soulfeeler316さんの「バタフライシーカー ~カオス・ナイトメア~」の感想

ネタバレ感想を見たくない場合、文字を背景色に設定することが可能です。 → 設定変更

**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

愛は悪夢である。悪夢も時には良いものだ。
喜びを与えよう、悪夢から目覚めた時に感じるような。






最後までプレイしてない方は、クリアしてから読む事推奨
ネタバレ満載の批評です。
また、これはあくまで自己満足的な一個人の解釈であり、断定できる物ではない事を予め、ご了承下さい……










【目次】
1.「ムシクイ」新事件簿……事件における感想、駄文

2.新キャラクターの感想+a……音無凛子+前作からのキャラについて少し

3.不満点……全体的に見て思った個人的感情

4.総評















1.「ムシクイ」新事件簿
"連続女性惨殺死体遺棄事件(青髭連続殺人事件)”     70点/100点
【悪夢ちゃんと、蝶の向かう庭】

上手く纏まった良い物を、この製作陣は作る事が出来る。
本事件が私にとって、そんな安堵と希望を見事に確信させた内容だった事を、まずは最初に申し上げておこう。
なんせ、『バタフライ・シーカー』より上なんだよ、本編より圧倒的に短いこのFDが。
その時点で、本作に対する自分の高評価が分かるってなモノだろう。
結構満足出来た内容に落ち着いた事で、ようやく心中気持ち良く終われた作品となったのである。
前作によって生じた私のモヤモヤが、本作でやっと、少しばかり消失した次第であった。

さて、そんな風に思えたのは一体何故か?
何を隠そう、今回の事件と言うのは、本編で起こった事件の欠点を上手く改善している事が分かる中身となっているのだ。
そしてそれが、私の中で、個人的好評へと繋がった理由
本項目では少し、これらの「リベンジ」について述べておくとしよう。
()内に記載してあるのは、『バタフライ・シーカー』本編内にて欠点のあったルートである。



①他キャラの行為で、偶々犯人の居場所が分かる、そんな偶然性に頼った要素が消失(天童優衣ルート)
前作の連続絞殺事件、概要的にはそれほど悪くない。
白蝋夫人の一件から犯人の条件を把握、その犯罪者心理にまで踏み込んだ展開には目を瞠るものがあったし、事件単体としては全然悪くない出来
ただ、その中で違和感を感じた事の1つに、犯人の居場所がかなり容易に特定されたと言う事実があった。
あれは確か、氷室先輩がプロファイリングで探った中に、偶々適合してた人物がいた……だったような気がする、よく憶えてない。
まあ、とにかく重要なのは、この人物と言うのが「偶々」見つかってしまったと言う事
なんというか、取り敢えずはっきり言っておこう。
それは正直、つまらない。
偶然性に頼った殺人が、これまた偶然性によって解決される事件……まあ、あるにはあるんだけどさ。
しかし、それはどこかコメディチックであったり、皮肉的な要素を織り込んでいたりと、別観点から取り上げている事によって存在出来る事象
真面目でシリアスな内容事件に、そんな偶然性は似合わないんだよ。
逆を申せば、偶発的ではなく確信的なら良いって事、今回義姉ちゃんがやったように。
持ち前の嗅覚で正体を見破り、態と自傷行為を行う事によって、その証明を行う。
怪しいと思ったと遠野君達は、いつもの3人に音無さんの協力も加わって推理を実行
そして、そいつの後を追う形に落ち着いたからこそ、彼等はその潜伏先に辿り着いたのである。
このようにどんなに最初が荒唐無稽でも、そこに何かしらの理由付けがあった時、納得出来るにせよ出来ないにせよ、そこに因果は生まれるんだと思う。
したがって、今回の事件はきちんとそこに筋道立てて話を展開していたので、至極納得の物語として構成されており、満足の一端と相成った次第だった。



②キャラクターを多く登場させて、誰が犯人なのかを判別不能にする(氷室千歳ルート)
登場人物の少なさで、結果的に犯人が特定出来ると言う現象
やったね、今回は起こらなかったよ!!
きっちりミステリーとして機能していた、実に一安心である。
被害者、関係者、加害者、その他の人物、そして関連死亡者
新たな項目も上手く加えられ、更には過去の事件まで関わってくるのには、ストーリーへの頑張りを非常に感じた。
加害者側が2人体制だった事に、最初から気づいていた方は、そう多くないんじゃないだろうか。
登場人物を増やして、新たな立ち絵はつけない(遠野君の立ち絵はついたけど)
その結果、予想だにしなかった推理へ導いていった事は、正に推して知るべしである。



③トリックが非常に分かりにくい(早乙女羽矢ルート)
改善4点セットの中で、これが頗る1番良かったと私は感じる。
まあ、正直、無理はあるし、無謀でもある。
特に共犯者が行ったトリックについては、もう一種のファンタジーじゃん!?と言われても致し方ない。
でも納得出来ちゃうんだよなこれが、実に不思議である。
女性への変装について、きちんと特徴を明確に記載し、はっきり対象を調べ上げていた上で犯行に及んでいた事
そういった根拠を捉えた上で語られるけれども、どこか半信半疑にもなる捜査員の疑惑染みた真偽の葛藤
上記による条件付けと、作中における言及及び描写だけで、ここまで「ありえるかもしれない」と思わせてくれる手腕は、流石の一言
この「ありえるかもしれない」ってのが存外重要で……
説得力ってのは、ライターが1番身に着けておかなければいけない力の象徴
本作できっちりとそれが描けていた事、私はそこに凄く安心を覚えた次第であった。
また、関連死亡者と被害者のトリック、舌の裏にあったダイイングメッセージ、容疑者のアリバイetc……
分かった今からしたら「実に成程」と、感じられるのが多かったのも良かったと感じる。
彼等の共通点を上手く物語に起用して、それが共犯者の正体に繋がる展開は正に圧巻
舌の修復機能速度から生まれた暗号と言う、実際に起こりそうなトリックは正に見物
そんな上記2つによって、容疑者の心情とアリバイが解明されると言うのが、もう実に鮮やかなお手前
こうしてトリックと言うのは、時代を超えて受け継がれつつ、変化していくモノなんだろうなと、少しばかり考えてしまった程である。
少々、ミステリーの歴史を回顧染みてしまった事、ここに予め付記しておく。



④オチ(TRUEルート)
上手い、これは実に上手い。
前作最大の弱点、オチが弱いを見事に覆した作りとなっている。
「え、これで終わり?」と言う消化不良には至らなかった。
「あ、もうすぐ終わるな」と言う確信だけがそこにあった。
しかし、決して不完全燃焼ではない、『カオス・ナイトメア』と言う副題を、全く無駄にせず有効活用している。
正直、最初に出る事を聞いた時は「随分かっちょいい副題を付けたモノだ……」と危惧したものだが、今となっては遠い過去の出来事のよう。
寝る時に見るのは勿論、探査空間をもまた「夢」として扱っていた節のある本作
そんな「カオス」で「ナイトメア」なこの作品は、途中で遠野君に行われた頬にキス描写を鍵として閉じられている。
この一連の流れが、もう全てが終わってしまっているのに、どこか優しい希望を感じさせる終幕だったのが良いのだ。
事件は全てが終わってしまい、喪失したモノはもう戻らない。
しかし、これから未来永劫続いていく夢だけは、どうか悪夢へとならないように。
そして、その優しさをはっきりと断言は出来ないけれど、彼自身が感じて、記憶の片隅に残してくれる。
それだけで、彼女にとっては嬉しい事に相違なかった。
報われないけど報われた、そんな彼女に安心した読後感であった。


上記のようにして収束させる事で、いたいけな優しさと儚い希望の両方を感じさせてくれる。
実に素晴らしい纏め方だったと思う。
ようやく私の中で、『バタフライ・シーカー』と言う作品が、終わった瞬間だった。




2.新キャラクターの感想+a
音無凛子と言う女の子、第一印象的には好まない感じがしたんだけど、やってみると中々どうして、悪くない仕上がりとなっていた。
あまり前に出過ぎなかった印象があるからかもしれない。
新キャラってのは得てして、前作キャラを食ってしまう不評の種になりかねない。
しかし、そこは流石の手腕、上手くキャラクターを均等に絡めていて素晴らしい。
まあ、エロ的には優遇されてっけどな、Hしたの今の所、音無さんだけだし。
遠野君、あんなに巨乳ばっかりいてエロに繋がるのは貧乳だけって……
個人的にはかなりの絶望なんだけど、これ以上語ると敵を多く作りそうなのでやめておく。

閑話休題

さあさあ、音無さんの可愛い所だ。
傲岸不遜な仕草や強がりの表示も、終わってみれば愛おしく感じられるってのは良い。
最後に見せたあの慈愛の表情こそ、彼女の素なのだと思うと、優しさが本質として彼女にはある事を感じさせられる。
こういうのが魅力として私の中で燃え上がる、うん、悪くない。
とにかく、優しい女の子が私は大好きなのだった。

さて、『バタフライ・シーカー』に登場したヒロインの皆さんは相変わらずだが、1人だけ私の中で評価が少し上がった人物がいる。
それは、本作影の功労者……氷室千歳嬢その人でござい。
いや、あのチャラい演技は正に見物
しかも、超真面目で優しくて礼儀正しい人が、ああいう事やるってのがギャップあって実に素晴らしい。
おいおい、面白いじゃないかこの娘
大学生活を経て、友人を沢山作り、更に愉快になってくれる事を願う他ない。

その他の人物への一言感想
・天童さん……スランプ、少しばかり抜け出せて良かったですね。これからも頑張って下さい。
・羽矢……相変わらず、最高だよお前。酒井悟郎さんの演技、腹を抱えて笑っちまいました。不動の1位は流石
・梓先生……早くヒロインに昇格して下さい。今回、実質ピーチ姫だからなこの人。ホント相変わらず可愛い御方。
・透子……出番少ない中、かなり頑張った方だと思う。遠野君への愛が陰ながら光っていて悪くはない。




3.不満点
実は、今回言及する2つの不満点は、ここで言ってもしょうがない側面がある。
1つは前作から続いてきた欠点であるからFDとして出された本作に書いても困るだろうし、もう1つは実を言うと、それほど不満に思っていないのが実情だからだ。
非常に矛盾していると思うが、ある意味、ここで言及しておかなければいけないと思い、少しばかり記載しておくとする。



①キャラクターへの感情移入があまり出来ない
やっぱり、そう、やっぱりである。
何かこう、キャラクターに血が通っていない印象が本編とFD含めた『バタフライ・シーカー』と言う作品には感じられるのだ。
1人1人に個性があって役割を果たす「人間」と言うよりも、1人1人の役割を果たすために作られた「装置」と言う印象がやはり強い。
そう、彼等はあくまで舞台装置の域を出ていないのである。
終始ダークな世界観なので、日常描写は極力カット、人間らしい面を見せる事がほぼ無い。
教室でのやり取りなんて皆無だし、言ってしまえば、家とムシクイの往復作業、屡々探査って感じ
だからこそ、まだ人間性があるように見える羽矢に、私は魅力を感じている訳で。
キャラクター自体に愛着が湧くからこそ生じるストーリーの面白さ、と言うのはあまり感じられないのである。
ただ、もしかするとこれが「意図的」と言う見方もあるかもしれない。
キャラクターの魅力に頼らない、物語の純粋な面白さだけで勝負を賭けた作品だとしたら、それは納得の一品だと言えよう。
ただ、擁護しておいてこんな事を言うのもなんだが、正直私は、キャラに愛着が湧いた上で作られるストーリーの方が魅力的に思う。
「感情移入させる」という行為もまた、私にとっては物語を構成する要素の1つだからだ。
最近、ここの処女作『なないろリンカネーション』をプレイしたのだが、本作はあれとは全くの真逆
『なないろリンカネーション』は魅力的な登場人物全員へ愛を振り撒いた上で、恐らく1番愛を与えた女の子の最後に賭けた一品
『バタフライ・シーカー』は全体的な整合性やトリックの均衡を重視し、キャラクター性を切り捨てたミステリーに挑んだ一品
私が好きなのは紛う事なき前者
だって、そっちの方が優しいから。
この『バタフライ・シーカー』と言う作品がイマイチ、私の中で80点以上の琴線に響かないのは、そういった事も影響しているのだと思う。



②値段と全体の内容が釣り合っていない
最初に述べたように、私個人としてはそれほどこれについては不満に思っていない。
それは事件の内容やドラマCD、キャラソンCDの良さも然る事ながら、ライアーソフトFC通販で購入した特典小説がえらく気に入った事も関係している。
これが会員でないと読めないというのは、なんとも悲しい。
羽矢が好きな人は是非とも見てほしいものであるのだが、それは後述するとして……
ブランドとしては、やはり発売前にあまり情報を出さなかったのは、まあ、そういう事なのだと思う。
そういったマイナス面を隠しておきたかった節は、確かにあるだろうなと。

私個人としては、『バタフライ・シーカー』本編で「エロには期待するなよ」と言う製作者側からのメッセージを感じたし、特典のドラマCDが如何にもな内容だったので、これは個別ヒロインルート無いだろうなと踏んでいた。
結構分かりやすかったから、あまりツッコむ人もいないだろうと思っていたので、些か驚きである。
ただ、確かにそういった層がいた場合、不満に思う方がいるのも分かる話で。
物語よりも、キャラとのエロや専用個別ルートのイチャイチャに期待する方も少なからずいるのは確かだ。
ブランドがCGやらを見せる等の情報公開をせずに発売した事で、そんな購入者に向けては配慮が出来ず、結果的に彼等から「値段が高い」と批判されるのも致し方ないと感じる。
まあ、個別ルートのその後についてはともかく、エロについては、前作やってれば少ない事位の察しは付くだろうとも思うが。
ただ、それが全員に把握できなかったのは、情報公開を渋ってしまったブランドのミスでもある。
これからは、本編公式サイトのように、もしくはそれ以上にCG枚数やエロシーン数についての明確な記述を行った方が良いだろう。
詳しく描いていれば、不用意な批判も湧かないだろうからな。




4.総評
値段相応だと思える程には満足したゲームである。
今回は、海原さんのより良いモノを作ろうと言う気概を感じられたのが、何よりも良い収穫だった。
それは、上記の改善点からも充分分かる事象であり、少しずつ欠点を解消して面白いモノを作ろうとするクリエイターの皆様には、正しく尊敬する他無い所存である。
一消費者として、ここで改めて御礼を言わせて欲しい。
本当に、ありがとうございます。

ただ、個人的に次作は『バタフライ・シーカー』ではなく、純粋な新作を所望したい。
こうして少しずつ「『前』を見極めて」進んでいく方の、新たな世界観を、私は見たい。
ミステリーでなくてもいい、真逆のジャンルでも、新規路線でも構わない。
新たな開拓地を切り開いて欲しいと、人知れず思ってしまう。
取り敢えずは、海原望さん、羽鳥ぴよこさん、そしてシルキーズプラスの方々の、更なる発展を心より願って。
自分の中で納得の行く作品をこの先、大いに作れる事を祈っております。
最後まで、付いていきますよ。




☆店舗特典
ライアーソフトFC(ライアーソフトファンクラブ) 
『台風ガールとロボット眼鏡』
『バタフライシーカー~カオス・ナイトメア~』を購入して良かったと感じた最大の理由
まだ天童さんが加入していない頃、遠野君と氷室先輩、そして新たに加わった早乙女羽矢の3人体制だった頃の話
「前に進むしかなかった」彼女が「前を見極める事の意味を知る」までの話である。
羽矢視点で綴られる、遠野君への想いと自らの葛藤
彼の新たな一面を知った事で、彼女の中に育まれた新たな誓いに、FDプレイ中だった私は酷くグッと来る始末
羽矢ルートの補完にも見事上手く繋がり、尚且つ彼女の事がもっと好きになる。
これは、そんな特典小説
羽矢を気に入った、もしくはこれを読めば気に入るかもしれない万人に、等しくおススメの一品である。
新品/中古アダルトPCゲーム販売 通販ショップの駿河屋

長文感想へのレスを書くには
 ・ユーザーIDを有している
 ・COOKIEが有効である
 ・COOKIEを有効にした状態でログインしたことがある
 ・5つ以上一言コメントを書いている
 ・長文感想を書いたユーザーが長文感想へのレスを許可している
の5つの条件を満たしている必要があります。

コメントデータ

このコメントはだいたい565回くらい参照されています。