を挟んで -userconf と入力し[OK]を押して、このショートカットから起動すると、吉里吉里Zのエンジン設定が呼び出される。

以下の項目をPCのスペックに合わせて変更してみる。勿論効果がない場合や反って悪化する可能性もあるので余り極端な設定にはしない事。

▼システム全般→処理ウェイト
「60Hz」に変更
(モニタのリフレッシュレートに合わせる事を推奨)

▼グラフィック→画像キャッシュ制限
「キャッシュを行わない」に変更
(メモリに余裕があれば多分変更不要。反ってパフォーマンスが落ちる恐れも)

▼グラフィック→描画スレッド数
CPUの物理コア数が4コア以上あるなら「2スレッド」以上に変更
(論理コア数を超えた値を指定しても最大論理コア数が選択される)

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