peacefulさんの「虚空のバロック」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

lightの燃えゲーが好きな私にとって、本作は最低の出来だった
私の最初の感想は『こんなのやるんじゃなかった……』

今までlightでずっとタッグを組んでいた高濱亮がいない、ほぼ昏式龍也の独走で進めたこの「虚空(ソラ)のバロック」。
原画:上田メタヲとコンビを組んだ時点で気付くべきだった。
それでもまさかlightという燃えブランドでやらかす筈がないと、心の何処かで思考を放棄していたのは否めない。
それが蓋を開ければ、或るヒロインが中出し輪姦レイプされるという暴挙が敢行された!
さらに他のヒロインもカニバリズムの餌食やダルマ女といったグロ染みたサディスト性癖を披露させられる始末。
しかもどれも個別√に入ってから、攻略対象中のヒロインに実行されている。

確かに過去にもlightの燃えゲーで寸止めや挿入未遂はあったが、それでも敵の女がヒロインを責める図式が成り立っていた。
私が知る限りサブならともかく、攻略ヒロインが男によって強姦、もしくはリョナの憂き目に遭う直接的な描写は無かった筈。
(有るとしても合意の上での乱交だろう。そして例外的に軽い凌辱はあっても、記憶が確かなら男ではなかった)
そもそもlightの燃えゲーで最も肝要なのは、戦闘中の痺れる攻防や敵に啖呵を切るシーンといった、
こちらのクリックする手が止まらなくなるほどの迸る熱い(厨二)展開であると熱弁する。
そして其処にカッコイイ敵キャラを交えて繰り広げられる壮大な英雄譚ともいうべき、濃密なシナリオが構築されて然るべきもの。
またエロゲーでありながらエロを重視しないスタンスのシナリオゲーであって、エロは数シーンの和姦だけで問題はなかった。
それが何故今作の様な、いつの間にかBLACK CycやCLOCKUPの様な作品と入れ替わる内容など意味が分からない。
それこそlightが今まで脈々と培ってきたブランド色をあっさりと手放すのは、ファンへの裏切り行為に等しいと言えよう。
(念のため、私が上記仮定したブランドを貶している訳ではないことを明記しておく)

そのため何故lightの代表(服部)がこれを赦したのか理解に苦しむ。
ただでさえDies関連で忙しい中、lightスタッフ全体で本気の制作ができていないのは明らかである。
これは背景の使い回し(Vermilion / Zero Infinity / BRAVA!! etc)や攻略ヒロインが少ない点からも見て取れる。
また昏式はCLOOKUPにて「眠れぬ羊と孤独な狼」との同時進行で、本作は片手間仕事状態。
それが質と量に悪影響を及ぼしたかは知らないが、上田と昏式の歪んだ性癖を場違いのlightで顕現させてしまった事実は重いと断言。
例え私が燃えと凌辱どちらも好物だとしても、あらかじめ予想と反する物が提供されたら困惑するのは当たり前なのだから。

もし行き付けの店(light)で、頼んだ新作ラーメン(燃え)の中に、ハンバーガー(凌辱)が沈んでいたらどう思うか?

ブランド色という存在基盤を保つからこそファンはついてくるのに、余所の畑に手を出すのはあまりにリスクが高過ぎると持論を述べる。
ましてlightやBLACK Cyc(仮)は両方好きなブランドだが、それらが混じり合っても決して良い事はないだろう。
むしろ己が持つ個性が薄れ、全てが中途半端になるばかりか、ひいてはファンの信頼も失くしてしまう。
聖域を放棄して、新たに目指した方向性の劣化品しか生み出さない制作は、誰も得しない悲劇と考える。
そして最大の問題は、後の作品に例外(前例)を残してしまう事だ。
何故なら今後のlightは、ヒロインが男に凌辱される可能性が付き纏うことになるのだから。

例えばDiesのマリィ(女神)みたいなキャラが、下衆で汚物みたいな男達に輪姦、もしくはリョナめいた行為をされたらどう思うか?

ちなみに私はそんなシーンが有ったら、間違いなくそんな燃えゲーを許せないだろう。
というより、そんな情けないNTR主人公を応援して共感したいとも思わない。
(一応これは好き嫌いとは別で、予め寝取られ作品だと分かってプレイするのと、しないのでは大きな違いがある事を明記しておく)
(つまり不意打ち的なNTR展開は、客観的に見て多くの方は望まないと推測する)
そうした暴挙がライターによっては許される下地をlightが作ってしまったことが、私が本作を低評価した一番の理由だ。
そして昏式のヒロインを散々痛めつけて悦に浸ろうとする精神性に軽く殺意が湧いた瞬間でもある。
やはり高濱がタッグを組んで彼が舵を取らなければ、昏式の胸糞嗜好とホモ性癖を助長してしまう事がではっきりした作品。
それ故、今後のlightの燃えゲーは正田卿以外のシナリオライターを疑って然るべきに思える。
高濱のいない昏式だと、途端に別ブランドの劣化品に陥れられる想像が、当分私の頭から消える事はないだろうから。

【追記】(2018:8/15)
プレイし終えて、本作が一概に燃えゲーとは言い難い作品だということは理解できるが、それをlightで表現する意義が感じられない。
もし先述したブランドで燃え成分を抑えて、エロ(凌辱)を強めたなら、それなりの作品として評価されただろうに……。
あと現状データ数が100にも満たないので一概には言えないが、
客観的に本作が名作として評価されているとは言い難い点も、私の論拠を裏付けている。
むしろ今後の中央値は75から下がるだろうと予測する。経過観察中……

【追記の追記】(2018:8/15)
昨今、燃えゲーブランドが似非凌辱ゲー作ったり、今までシナリオゲー専門だったのが抜きゲーを制作したりする。
これは別段lightに限った話ではなく、他の長寿ブランドなどにも同様の傾向が見受けられる。
ポリシーを擲ってでも多大な結果を残せば、新たな方向性と客層を生み、ファンに認められるかもしれない。
だがそれは稀な例で、大抵は中途半端に失敗するか、既存ファンの二の足を踏む事で購買率の低下に繋がっていくだろう。
そしてそれは、そのブランドにこだわり(幻想)を持っている人ほど、方向性の転換を受け入れがたい。
そのため、もし同じ様にエロゲー界全体でアレもコレもと手を伸ばし、どこも形振り構わない状態が続けば、
只でさえ年々売り上げが低迷している中で、致命的にファン離れを起こす引鉄となりかねないと私は危惧している。
売り上げに目を奪われて、初志を見失しない、ファン心理も掴めないブランドは生き残れないだろう。
よって、ぜひ過去の輝きを今一度思い出して、何が一番大事なのかを理解した制作を心掛けて欲しいと切に願いたい。


【本編の感想】(警告:此の先ネタバレ必死!)

終末を迎えた世界で死の匂いが理性を崩す。→終末感なんて最初(体験版)と最後(幸END)のほんの少しだけ!
人間の悪意が渦巻く隔絶された街を舞台に、様々な人間模様な利益構想が描かれるサバイバルアクション。→まるで燃えない!
狂い出す人間関係や無慈悲に凌辱されるヒロインなど、倒錯した性的嗜好を刺激。→他でやれ!

こんな風に思わずツッコミたくなる、燃えゲーの皮を被ったゲテモノ作品。
初めてlightに触れる方ならともかく、長年20作品以上プレイしてきた私には耐えがたいシナリオだった。
先述した様に反発を生む覚悟で制作したのなら、読み手による相応の批判も覚悟の上だろう。
そのため文句は山ほど有るが、詳細に長々と書き連ねる時間と労力は出来る限り避けたい所だ。(読む方も大変だろう)
よってある程度内容を選別して、不満点を箇条書きにした形で述べたいと思う。
簡易に文章を纏めた為、『どの点が?』という説明不足も多々あるが、できれば其処は察してもらいたい。


【不満点】

(シナリオ)
・一応燃えゲーという体裁なのに、程度が低く無駄に長い戦闘シーンばかりで退屈。
・主人公勢が能力に振り回され、敵が狡猾すぎる影響か、大半の戦闘がちまちまと鬱陶しく、グダグダ過ぎてイライラする。
・超能力>バロックという図式が随所に展開されるので、バロックという能力の存在価値が薄れる印象を受ける
・被災地での極限状態での過酷な体験や、理不尽な状況下に対する負の感情・鬱屈・悲嘆・怒り・絶望が伝わらない。
・二章からの、一転して何とも言いようのない快適さと幸福感に座りが悪くなる。
・↑そこに悲劇の喪失感が胸に去来し、想像とは真逆のギャップ展開に苦しめられた。
・読み手を置き去りにする急展開に呆れ、ライターの自己満足の自慰行為に耽っているシーンが多い。
・様々なフラグを折らずに高確率で回収する愚行。ある意味予測がつきやすく悲劇色の強い展開に落胆を禁じ得ない。
・好き勝手キャラを暴走させ、吐き気を催すほどのシナリオの不調和に怒りを覚える。
・希望から絶望へと向かう落差の隔たりにライター陣の屈折思考が透けて見えて不快。
・↑そこから転じて絶望から希望への折り返しに、期待していた満足できるカタルシスが得られない。
・多くの伏線をばら撒いて回収しようとしているが、あからさまな伏線を意識し続けて疲れてしまう。
・まるで上手くいかない人生の縮図を体現しているかの様な、大団円など認めないラスト。
・プレイ後の疲労感が強く、脱感作(恐怖や不安を察知できない様に変化していくプロセス)を引き起こしかねないシナリオ。

(キャラクター)
・主要キャラへの愛着や輪郭を掴むスパンが短い印象を受ける。結果ヒロインの魅力が上手く伝わらない。
・敵の小物・雑魚感が強く、敵キャラ特有の魅力が欠片も感じられない。(キニスンは別としても彼の扱いが酷過ぎる)
・シナリオ上の欠陥だが、主人公の自分の命は二の次:勇猛を蛮勇と穿き違えた衛宮〇郎ヒロイズムにウンザリ。
・敵に狙われているのに、全体に漂うこの緊張感と危機感のなさに呆れる。
・底抜けに楽観的すぎる主人公勢。一人でも頭の切れる奴が味方にいたらと思う歯痒さ。
・神代と優理のバロック能力の外観がゲテモノ(化物)すぎて、こっちの方が悪役向きな点。
・戸野坂というサイコパスへの嫌悪的感情移入は成功しているが、生存率の高さに嫌気が差す。
・愛した女一人を守れない、情けなさ過ぎるレッテルを張られる主人公。
・レイプされた場所(しかもレイプした男達の悲惨な死体が残る場所)で直ぐに慰めエッチする精神性。
・もはや開き直って凌辱ゲーとも云うべきなのに、敵を含めたサブヒロインのHがない。

(その他)
・PCのスッペクにもよるが、異様に重い。
・スキップ速度が鈍重。
・新人声優が多い為、一部演技の拙さが直にゲームに響く(やちる等)。
・フルプライスなら攻略ヒロインは通常4人が妥当。1人足りない点。
etc...

総じて、不満点はこんなところだろうか。

逆に評価すべき点は、バロックという表層意識で繋がる精神共感という能力という設定。
能力者内において以心伝心で互いの感情の機微や言葉の真意が伝わる一方で、
能力を持たない他人や敵への強い警戒心や排他的真理が生じるコントラストは良く出来ていた。
勿論テキスト表現でしか伝わらないその曖昧さが、読み手の理解の範疇を混乱させている事実はある。
だが私にとって本作における唯一興味を惹いた事柄であり、考えさせる主題でもあった。
その理由として、例え自身と親しい人と心の表層で繋がろうとも、最後に直と優理は譲れない信念で衝突した様に、
結局、人と人は真の意味で分かり合うことはなく、人間は孤独な群衆だという持論をライターは展開している為だ。

昔読んだ「キノの旅」で「人の痛みが分かる国」があったが、心が繋がる同士での弊害を説いていたのを思い出す。
制御可能ならともかく、本作同様に常に心が筒抜け状態であれば、その在り方は推して知るべし。そしてその逆も然り。
人は自分の内面に抱く先入観(バイアス):知っている現実を通してしか他者と関われ(理解でき)ない事実を改めて突きつけてくる。
それを極端に割り切った思考が、作中の融合知性群体が語る知的種族の欠陥・宿命である。
価値観の多様化(存在基盤)が脅かされる事で、自己保存の本能による反射という必然的衝突(争い)が起きるならば、
同一化と排斥の力学による自我棄却によって統一機械へと移行する結論を求めてしまった。
勿論そんなエスノセントリズムにも劣る最悪の侵略行為(単一思考)に共感はしないが、
空気を読め・異端思考は排斥という人類社会の歯車的同一思考の縮図を垣間見た点に頷く面も含まれる。
そんな中で大事になってくるのが、人は人、自分は自分というアイデンティティの固持である。
主人公が最後に矮小な人間として弱さを自覚しながら、例え誰にも共感されずとも、捧げた愛を貫いた様に、
人は分かり合えないことを肯定しながら生きるという主張を、迂遠ながらも上手く取り入れた点を評価した次第だ。


それにしても、それ以外は物語を進めるごとに酷さが増してくる内容だった。
全てが終わっている不条理シナリオに虚脱感が押し寄せて、何の希望も湧いてこない。
むしろタイトルの虚空(漠然、思慮分別がない、架空)を読み手に対して押し付けるように狙ったのかと疑いたくなる。
その為、感動的要素?そんなものは一切無く、どれも後味の悪さしか残らない結末だった。


・やちる√の投げやり感。
・加護√の救われなさ。
・幸√の囚われた現実を歪めた恋による、高度な脳内彼女によるオナニー。

極端な割り振りをキャラに押し付けて、壮大かつ矮小な世界観を表現する悪趣味路線が如何にも腹立たしい。
何よりそもそもの元凶であるナーラの義理のペド屑親父の始末はどうなったのかが不明瞭である。
また300億km虚空太陽系外天体領域(エッジワースト・カイバーベルト)の融合知性群体という発想は面白いが、
結局自発的に退いただけで、今も宇宙に漂い続けている点はスッキリしないものだ。
斃し方を思いつかなかったのか知らないが、
直VS優理というある意味予想を外れないラストバトルは盛り上がりに欠けたと評価していい。

しかも見方によってこの作品は、直と幸のリア充カップルに核弾頭並の爆発を引き起こした筆者の妬みとも捉える事が出来る。
恋人に襲った悲劇として最悪の部類であり、主人公の言葉にできない感情の奔流は耐え難いものだろう。
(悲劇と絶望への諦観→永劫の罪悪の慟哭に至らせた喪失と欠落→現実逃避の贖罪とその反動→無条件な自己犠牲と他者救済) 
だが救われない!助けられない!ご都合主義の働かない糞展開!
並行世界ネタまでやって、メインヒロインが幸せを告げて逝くしか発想がないことに絶望した!
たった一つでも幸先輩が幸せに生きられるルートがあったら、どんなに良かったことだろう。
昔から私は何一つ救いを見出せない結末を綴るアン・ハッピー・エンドの物語が嫌いだった。
例えそれが偽善でエゴだとしても、『誰も彼もが救われる王道を目指して何が悪いかっ!』と逆ギレしてしまった程だ。
故に物語(フィクション)の世界、ましてやlightという燃えブランドで夢も希望も奇跡のない展開をよくも作ってくれたと、
この低得点と長文酷評で私は訴えることにした。

そして最後の私の感想は『lightよ。こんなものを二度と作るな!』だ。
(結局この作品のテーマでもある、他者:lightや昏式を自身の先入観によってしか理解できない事を此の長文で証明してしまったのは皮肉でしかない)
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