Medotsuさんの「殻ノ少女《FULL VOICE HD SIZE EDITION》」の感想

エロゲーというより18禁のノベルゲーム。2000年後半以降の作品では他に例を見ないエロや萌えを捨ててミステリーを描いた作品。普通に書店で売っていそうなミステリー小説をエロゲでやるだけでも難しいのに時代背景を昭和の中期に据えているため、ますます統合性を取ることが困難になっている。それ故に発生した矛盾点も多いが、猟期殺人モノとしては完成度が高い。ただし、ホラーやグロに力を入れすぎてしまいミステリー要素が負けてしまっているところが人を選ぶ。
戦後から数年後の東京を舞台に、次々と起こる猟期殺人の謎に挑むという他のメーカーとは一線を画したミステリーなストーリー。
冒頭で「この門をくぐるものは一切の希望を捨てよ」というテキストが出てくるが、その言葉はこの作品そのものに当てはまる。
それくらい救いがない物語だからだ。
続編ありきの作品だから仕方ないかもしれないがこの終わり方で次回に繋げても希望がそこに存在するのか?と言いたくなるくらい何とも言えない結末にはやるせない感情になった。

良かったところ
・主人公含めてフルボイス。
自分は主人公ボイス有り派だがこの作品ではますますそう思った。
イケメンボイスに惚れ惚れ。

・次の選択肢まで飛ぶ機能あり。
無印ではなかったらしい。
何回も鬱になる場面を通らなくて済んだのでかなり助かった。

・良質な絵と音楽
まず絵に関しては文句のつけようがない。
キャラの立ち絵やCGもそうだが、主題である「殻ノ少女」は最早芸術作品である。美術の教科書で表紙を飾っても何らおかしくないレベル。流石は個展まで開かれた作品だけありグラフィックに関しては満点だろう。
また、音楽も主題歌である瑠璃の鳥に始まりゲーム中のbgmもかなり良質。作中の雰囲気にマッチしている。

・続きが気になるシナリオ
とにかく先が気になるシナリオでテキストもかなり読みやすい。
ミステリー好きならサクサク進めることが出来ると思う。

・エロシーンの少なさ
シナリオの量に対してエロシーンはそう多くない。
途中でサブキャラのシーンも回収すれば回数が増えるがtrueルートのクリアだけなら恐らく3~4回くらい?
18禁部分は猟期殺人場面やあちこちで繰り広げられている近親相姦の表現に当てられていることが多いので直接的なエロは少なく進めやすい。
エロは少なくともシナリオの根幹が18禁じゃないと成立しない、アダルトゲームという分野を上手く使っている。

・捜査パートのシステム
前作のカルタグラは選択肢を選ぶだけであったが今回は現場調査や捜査パートが用意されている。
この部分が良くできており推理ゲームをプレイしているという実感が湧いてくる。
無印の感想では推理パートが難しすぎるとあるが、決して鬼難易度と言うことはなく良く考えればきちんと答えは導ける。
捜査パートで証拠を見逃すと言う意見もあるが隈無くクリックするのはむしろ当然だと思うので苦にはならなかった。

・手帳の存在
このゲーム、登場人物がかなり多い。
油断すると誰がどういう人物か分からなくなるが手帳には人物の相関図が随時更新されるためいつでも見ることが出来る
証拠やカレンダーも見れるためかなり重要なアイテム。

・朽木冬子と高城和菜の存在
メインヒロインである冬子はミステリアスな雰囲気があり、作品のメインヒロインとしてマッチしていた。
看板というにふさわしいヒロイン。
そして前作ヒロインの和菜の登場。
相変わらず緊張感に欠ける抜けっぷりだがカルタグラ以上に悲惨な展開が多い本作に於いては前作以上に癒しの存在になっている。



悪い点

・時代背景にそぐわない言動・服装等
昭和31年のお嬢様学校なのにこの制服のスカートの短さは流石に無理があるのでは?
こんな服装なのに中身はお嬢様とか襲ってくださいと言っているようなモノだろう。
また、和菜が性交のことをHと言う場面があるがこの時代にこの言葉は浸透してるのだろうか。
朽木冬子が主人公にHと言ったときに主人公が「Hってなんだ?」と問い、冬子が「変態の略らしいよ」って説明する場面は納得できるが冬子より年上の和菜が性交のことを自然な流れでHと言うのは何か違和感がある。
このように時代背景に対する整合性に疑問が浮かぶ場面がちょくちょくあり。
カルタグラの時はそんなに気にならなかったのだが。

・朽木冬子の独白
章の始めにこれが入るのだが強制オートの為自分の好きなタイミングで進めることが出来ない。
しかもバックログに登録されないため見逃すと一々ロードして戻らなければならない。
基本的にゲームで強制オートはやるべきではないので改善してほしかった。

・主人公の行動に違和感ある場面あり
主人公の玲人は基本的には有能な探偵なのだがちょいちょいプレイヤーの選択でも回避できないおかしな行動が存在する。
例えば冒頭で事務所を留守にして自分の家の住所を事務所の前に掲載する場面がある。
殺人事件を主に取り扱う探偵なのに自分の家の住所を載せるのは迂闊すぎないだろうか。
電話番号を載せるだけなら分かるが家の住所まで載せる必要はないだろう。
逆恨みした犯人や関係者に乗り込まれたら終わりだぞ。
まして紫も一緒に住んでいるんだから。
また、この留守にする場面で自分の大事な手帳を探偵事務所におきっぱなしにする。
オフの日くらい事件から離れようという考えかもしれないが、相棒である手帳くらいは肌身離さず持ち歩くべきなのでは・・・

・とにかく救われないヒロイン達
ヒロイン達の最期が壮絶。
猟期ミステリーだから仕方ないとは思うけど一切の救いがないヒロインがあまりにも多い。
どんな立場の人物であっても死ぬときは死ぬ。
お前は死んだらダメだろ・・・ってキャラも平気で死ぬ。
意外性はあるけど○○が死ぬのは流石にどうなんだ?
また、前作のカルタグラは陰鬱なシナリオでありながらも密かに事件から逃れ平和に暮らすエンドもあったが今回はそういう要素もない。
そして、何故か初音はエロがある。正直前作ヒロインのエロはいらない。
しかもエロあってもシナリオに深く関わるわけでも無し。
存在理由が不明。
しかも近親相姦が関係人物のあちこちで行われているのに紫と主人公のエロは無し。
死ぬとか死なない以前に攻略的にも恵まれないキャラが多い。

・推理の強引さ
推理パートが面白いと言ったが所々強引な部分が出てくる。
理由と答えの因果関係が不明瞭で本当にこれで良いのか?って思いながら推理パート終えた場面が有った。
もう少しすんなりと納得の行く筋書きならスッキリするんだけど。

・ラストの怒涛の展開
一気に伏線が回収されるがあまりにも多くの出来事が一気に判明するのでラストがちょっと駆け足過ぎたかなと。
もう少し登場人物との絡みを増やすか主人公以外の視点で心情の吐露があれば良かった。

賛否両論
・グロ・ホラー描写
これがかなりきつい。
メーカーはこの部分に絶対の自信を持ちユーザーもこの辺りを求めている人が多いのだろうが正直参った。
続きが気になるのに進めるのが怖くなってプレイを中断することが度々あった。
自分は猟期殺人が主題でもそれに関する描写は必要最低限で良いと思うのだがこのゲームはそうはいかない。
犯人の視点で殺害する現場のシーンが幾度となく画像付きで挿入されるがこれがとんでもなくグロい。
四肢を切断する、顔を傷つける、腹を解体して子宮を取り出す。
こんな場面が当たり前のように描かれる。
まあ一応犯人視点に入るときは画面が赤くなるからそこだけ飛ばしてバックログから文だけを追うことは出来るのだがそれ以外にも衝撃的なシーンが自然な流れで飛んでくるので耐性がないと進めるのすら憂鬱。
リメイクに当たってエグい場面にフィルターをつける機能とか追加してくれれば良かったのだが、メーカーがやったことは逆にCGをリファインしよりグロく猟期的な表現にするというまさかの事態。
やってみたいけど怖いの苦手という層に対して特に参入しやすい環境を作ることもなく、ついてこられる奴だけついて来いという姿勢はある意味一貫して凄いと思うが。苦手な人はFLOWERSをどうぞって感じなのかな。百合は百合でハードル高い気がするが。

総評
最後は駆け足だし犯人の予想もある程度つくものの、意外な展開もありミステリー好きなら楽しめる。
ただ、救いのないストーリーなので暗い話でも楽しめる人向け。
また、グロ・ホラーはかなりきつく苦手な場面を飛ばすにしても捜査パートの死体調査は飛ばすことが出来ないのでサンプルCGに載っている死体の画像が無理ならプレイすら厳しいと思う。
攻略難易度がかなり高いがシステムが面白いしワープスキップのお陰で何周でも繰り返せる出来だったがその度に死体調査するのが憂鬱になって途中で自力攻略断念してしまったのが悔しかった。
良い作品なのだが色々とハードルが高いし続編ありきだからこの作品だけだとモヤモヤが残る。
虚ノ少女で色々と解決できれば良いが。
新品/中古アダルトPCゲーム販売 通販ショップの駿河屋

長文感想へのレスを書くには
 ・ユーザーIDを有している
 ・COOKIEが有効である
 ・COOKIEを有効にした状態でログインしたことがある
 ・5つ以上一言コメントを書いている
 ・長文感想を書いたユーザーが長文感想へのレスを許可している
の5つの条件を満たしている必要があります。

コメントデータ

このコメントはだいたい175回くらい参照されています。