OYOYOさんの「領地貴族」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

周回を重ねるほど味わいが深くなるスルメのようなゲームを期待していたら、噛めば噛むほど味が抜けていくチューインガムみたいなのが出てきたのでした。
ソフトハウスキャラには並々ならぬ情熱をもって作品にとりくんでいる数多くのファンがいる。私自身はそこまで熱心なユーザーではなく、ぼちぼちプレイしてきた程度。ただ、そんな私から見ても本作はやりごたえがなく、正直いまひとつどころかいまふたつかみっつくらいな印象を否めなかった。

理由は、まずゲーム内容が面白みに欠けること。次に、主人公の魅力が低いこと。

私が勝手に思っているだけかもしれないが、キャラ作品の面白さというのは反復的なやりこみの妙と絶妙の作業感とにある。周回プレイ前提に何度もゲームを繰り返す中でユニットを自分の好きなように強化育成したり、最初不可能だったシナリオの解放条件を見つけ出して達成したり、ハイスコアを目指したりするやりこみ要素。当然それらの達成のためには膨大な試行錯誤が必要になるのだが、操作自体はいい意味で単純な作業なので反復しやすく、気づくと作業効率をあげるのが楽しくなってくるのだ。延々続くレベル上げのような作業を「修行」とか「苦行」とか呼ぶのとは対照的に、簡単な操作ですぐ目に見える成果がでるという過程の繰り返しには中毒的な魅力がある。

要するに、繰り返しプレイできる奥行きの深さと、それを無理なく可能にするシンプルながら洗練されたゲームシステム。キャラブランド内には複数の生産ラインがあって作品のコンセプトはそれぞれ微妙に異なっていても、根底にある面白さは概ね変わらないと思う。

ところが本作では、この作業が単純ではなく単調になってしまった。早めに騎士を雇って1ターン(季節)の行動回数を増やせば、あとは起こしたいイベントと関連のある内政項目を延々と繰り返すだけ。試行も錯誤もほとんど必要ない。慣れてくればほんとうにただクリックをするだけになる。

しかもこの状況、周回を経てもほとんど変わらない。作業には何の工夫もいらないまま行動回数だけが増えていくせいで、作業の「質」はどんどん薄まっていく。これでは飽きるなというほうが無理である。

加えて、主人公がいまいちパッとしない。

キャラの男性主人公は、だいたい単なる性的超人なだけでなく能力がどこか突き抜けていて、その活躍が魅力になっていることが多い。もちろん当てはまらない場合もあるが、その場合は目的に共感できたり、やたら性格が面白かったりと、何かしらキャッチーなところがある。

ところが、本作のジーク男爵は作中でひたすら流されているだけ。とりあえず領地を無事治めたいというだけで目立った目的も活躍もなく、有り体に言えばキャラが立っていない。結果、私の中ではこの主人公の「物語」を見たいというモチベーションがあまり高まらなかった。

キャラ作品をプレイしたことのある人ならおわかりだろうが、ここの作品にはだいたい、大きなストーリーに加えて大量のサブストーリーというかイベントが用意されている。さまざまな条件をクリアしてこのイベントを見るのも楽しみなのだが、その意欲がいまいち沸かないのだ。

ヒロインもなかなか好みなのに、主人公の平凡さに引きずられたのか見せ場がサッパリ。物語を動かす大きなきっかけだったレオナの正体などもミエミエで面白みがないし、魅力的に感じるシーンをほとんど見ることなくエンディングを迎えてしまった。あ、でもHシーンは割と良かったと思います。でも、野外でのワンちゃんプレイとかはちゃんと入れといて欲しかったな……。

あとは青山ゆかりボイス問題。王女づきメイドとか微妙な立ち位置のキャラでも出番があって嬉しいようなもうちょっと出してくれというような、なんとも釈然としない感じ。ゆかり教育世代としては声を上げていきたいところだぞという、それはさておき。

結局、ゲーム面でもストーリー面でも駆動力を感じられないまま、惰性で続けただけ。不幸中の幸いは、1プレイが短いため(占い師効果で期限を延長しても6年=24ターン)時間がかからないことだろうか。また、目立った不具合もなく、分かりやすいインターフェイスとサクサクしたプレイ感覚のおかげでプレイ自体に苦痛を感じなかったことはとても良かった。

私なりに改善してほしかったポイントはいくつかあるが、中でもここを考えてほしかったというのは「制限」について。本作はこれをミスったせいで全体のバランスを著しく崩してしまった感がある。たとえば、行動回数の上限が緩すぎるせいでイベントや内政の手順を考える必要がなくなってしまった。施設建設数も基本ほぼ上限がないので、何をどれだけ建てるかに悩む必要がない。人材も、とりあえず家を建てまくって片っ端から雇えばいい。

本作は行動制限がゆるすぎることで「考える」楽しみがなくなったばかりか、何でもアリの無軌道状態になってゲームバランスが壊れている。たとえば人材登用を1ターン2人までにするとか、行動回数は10を上限にする(騎士の雇用上限を低めに設ける)といった、適度なストレスは必要だったのではないかと思う。初心者向けに調整したのではと考えても、率直に言ってこの感じでは初心者にすら厳しいだろう。

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