morufaさんの「言の葉舞い散る夏の風鈴」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

アペイリアと比較すると細かい駄目な部分が目立つが、それでも完成度は高い一作
■作品傾向タグ■


学生主人公・学園・部活・夏


■作品構成■


一度の選択肢で個別入りする同時派生型フラグ管理方式
構成は共通で登場人物たちが声優部へ終結するまでを描き、その後グランプリ応募作品の
三作のどれに主人公が力を入れるかで奏、ゆう、仰子への分岐、3名攻略後に詞葉が解禁される

自他ともに認める重度の声豚であった督は、親の都合で1年の留年を経験するハメになる
そんな督にとっての高校生活初の登校日、道端でふと聞こえてきた声はあろうことか
督の大ファンである顔出しNGの声優、「日華こころ」の声と瓜二つの声がする女子生徒だった

そして督と同じく仕事の都合で留年経験のある日華こころ改め真額詞葉と督は、
同じクラスメイトであるゆうの誘いを受けて「声優部」への入部を決めるが・・・?

という流れに沿って、学生声優グランプリでの入賞を目指してヒロインそれぞれと
課題作品に取り組みながら人としての成長を描いていく内容となっている


■作品内容評価(良かった点)■


単純な点ではあるが部活というテーマを使って全員で一つの目標に向かって努力するという
設定は安定した物語性を提供してくれてように思う

特に主人公を終始音響監督としてのポジションに就かせることでどのルートに入っても
主人公の活躍度合いに大きな差が生まれなかった点は、良い意味悪い意味の両面をとっても
個人的には好意的に受け取れる内容であったと感じた

特にやりたいことを諦め続けてきた奏と、ただ出来るからやっていただけという詞葉の両名は
それぞれ違う背景を持っており、各々が違った魅力を見せてくれたことについては
特筆して評価したい

また、ゆうと仰子に関しても上達までのフローを急がずに、物語の大半を下手なまま描くことが
個人的に物語へのリアリティを上げてくれていたと感じた
と思う反面、両名のラストの受賞に対してはやりすぎという思いもある
ハッピーエンドがメインストリームのADVにおいてはこの結末は非常に楽であったとは思うが
作中におけるド下手期間とその努力の結果の対比としては受賞は少々褒美が過ぎる気もする

その他、エロに関してはどれもキャラクターの個性を生かしきったものが多く、
設定からしてえろいゆうは勿論のこと、奏の繋がった状態で選考結果を閲覧するシーンなどは
なかなか見ないシチュで個人的にはぐっとくるものがあった

UI周りに関しては可も無く不可も無く、必要最低限は備えられていたので問題はない


■作品内容評価(悪かった点)■


前作のアペイリアに比べて文章量から感じるボリューム感に対し、作中における誤字脱字や
セリフミスがかなり目立った

また全体的な構成で言ってもヒロイン四名のうち二人が大根というのも結構な比重で、
私の場合奏を一番最初にやった後にゆうと仰子をやったので問題児二名の演技を
聞き続けなければならない期間が長く続いてしまった点については
自分のミスだと勘定しても少々バランスが悪いように感じた

せめてどちらか一方に分かりやすく、プロの声優としても舌を巻くような隠れた才能があって
それを主人公が開花させていくという内容であれば感じる内容も違ったのであろうが、
二名に関してはグランプリ応募作品に限定した上達であったために思うような情動は得られなかった

またグランドエンドにつなげるために各ルートにエピローグを設けなかったのも少々問題で、
その全ての包括であるグランドエンドにもその後が描かれていないので正直な所FDありきの
製作を目指している感じもちらほらと感じてしまい、この点も不満点といえる

あとは一々悪かった点としてあげる必要は全く無いのだが、主人公を含めて数名いる留年設定、
これは果たして何の役にたっていたのか良く解らず仕舞いであった点が悔やまれる

主人公の留年や、ヒロインの飛び級などの設定は主人公自身に大人びた雰囲気がある、頼り甲斐が
あるといった主人公に対するポジティブ感情をヒロインに想起させる手法としては非常に有効だとは
思うのだが、別段そういった部分が魅力的に描かれるような展開になったわけでもなく、
かといって留年組同士が失ってしまった青春を取り戻そうというような描写もなく、
ボケとツッコミを器用にこなす無難な主人公像にとどまってしまっていたのは個人的には減点対象
ではないにしろ、無駄に思えてしまうパーツが作中の目立つ部分に残っていたことが残念に感じた


■総評■


読了後の満足感はそれなりにあるが、大作のそれかと問われると直ぐに首を縦には振れない
少々評価に困る一作だったように思う

全体的な雰囲気は非常に良く出来ていて、キャラクター同士の掛け合わせもテンポよく
進んでいくので物語への没入のしやすさや没入後の安定感はかなり高い水準に収まっていたのだが、
いざ全ルートを読み終わってみると

「良かったんだけど、なんかこう、う~ん・・・」

というような、いまいち自信を持って賞賛できない部分が残ってしまっていて、
その原因を探ってみると自分が思っていた以上にアペイリアと比較してしまっていたことに気がつき
なんとなく腑に落ちた心持でいる

実際今作のサイトのトップにでかでかとアペイリアを手がけた~と宣伝してしまっていたし、
作中でも前半でパロネタをいくつか仕込んでくるなど、嫌でも想起させるようなラインに
なっていたのでこれはもう正直にDOLCEの采配ミスと言っていいだろう

前作も前作で手放しに賞賛できる仕上がりでは勿論無かったが、あちらは広げた風呂敷の壮大さと、
出来の良し悪しは兎も角として一応の終着点を用意できた点で非常に好印象だった

といいつつも範乃氏の物語の締め方の特徴やクセ、課題のようなものなのだろうと私の中で一つ
答えが出たという意味では非常に意味のある一作であったので、次回作ではどういった
進化を遂げているのか非常に楽しみではある

次回作も期待している

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