boningenさんの「さくら、もゆ。 -as the Night's, Reincarnation-」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

迂遠な表現の多い文章以外は文句の付けようのない素晴らしい出来でした。特に最後のルート以外では盛り上がりに欠けるというFAVORITE最大の欠点も解消されているのは大きい。あさひと十夜を攻略できるFDを心待ちにしています。


FAVORITEの作品は「いろとりどりのセカイ」まではプレイ済み。
FAVORITE最大の欠点が解消されているという風の噂を頼りに購入してみたが、噂に違わぬ素晴らしい出来でした。
今回はネタバレ有りの感想なのでご注意下さい。




・シナリオ

それぞれのルートにきっちりと魅力があったのは良い。
同ブランドの過去作品ではその部分で大分辛い思いをしてきたのでこれは大きい。

攻略順は姫織→千和でしたが、時系列で考えるなら逆の方が解りやすいかもしれません。
攻略順を固定し過ぎるのは悪手ですが、今回に限って言えば全てを固定してしまった方が良かったのかも。
特に時系列や登場人物の関係性等が全てのルートで複雑に絡み合っている作品となっているので、より理解しやすい流れに誘導して貰えた方が読み手としては助かります。

私の場合あまり記憶力には自信が無く一つルートを読み終える頃には前回のルートでの記憶が曖昧になってくる始末で、これが原因で千和ルート終盤での遠矢の台詞にある「間に合わなかった」の意味が直ぐには理解できず思い出すのに難儀しました。

最も良いと感じた千和ルートでは擬似的な家族を作りあげてゆく過程や雰囲気は素晴らしいものがありました。
素直になることの出来ないナハトが、千和の為に料理の練習をしたりケーキを焼いたり、挙句の果てには誕生日プレゼントに自作のぬいぐるみを編み出す辺りは頬の緩みを抑えることが出来ませんでした。

最初にナハトが登場する場面での「・・・・・・千和。大きくなったな」という台詞を今改めて思い返すと、万感の想いがこめられていたように感じます。
これだけで最近特に緩くなってしまった涙腺が決壊してしまいそうになる。

他ルートでも語り尽くせない見所は多々ありますが、それを全て記すと膨大な文字数となってしまう為、感想は最も良いと感じたこの部分のみとさせて頂きます。


以下は残念な部分について。

色々な方から言及されている通り全編を通して非常に迂遠な表現が多く、あまり読みやすい文章とは言えません。
特に本作品のように非常に複雑な内容となっている物は、もう少し読み易さや理解のし易さといったものを重視したほうが良かったのではないでしょうか。

読み進めていると突然予期せぬ展開となり、何か重要な部分を読み飛ばしてしまったのではないだろうかという思いに駆られバックログを確認するもそんなものはどこにも無く、諦めて読み進めてみると本来事前にある筈の必要な描写がそこにあったりといった事が多々ありました。
これが迂遠な表現、延いては読み難い文章の最たる原因なのではないでしょうか。




・音楽

シナリオ、音楽、背景、キャラクターデザインと全てが高い水準で纏まっている本作品ですが、この音楽が最も良い出来でした。
曲数も69曲と非常に多く、後日発売されるOSTが楽しみでなりません。
BGM単体としても素晴らしい出来ですが、それ以上に作品の雰囲気によく合っていたように思います。

お気に入りのBGM
・さくら、もゆ。 -title arrange-
・麗らかな生活
・忘れたいはずのなにか
・失われた刻をもとめて
・終わりなきナガレの果てに
・聖夜をめぐるまほう
・Reincarnation Ⅱ
・Reincarnation Ⅲ
・少女たちの夜会Ⅱ
・少女たちの夜会Ⅱ ver2
・さくら、もゆ。 -Instrumental fest.HARU-

お気に入りの音楽
・さくら、もゆ。
・終わらない物語




・背景、絵

どちらも共に素晴らしいが、背景が特に素晴らしいと感じた。

現実世界の背景は写真を絵に落とし込んでいるのだろうが、どれも作品の雰囲気によく合った選択となっている。
背景で素晴らしいと感じたのは夜の国の部分で、色々なものが混ぜ合わされた幻想的な世界となっている。
桜咲き乱れる此の世ならざる世界として、またはあの世とこの世の狭間としての夜の国をこれ以上無い程に上手く表現出来ていると感じました。

BUSTSHOT MODEでは同一箇所の背景でも時間帯を夜の国にするだけで風景が一変するので、クリア後には是非一度見比べて見る事をお勧めします。
私には"この場所が夜の国ではあの背景だったのか"といった新しい発見が多々ありました。


もしかすると背景に感動したのは2007年にプレイした「そして明日の世界より――」以来かもしれない。

ただし一点だけ気になる部分があり、主人公が回転式拳銃を左手に握っているCGがよく使用されているが、この拳銃の銃身が見当たらないのはどういうことだろうか。回転式拳銃には相当に短いものもあると聞くが、それにしてもこれは短過ぎるように感じた。




・システム

解像度を変更することなく全画面にすることは出来るが、裏画面へ移動すると全画面が解除されてしまうのは不便。

メッセージウィンドウ濃度も変更することは可能だが、変更不可のウィンドウが存在し文字が読み辛い事が多々あった。
この場合の変更不可とは濃度が0となり背景色と文字が同化してしまうということです。

またこれは些細な点ですが、SOUND MODEでは何故か繰り返し再生にチェックが入っていると"次へ"のボタンが機能しなくなるという不思議な仕様が気になりました。
OST購入促進の為に制限を設けることは珍しくありませんが、こういった手法は珍しいので当初はバグを疑いました。

それ以外には特に不満なし。








・総評

正に平成の最後を飾るに相応しい大作でした。
万人に勧められる類の作品ではありませんが、合う人にはとことん合う素晴らしい作品でした。




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