asteryukariさんの「夢現Re:Master」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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題材に惹かれプレイに至ったわけだが、期待通りのメタ、パロがそこにはあって、それがまず心地よかった。加えて期待以上に熱く、素敵なお話も存在していたのだから、これはもう良い作品だったと言う他ない。中にはショックのあまり落ち込んでしまうお話もあったが、最終的には嫌いな登場人物はいなかったように思える。
ゲーム制作に関するお話ということで、まあ期待しないわけがなかった。やはり身近な題材の作品は興味をそそる。実際、話も理解しやすかったし、何より共感できるポイントが多い。加えてマニアック過ぎないソフトなパロディもあったりして、日常会話では何かと拾えるものがあった。

この作品共通パートがとても長いので、その辺は楽しめた層と、楽しめなかった層に別れるだろうなと思う。私は比較的楽しく読んでいたのだが、やはり少し冗長に感じる場面もあって、こんなに尺が必要だったかと考えてしまう時もあった。しかしまあ、そういったところも含めて日常なのだということで落ち着いた。

また、共通パートだけでなく、個別パートもしっかりとしたボリュームだから凄い。それも単にヒロイン同士をくっつけるのでなく、それぞれにきちんと物語がある。その物語が面白いか面白くないかは別として、“ああ丁寧に作ってあるな”と私の中では好印象だった。

まあせおれでもやはりそれぞれの物語に差はあるわけで、めちゃくちゃ好きなお話もあれば、あまりの酷さに絶望したお話なんかもあったわけで、その辺については個別に語っていこうと思う。


<マリー√>
途中から出てきた軍服のイラストレーター。まさか登場シーンがひったくり撃退とは…
かっこいいね、カッコいい女性は素敵だ。でもだからこそ内心は弱いんじゃないかと勘繰ってしまったわけだけど、とてもしっかりしていた。自分の意向に沿わない場合はきちんと意見したり、揉め事が起きた時も常に冷静で、対処も大人だった。

その上でああいった物語にしたのは何というか意地が悪いなぁと。完璧に見えた少女が崩れていく様子というのは何とも哀れで、まあ結構好きだったりする。この√はBADも中々意味のある良い終わり方だと思うので、まあ特別好きというわけでもないけれど、それなりに残る物があるお話だったかなと。


<ばななちゃん√>
一目見た時から“あー好きなタイプだ”と感じていたし、現に読み進めていくうちにどんどん好きの気持ちが増していった。金髪メイドは素晴らしいし、しゃべり方とか、さりげない気遣いとか、もうとにかく好きの塊みたいな女の子だった。加えてオーディションに落ち続けているなんてのも切ないし、応援したくなる。

あいちゃんとの絡みはどのシーンも好きで、本当にお嬢様とメイドのような関係になっていくのがたまらなかった。

そしてそれを見せた上での裏の顔というのも良くて、ここから美しい友情物語あるいは百合物語が展開していくのだろうなと思っていた。なのに…。

あまりの酷さに絶句した。“え…私の好きなばななちゃんはどこに行っちゃったの…?返せ…あくま!!!”と思わずこころのように叫びそうになってしまった。もう終盤なんかは完全に冷めてしまって、AV堕ちに期待してしまったほど。お人形ENDには笑わせてもらった。あんなに気遣い出来て良い子がまさかこんなヘラ女だったなんて...。

しかし彼女への愛は後のさき√、こころ√で復活していったので今はまた好きになれた。本当、自身の√でなければ素晴らしい女の子なのに。


<さき√>
まさに我が道を行くな女性で、ずぼらに見えて的を得た発言をしているのが印象的だった。見た目は小さくて可憐な少女だが、やはり大人なのだ。

やりたい放題なこころに向かってボロクソ言うシーンは正直気持ち良かった。彼女のやり方、能力を否定し、言い返せず泣きじゃくるところまでやってくれるなんて…あなたについていきます!本気でそう思った。

しかし彼女も途中からは子供っぽい真似をしてしまうところも。まあそれも彼女らしさを作っている大切な部分だし、そうした後にすぐ自分を戒めることが出来るのはやはり凄いなと思う。

こころとの衝突が多い…というかこころが他キャラと衝突することが多いのだが、その分後半には皆との仲を深め、人望も増えていたのは上手かった。そしてそれを導いたのが無限堂さきさんなわけで、会社を辞めてからのさきとこころの絡みが絶妙だった。あの空間にいる三人も心地よかっただろうし、その光景を見ている私もとても幸せな気分になれた。

また、さきとあいの百合というのもこれまた素敵だ。個別√に入ると途端に積極的に、えっちになっていくあいに対し、動揺しいつもの余裕を失くすさきが非常に愛らしかった。攻守逆転というか、丁度いいバランスなのだ。この二人に関してはこの物語で完結していたと思うし、続きなんていらない。熱く、美しく、素晴らしいお話だった。


<こころ√>
他の√でも相当面倒くさかった彼女の勢いはとどまることを知らず、オカルトめいたものにまで手を伸ばし始めた。と思ったらまさかのまさか、お話全体にファンタジー要素を絡めてきたから驚いた。しかしまあこれでようやく二人の姉妹の謎が解けて、冒頭の部分なんかも生きてくるわけだ。本当に世界を拡張してきた。

終盤はもうさきさんの如く自由な物語が広がっていて、それでも悪い気はしなかったし、むしろ楽しんでいる自分がいた。

「ゲームはハッピーで楽しいのが一番!」
まさにその通りだ。この時は完全に雰囲気に呑まれていた。




振り返ってみると苦い部分もあったが、やはりさき√なんかはとても楽しく読めたなと。最終的には嫌いなキャラクターはいなかったし、最後の全員集合の一枚絵の素敵さと言ったらない。実に綺麗な作品だった。

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